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展望: 2025 J1第2節 清水 vs 新潟

2025シーズン、3年ぶりのJ1の舞台でのホーム開幕戦、新潟戦の展望を書きます。J1でのホームの試合は2022年10月29日の鹿島戦以来。相手は同じくオレンジをチームカラーとする新潟。『オレンジダービー』としていきなり負けられない相手との対戦になります。


新潟のこれまでの戦績は?

新潟は開幕戦はアウェイで横浜Fマリノスと対戦。前半で先制、マリノスの攻撃をシュートゼロに抑えるという完璧な試合は運びをしながら、後半にPKを献上し同点に追いつかれ、引き分けで終了。マリノスにシュート数で15対6と上回りながら勝ち点1を獲得するにとどまりました。
この試合のハイライトはこちらです。

前半の新潟は特に守備面について完璧な試合運びでした。前線に強力なタレントを要するマリノス相手にシュートゼロと完封。攻撃においても左サイドの稲村あるいは橋本から左足での質の高いロングボールに対して、前線の谷口、長谷川、太田といった選手が裏抜けで反応。前半26分にはまさにこの形が実り、橋本から太田へのパスが通りゴールを奪いました。
守備面では、ハイプレスを敢行。マリノスのGKまでプレスをかけ続ける徹底ぶりで、マリノスが前線にボールを運ぶことを難しくしていました。
後半は名称ホランド監督による修正、選手交代、システム変更で息を吹き返したマリノスが後半中盤以降はペースをつかみ、遠野の巧みな切り返しに新潟の宮本が足をかけてしまいPK。アンデルソンロペスが通算100点目となる今季リーグ戦初ゴールを奪って同点。その後もマリノスが攻め込みましたが同点のまま試合は終了しました。

今季の新潟はどんなチームか?

昨季は最終節まで残留争いに巻き込まれ、最終的には10勝12分16敗で勝ち点42の16位と残留を果たしました。一方でルヴァンカップでは決勝まで進出し、残念ながら国立にて名古屋との激闘で延長PK戦の末敗れて準優勝となり、J1リーグ・カップ戦における初タイトルを逃してしまいました。
今年は、樹森監督を新監督に迎えて再スタート。前任の松橋監督のスタイルを継承しながら、さらなる上積みを狙う1年になります。
こちらが移籍情報です。

2024-2025シーズンオフの移籍情報

比較的動きの少ないオフとなった印象はあるが、年明けにジェイソンゲリア、ミゲルシルヴェイラという外国籍選手を獲得。また山口から若月、レンタルバックで昨季J2藤枝で16ゴールをあげた矢村健、U23代表経験もあるGKの藤田和輝が復帰。一方で、ルヴァンカップで得点王に輝いた長倉は浦和レッズに、守備の要であったトーマスデンは横浜Fマリノスに、正GKだった小島は柏に移籍。戦力的には維持という形になりました。
昨季の主なスタッツは以下の通り。

2024シーズンの新潟のスタッツ

ボール保持率は2位の56.6%、パスは1位、その他攻撃回数関連のスタッツが高く、昨季はボールを保持しながら、速い攻撃であたっキングっサードを狙っていくような、サッカーを展開していました。

新潟と清水の対戦成績は?

リーグ戦での直接対決は2017シーズンまで遡りますが通算成績は清水の10勝7分14敗と決して相性の良い相手ではないようです。

最後に対戦した、2017年11月26日のホーム最終戦は金子翔太、北川航也の得点で2-0とリードを奪いながら、後半に2-3で逆転されるという苦い思い出が残っています。
とはいえ監督もメンバーも当時からは大きく変わっていますので、ほぼ初対戦という気持ちで臨むのが良いでしょう。

新潟の基本システムは?

新潟は昨季は4-4-2と4-2-3-1を併用していましたが、ワントップ役の長倉は移籍、小野もベンチ入りしていないことから、当面は4-4-2でいくものと思われます。戦術的な特徴は、ハイラインでのプレス。2トップ中心に前線でのプレスに人数をかけて、高い位置で奪ってのショートカウンターを攻撃の形として重視しています。また最終ラインで保持をしながら、左CBの稲村、左SBの橋本の左足から精度の高いロングボールを出して一気にゴールに迫るような攻撃を得意としています。

新潟の予想スタメン・注目選手は?

さて、新潟の予想スタメンですが、基本的には開幕戦の横浜Fマリノス戦と同じようなメンバー構成になるのではないかと予想します。あるとすればマリノス戦に交代出場で良い仕事をしたボランチの新井選手や、トップの矢村健選手を起用する形でしょうか。予想スタメンは以下の通りです。

新潟の予想スタメン

基本は前節のスタメンを踏襲しながら、清水戦で複数得点を決めている矢村健を先発に抜擢。また22番の新井選手をボランチで起用しました。

注目選手①稲村隼翔選手

昨年は現役大学生で特別指定ながら、ルヴァンカップ決勝も含めて、左CBとしてレギュラーの座を獲得。左足での精度の高い長短のパスワークが持ち味で、日本代表に呼ぶべきという声があるほど期待されている選手になります。

最大の武器は左足の精度の高いキック。最終ラインからの制度の高いロングパスは本当に脅威になります。

注目選手②橋本健人選手

稲村選手と同じく、左利きで、精度の高いキックが持ち味の選手。昨年の夏に徳島から新潟に加入。今季は左SBとしてレギュラーポジションを獲得し、開幕戦もアシストを記録しています。

左足のキック精度が高い新潟橋本選手

横浜Fマリノス戦では、セットプレーのキッカーも任され、左CKも任されていましたので、相当信頼があるのだと思います。清水は順当にいけば中原輝選手が対峙するはずで、この橋本選手のケアは大事なピントになりそうです。

注目選手③矢村健選手

さて、最後にあげたいのは皆さんもご存知の矢村健選手。昨季までは藤枝に所属し、昨季もアウェイ藤枝戦でゴールを決めた選手です。

今季は新潟にレンタルバックされ、9番のエース番号を背負うことになりました。開幕戦はベンチスタートということで出場時間は限られましたが、その中でも存在感を示し、清水との相性の良さからも先発に起用される可能性は高いのではないかとみています。

清水エスパルスの予想スタメン・サブは?

さて清水エスパルスのスタメンですが、秋葉監督は勝っているチームは無暗にいじらないことをポリシーにしているため、基本的には開幕戦のスタメンがベースになると思います。
ベンチメンバーに関しても、大きく変わらないように思いますが、唯一あるとしたら、小塚選手のベンチ入りだと思います。彼は少しコンディション不良で出遅れていましたが、直近の練習動画でも復帰している様子が見れましたので、トップ下・ボランチの両方をこなせる小塚選手がベンチ入りする可能性はあると思っています。
こうした考えからの予想スタメン・サブは以下の通りです。

J1第2節H新潟戦の予想スタメン

古巣対決となるタンキ選手にも期待したいですね。

清水はどう戦うべきか?

システムの組み合わせはこうなります。

清水-新潟の予想スタメン

かみ合わせた図にすると、こうなります。

清水-新潟のシステムかみ合わせ

ポイントは、まず清水の最終ラインにおいて2トップに対して2CBということで数的同数となります。逆に清水のトップは1名に対して2CBということで数的不利です。一方、中盤真ん中が清水が3名に対して新潟が2名となり数的優位です。新潟は2トップの一角が下がってボランチの1名をケアすると思いますが、そのタイムラグを使ってボールを前に運べるチャンスもあると思います。
一方でこのシステムの場合気になるのが、清水保持のビルドアップの場面です。新潟は、開幕戦の横浜FM戦でもかなりのハイプレスをかけていましたが、この試合もおそらく積極的にプレスをかけてくるはずです。
この際に清水としては、深い位置では沖選手がビルドアップに加わる、ゾーン2付近では宇野選手が「アンカー落ち」をするという形にして、3枚でビルドアップできる状態を保つようにするかもしれません。ここは注目をしたいと思います。
共通して、サイドに揺さぶりつつも、システム上は数的優位であるはずの中盤中央で、乾選手やブエノ選手が縦パスを受けられるような展開になると、清水に前を向いての攻撃チャンスが生まれると思います。

清水のビルドアップのパターン①:沖選手が加わる
清水のビルドアップのパターン②:宇野選手がアンカー落ち

一方で、守備時は清水はベース4-4-2のラインで守るため、ミラーゲームになり、誰が誰を捕まえるのかは比較的わかりやすいと思います。逆にいえば、目の前の相手にデュエルで負けないことが求められますし、それを勝てる選手が集まっていますので、そこは期待しましょう。

さて、新潟を率いる樹森監督は、昨季は水戸のコーチでした。秋葉監督が水戸の監督時代にもコーチをしていたということで、秋葉監督のこともよく知っています。水戸といえば清水にとっては苦手意識はあるのですが、その戦術を担っていた樹森監督が、J1の舞台で新潟の選手を率いて清水に向かってくるということで、油断はできないでしょう。
一方で、新潟は開幕前の順位予想において、降格圏内を予想する記者も多く、残留そして一桁順位を目指す清水にとっては、ホームでは絶対に勝たなければいけない相手でもあります。
清水は前日練習をアイスタで行ったらしく、実際のピッチの上で「新潟対策」をしっかりできたと思います。
J1では少数派になった、ボール保持を志向したアクションフットボールを標榜する「オレンジ」のチーム同士の戦い。どちらのフットボールに軍配があがるのか、非常に楽しみです。

最後に

ONE FAMILYでJ2優勝勝ち取って、自らの手でつかんだ3年ぶりのJ1の舞台。待ちに待ったホーム開幕戦です。この試合、新加入選手も多く出場しますし、昨年のレンタルから完全移籍で今季「清水の子」になった選手もたくさんいます。
そうした選手たちが「ホーム」を感じられるよう、オレンジに染まるスタジアムから、最大の声量や拍手で、選手たちを後押ししましょう。J1の舞台を最大限楽しんで勝ちましょう!!

このひとつひとつの言葉のように

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