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展望: 2024 J2 第36節 栃木 vs 清水
明日は今シーズン最後のアウェイの栃木戦。前節の山形戦で敗戦をしてお預けとなったJ1昇格も、この試合で勝てば他会場に関係なく決まります。勝ち点差で追う首位横浜FCを逆転して優勝を狙うためにも、勝つ以外の選択肢はない試合といえます。相手の栃木SCは、18位と自動降格圏内に低迷しています。もしこの試合、清水に敗れるか引き分けて、大分が勝つようなことがあれば、J3への自動降格が決まります。そういう意味で栃木にとっても絶対に負けられない試合になります。この試合の展望を簡単に書きます。
栃木とのこれまでの対戦は?
GWの5/3に行われたホーム栃木戦は、試合開始早々に矢島・ブラガが得点し、その後南野に1点を返されましたが、後半の終盤に山原、松崎が追加点を挙げて4-1で快勝。当時5連勝を達成しました。ハイライトはこちらになります。
この試合は乾が不在で、代役を務めた矢島が躍動。システム的にも2トップの4-4-2で戦いました。
詳しくはでしnoteをご覧ください。
去年のアウェイ栃木戦は1-1の同点と苦い思い出があります。先制してかなり優位に試合を進めていたのにも関わらず、後半23分に失点し、同点となりました。
とはいえ過去の栃木との戦績はあまり参考にならないかもしれません。前回ホームで対戦した際は、栃木の監督は田中誠さんでしたが、この後5/14付で解任され、新しくかつて清水を指揮しJ1昇格を果たした小林伸二監督が就任しています。そこから既に5カ月が経っていますので、コバさんこと、小林監督のやりたいサッカーも浸透しているでしょう。
栃木のこれまでの戦績は?
栃木は現在7勝11分17敗で勝ち点32の18位と自動降格圏内に低迷しています。小林監督就任以降も、4勝8分8敗と多少は上向きましたが大きな上昇には至っていません。17位の大分とは勝ち点差5であり、残り3試合となる中で残留には厳しい状況です。直近の5試合は1勝3分1敗と五分の成績を残していますが、ここ3試合は3分、得点1失点1と守備の固さはあるものの、攻撃力に課題があるようです。
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スタッツ的にもあまり特筆することはなく、得点は1試合平均0.9で16位、失点も1.5で16位。
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クリアなど守備関連のスタッツは中位であるものの、パス・クロス・ドリブル・ボール保持率などは低い水準で、しっかりと引いて、ボール保持に拘らず長い距離のボールでカウンターを狙うような戦い方が表れています。
栃木のシステム・戦術は?
栃木の前節のスタメンはこちらになります。
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システムはここ最近はこの3-4-2-1を採用。守備時は両WBが下がって5-4-1の形で守備ブロックを敷きます。5枚がかなり下がって、ペナルティエリア内まで押し込まれるような展開が多く、それでも最後のところで身体を張って止めるような守り方をしてきます。こちらのデータを見る限りは、30分以降の終盤に失点が多いようで、粘り強く攻め続けることが大事になりそうです。
攻撃に関しては、トップ下(シャドー)の2枚は、横浜FCのようにワイドにはるというよりも、1トップの近くでインサイドでプレーすることが多く、サイドのスペースは両WBが上下動でカバーします。ワントップには、宮崎・矢野・イスマイラと背の高い「電柱」タイプの選手を置いて、ターゲットにして、このトップ下の2枚がセカンドボールを拾うような戦い方をします。特に宮崎選手はボールを収めるのが上手い選手なので、簡単にやらせないようにすることと、セカンドボールを拾うことが大事になるでしょう。
栃木の予想スタメン・注目選手は?
前節はこれまでスタメンで起用続けていた宮崎選手を外して、40歳大ベテランの矢野貴章選手をスタメンで使いましたが、無得点に終わったため、怪我などでなければ宮崎選手が復帰するのではないでしょうか。
また両ワイドも大森、森に、3CBも右から福島、平松、ラファエルの並びに戻すのではないかと思います。
つまり前々節のホーム愛媛戦の布陣に近い形になると思います。ボランチは青島→玄(徳島から期限付き移籍、清水も狙っていたと言われている選手)になる可能性もありますね。
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注目選手は2名。まずはワントップの位置に入るであろう宮崎鴻選手。長髪がトレードマークの大型FWで、ホームで対戦した際も前線の脅威になっていましたね。今季はこれまでのキャリアハイとなる6ゴールをあげています。
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そしてもう一人が南野選手。ガンバ大阪から期限付移籍をしている弱冠20歳の若いFWです。前回対戦時にも清水からゴールを奪った選手ですね。それ以外にもゴールを脅かすシーンがたくさんありました。これまで7得点とチーム得点王になっています。
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特にこの二人には注意が必要だと思います。
清水の予想スタメン・サブは?
さて清水ですが、前節は山形に内容では上回りながら、ホームでの初黒星を喫しました。その際には山原選手がなんらかの理由で欠場。左SBには吉田豊選手が代わりに入りました。栃木戦も山原選手が復帰できるかどうかがまず大きな焦点の一つですね。また山形戦の翌日に行われたTMの相模原戦では、松崎が1得点1アシスト、郡司が1得点とアピールをしています。U18日本代表でアジアカップ予選出場以降出番のない西原選手、またTMでは出場がなかったアジズ選手含めて、山形戦のスタメン以外の選手の抜擢があるのかも注目ですね。
もう一つ、清水が「乾システム」として用いる、4-2-3-1は、栃木の3-4-2-1のシステムとは相性が良くないこと。乾はフル出場が続き、またアウェイのピッチではアイスタのようなパス回しは難しいことから、思い切って3-4-2-1のミラーにする、4-4-2の2トップにするなども考えられます。
個人的には昨季の終盤は同じシステム・メンバー固定で戦い続けたことが疲労蓄積に繋がってしまったので、この栃木戦は前節の敗戦を踏まえて思い切って変えてもいいのではないかと思っています。
ですのでこちらが私の予想スタメン・サブです。
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栃木がペナルティエリアまでラインを下げることになりそうなので、空中戦が武器のタンキを先発で起用。また孤立しないように北川と2トップを組ませる。サイドMFは難しい役割になるので、IQの高いカルリと矢島を起用。こちら守備時にはカルリが最前線にあがって3CBに対して3枚でプレスをかける。その際には山原左WBに、矢島が右WBに、最終ラインはジェラ、高橋、原の3CBになるような可変をする。こうすることで相手の攻撃時の枚数と合わせて嵌めることも可能になります。矢島のところに西澤を起用する。矢島を左に回して、右にブラガを起用するという選択肢もあるかもしれません。矢島を先発にすることでセットプレーの攻撃力を高めることも可能です。
サブには、沖、蓮川、北爪、乾、西原、ブラガ、アジズを起用。アジズが間に合わなければ郡司でもいいかもしれません。
攻めあぐねて前半得点が取れない場合にはハーフタイムに乾を投入。後半からの起用であれば最後まで走り回れるでしょう。それでも取れないなら、西原、ブラガ、アジズと攻撃のカードを次々切る。逆に、複数得点するなどリードを奪えたら北爪を入れて3バックにする。このように状況に応じた戦い方ができます。ボランチの控えがいないのは心細いですが、矢島も原もいざとなればボランチでプレーができます。
清水はどう戦うか?
山形戦は正直、J1昇格を意識しすぎて力が入りすぎたかなと思っています。逆にアウェイ栃木は、多くのオレンジサポーターは集まると思いますが、全体が昇格ムードとなるわけではないでしょう。ですので、目の前の試合に集中して、平常心で戦うことがまず最も大事だと思います。
次に試合の入りの部分。上記のように、サブに強力な選手が控えていますので、あまり後ろのことは考えずに、前半頭からフルアクセルでやって欲しい。清水は最終ラインまではプレスをかけるようなことはしないと思いますが、清水はそれをやって欲しい。もちろん長いボールを蹴られるかもしれませんが、それは最終ラインを信じて、どんどん前からプレッシャーをかけることで相手を最初から後ろ向きにしたい。
さらに、攻撃時には、チャレンジ精神でダイレクトや走り込みを積極的にやって欲しい。一度奪われても相手は引いているのでゲーゲンプレスをかけて奪い返す、セカンドボールを拾うなどして波状攻撃に繋げる。秋葉監督もいっているように、シュートはGKやDFに当たってもいいから、低い弾道で枠に飛ばす。クロスも(タンキが入れば別ですが)グラウンダーのクロスでどんどん跳ね返りを狙う。とにかくPAの中に相手の最終ラインをへばりつける形で、波状攻撃をすること。ここに注目したいです。
今年最後のアウェイの戦い。必ず勝って帰りましょう!!
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