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前編: 清水エスパルス2025の基本形
清水エスパルスにとって3年振りのJ1復帰となる2025シーズンの基本システムや昨季からの差分について考察をしていきたいと思います。
まずは前編として基本システムとスタメン・控えメンバー候補、システムのオプションについてです。後編では、昨季からの差分(上積み)について考察をする予定です。
昨季最も参考になった鹿児島キャンプ最終日の磐田とのTMが途中中断となってしまったため、判断材料は限られているのですが、想像も含めて書いています。
今季もShimpeiさんにご協力いただき、いいね(♡)を押していただくと、ランダムで選手の似顔絵が出るように設定していますので、誰が出るのか楽しみにしてくださいね。この特別編は今季の新加入選手が出現します。
清水エスパルスの基本システムは?
見出しの画像にもある通り、清水の今季の基本システムは、昨季と同様の4-2-3-1となりそうです。
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こちらの基本システムに各ポジションの選手を並べています。
FWの齊藤選手、DFの監物選手、GKの阿部選手に関しては、昨季はリーグ戦出場がなく(齊藤選手は群馬にてリーグ戦2試合6分のみ途中出場)、まずはコンディション調整となるためスカッドからは外しています。佐々木選手も高卒ルーキーでGK陣としてはまだ序列が高くないため記載していません。(当然ならがこちらの4選手のことも応援しています!!)
こちらをみると特にMFより前線とGKについては層が厚く、非常にバランスの良い布陣となっています。後ほど触れますが、もし4バックをベースに置くのであれば、最終ラインについても、高木選手の右SB起用の目途が立ち、羽田選手がどこまでJ1の舞台でフィットするかは課題ではあるものの、枚数的には十分な選手層にはなっていると思います。
MFから前線には基本1つのポジションに3名の選手がおり、特にボランチは宇野選手・矢島選手・宮本選手・ブエノ選手・弓場選手と2つのポジションに対して計算できる選手が5名もいる状態です。小塚選手もボランチができますし、嶋本選手も高卒ながら完成度の高い選手であるため、清水エスパルスの中でも最も厳しいポジション争いになりそうです。また2列目についても右サイドが中原選手・松崎選手の2枚で手薄に見えるかもしれませんが、郡司選手は前線ならどこでも起用できますし、西原選手を右に回すという形も試していましたので、ここも選手層の面では問題はないと思います。
「脱・戦術乾」ではなく「シン・戦術乾」
シーズンオフの序盤に自分としては、J1の挑戦のために、年齢が高くなった乾選手の依存度を減らすために、昨季もオプションとして活用していた4-4-2、3-4-2-1、3-5-2といった他のシステムを軸に据える可能性もあるのではないかと考えていました。
しかし実際に蓋を開けてみると、全くの逆で乾選手を中心とする4-2-3-1を軸に据えながら、乾選手の負担を減らす(後ほど後述しますが、小塚選手の獲得と矢島選手のボランチ起用が鍵になります)、いわば「強化版・戦術乾」あるいは「シン・戦術乾」ともいえる準備をしてきました。
個人的には驚きもありますが、J1に上がったからといってこれまでの路線を変更するのではなく、J2の2年間で積み上げてきたものをさらに上積みして、J1の舞台で臆することなく勝負してやろう、という反町GMそして秋葉監督の強い意志の表れであると解釈しています。
スタートのシステムとして3-4-2-1は採用しづらい状況に
昨季の清水は38試合の中で、スタートのシステムとしては、
4-2-3-1・・・26回
3-4-2-1・・・6回
4-4-2・・・6回
という配分でした。3バックについても、昨季はスタートから6回起用していました。これはCBが、高橋選手・ジェラ選手・蓮川選手・高木選手・原選手と5枚いたこと、右WBとしても北爪選手・西澤選手と2枚いたことが背景にはあります。一方で今季は原選手・西澤選手が抜けてしまったため、3-4-2-1にすると下記の通り、選手層的にはアンバランスになってしまいます。
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したがって、試合途中でのシステム変更を除き、最初から3バックを採用するケースは昨季よりも少なくなると想定しています。
スタメンとベンチ入りメンバー候補
現時点のスタメン候補
基本システムは4-2-3-1になるということは述べましたが、現時点でのスタメン候補はどうなるでしょうか。あくまでもオフでのTMの選手起用と、これまでの実績をベースに考えたものです。当然ながら、コンディションや怪我及びシーズン中の活躍によっては大きく変わると思います。
絞り切れていないのですが、こちらが現時点のスタメン候補です。
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まずGKについては沖選手が頭一つ抜け出しているでしょう。猪越選手の成長も著しいですが、J1での経験値・フィードのうまさを考えると沖選手が正GKになることは間違いないように思います。
続いてCBの2枚ですが、こちらは昨季と同様ジェラ・蓮川・高橋の3選手の中で調子のいい選手を2名選ぶ形になると思います。現時点では、ジェラ選手と蓮川選手が一歩リードかなと思いますが、この3名に大きな差はないと思います。
次に右SBですが、現時点ではTMでも良いプレーを示した高木選手が、北爪選手を一歩リードしていると思います。北爪選手は縦のスピードに特徴のある選手であるため交代カードの切り札として置いておきたいという考え方もあります。
DFの最後のポジションとなる左SBは山原選手が不動でしょう。吉田豊選手という強力なバックアップはいるものの守備に特徴のある選手であるため、怪我などがなければファーストチョイスは山原選手一択でしょう。
次にボランチですが、Wボランチのバランスをとるために、右ボランチに守備力が高く運動量のある選手を、左ボランチにパス配給能力が高くポジショニングに優れる選手を配置しています。「動」のボランチと「静」のボランチといってもいいでしょう。昨季は「静」のボランチを中村亮太朗選手が主に担っていました。矢島選手が中村選手について「止まることのできるボランチ」と配信でも評価していましたね。右ボランチは宇野禅斗選手が現時点では一歩リードですが、副キャプテンに任命された宮本選手もコンディション次第ではスタメンを勝ち取ることもあるでしょう。この二人は共に運動量が豊富で最終ラインから前線にも飛び出すことのできる「動」の選手ですね。
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左ボランチは現時点では矢島選手がスタメン候補ですが、少し合流の遅れたマテウス・ブエノ選手も、フィットしてくればスタメンをはることができる選手だと思います。マテウス・ブエノ選手は正直プレーを見たことがないので、もしかしたら「動」のタイプかもしれませんが。さらに小塚選手もここに参戦する形になりますね。ちなみにスタメン候補としては挙げていませんが、弓場選手は非常に重要な役割を果たすと思います。この層の厚い中でも最も守備力、特にJ2 2位だったインターセプト能力の高いのが弓場選手。スタメンではなくても、試合を締める役割として途中交代で出場することが多くなるのではないでしょうか。
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続いてCMFです。ここはコンディションによって乾選手と小塚選手を使い分ける形になると思います。ベースは乾選手になると思いますが、試合途中で小塚選手に交代することが増えそうです。後述しますが、ここが乾選手の代わりは基本いなかった昨季と大きく異なる点になりますね。
続いて右WGについては、中原選手が、松崎選手に対して一歩リードしている形かと思います。昨季のJ1での実績もそうですが、何よりセットプレーの左足のキッカーとして替えが効かない存在です。
逆の左WGについては、現時点のスタメン候補としてはカピシャーバ選手の一強になると思います。西原選手・小竹選手・郡司選手と若くてポテンシャルの高い楽しみな選手は数多くいるものの、J1での実績や守備での貢献度を踏まえると現時点ではカピシャーバ選手に代わる存在はいない状態です。
最後に1トップですが、ここが一番難しいです。昨季の実績があり、キャプテンで周りを使うポストプレイ及びプレスの部分で最も信頼が高い、北川選手がスタメンとしては最有力ですが、TMで存在感を示し、また今季の両WGとの相性もよさそうなタンキ選手がスタメンも十分あり得ますし、少し出遅れているかもしれませんが、ブルガリア代表かつブルガリアリーグ得点王で嗅覚に優れる「メチョ」ことアフメドフ選手もスタメン抜擢はありえます。2名以上が調子が良い場合には2トップで同時起用もあり得ると思います。計算のしやすい北川選手をスタメンで起用しながら、タンキ選手・メチョ選手を途中投入して、結果を残した選手を次にスタメン起用するなど、試しながらになると思います。秋葉監督としてもうれしい悲鳴になりますね。
セットプレーのキッカーは?
セットプレーのキッカーとしての序列は、左足は中原選手>松崎選手、右足は矢島選手=山原選手>小塚選手>宇野選手になると思います。よってこのスタメンの場合には、左足なら中原選手、右足なら矢島選手と山原選手が交互に蹴ることになりそうです。TMではCKについて右も左も中原選手が左足で蹴っていましたのでその可能性はあるかもしれません。
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CKについては右足で蹴る場合はキック精度の良し悪しというよりも、空中戦の強さで矢島選手がフィールドに残り、山原選手がキッカーとする考え方もありますね。
ベンチ入りメンバー候補は?
続いてベンチ入りメンバーについての考察です。まず重要な前提が、ベンチ入りメンバーが、GKも含めて昨季の7名から今季は9名に2名増えたことです。
昨季については、GK1名を除けば、フィールドプレーヤーでベンチに置ける選手は6名のみでした。ので、基本はDFに2名(CBとSBの控え)、MFに3名(ボランチで1名・WG/CMFで2名)で残る1枠をFWに1名という形が多く見られました。今季はこれに2名追加できますので、WG・CMFで1名、FWで1名追加して、以下のような配分になると思います。
GK 1名
DF 2名(CB 1名・SB 1名)
MF 4名(ボランチ 1~2名、WG/CMF 2~3名)
FW 2名
GKの控えは、猪越選手と梅田選手の争いです。実績なら梅田選手ですが、成長著しく磐田とのTMでいいセーブを見せた猪越選手が控えGKの座を奪う可能性もあります。
DFについては、CBはジェラ選手・蓮川選手・高橋選手のうちスタメンから漏れた1名が入るでしょう。誰かにコンディション不良などがあった場合は羽田選手が入ると思います。続いてSBについては、左右の両方ができる吉田選手が控えの1枠としては有力でしょう。北爪選手はWGやWBもできるためMF枠としてベンチ入りする可能性はあります。
ボランチについては、上記の理由から弓場選手は置いておきたいのではないでしょうか。加えて攻撃的なボランチとCMFができる小塚選手。そうすると2枠をWGで使えるので、左WGの控えに西原選手(か小竹選手)、右WGの控えに松崎選手を置く形がありそうです。もちろん郡司選手という手もあります。
最後にFWについては、スタメン候補3名のうち、余った2名(北川選手がスタメンの場合はタンキ選手とメチョ選手)を置くという形が有力かと思います。
まとめると以下のようなスタメン・控えメンバーのイメージになります。
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途中交代によるシステム変更オプション
上記のスタメン・控えメンバーを前提に、試合展開による途中交代及びシステム変更のオプションについて考察してみましょう。
①システム変更せずに強度を維持
まずはアウェイで同点の状況など、リスクをとって点を取りに行く必要も、守備固めをする必要もないケース。4-2-3-1のシステムを維持しながら選手交代によって強度を保つ場合、選手交代はこのような形になるでしょうか。運動量の多い前線の選手を中心に同ポジションの選手を交代します。
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トップは北川選手から万能型のメチョ選手に交代。CMFは乾選手から小塚選手に交代してまた違うリズムを。運動量を求められる左右のWGはそれぞれ西原選手・松崎選手を同ポジションで投入。年齢的にも疲れが出そうな矢島選手を左利きボランチの弓場選手に交代して、試合を締める形に。
②点が欲しい状況でより攻撃的な4-4-2に変更
続いて相手にリードされていて、リスクをとってでも点を取りに行きたいケース。システムを4-4-2に変更して、2トップとすることで前線の枚数を増やし、小塚選手をボランチに起用することで、ボランチからのゲームを組み立てさせ、より攻撃的にする形。
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ターゲット役のタンキと、フィニッシャー役のメチョを2トップにすることで、前線の迫力を増す。両WGはフレッシュな西原選手と松崎選手を投入することで活性化し、ボランチを矢島選手から小塚選手に交代することで、ボランチの位置からゲームを組み立てさせる。当然守備面でのリスクは負うが、点を取ることに比重を置いた布陣になる。
③リードしている状況で守備的な3-4-2-1に変更
これはリードして試合を締めに行く、昨季もよくやっていた3-4-2-1へのシステム変更。CBを1枚増やして、最終ラインで数的優位を作りながら、ボランチやWBにも守備的な選手を投入。前線はターゲットマンを置いてトップ下を2枚とすることで、長いパスによる局面回復を容易にする形。
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高橋選手を最終ライン真ん中に投入することで3バックに変更(高木選手をスライドさせる形でも対応可能)し、右WB(あるいは左WB)に守備力に優れる吉田選手を投入。左ボランチにはインターセプト能力の高い弓場選手を起用。2シャドーの位置には北川選手・カピシャーバー選手・中原選手の中で疲れの少ない選手を残し、もう一枠にはバランスのとれる小塚選手を投入。最前線にはタンキ選手を入れることでロングボールのターゲットにする。こちらのシステム変更を想定する場合には、カウンターの矢にする意味でも、右WGで北爪選手を起用したいですね。
前編の総括
昨季からの戦術面での積み上げ・差分についても書きたいと思っていましたが、長くなりましたので一度こちらで切ります。そちらについては後編として書きたいと思います。
前編はいかがでしたでしょうか。外野目線でのシステム・選手配置の考察で、ウイイレ的な思考であることは否めませんが、一サポーターとしては、システムや選手配置を考えながら、試合展開に想いを馳せることほど楽しいことはないですよね。シーズン前の楽しみということでご容赦いただければと思います。
皆様の考えるシステムやベストメンバー、選手交代の方法などあれば、ぜひXのコメント欄などで教えてくださいね。
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