展望: 2024 J2 第38節 清水 vs 熊本
皆様、J2優勝&J1昇格おめでとうございます!あのJ2降格が決まった日からほぼ2年間、そして昨年12/3のPO決勝から約1年間。本当に時間が止まったような気がしていました。もちろん毎試合、毎試合本気で応援していたし、試合結果に一喜一憂していたのですが、それでもあの悔しい思いは消え去ることはありませんでした。それでも前々節の栃木戦で昇格を決めて、前節のいわき戦で優勝を決めて、初めてあの日の苦い記憶が良い思い出に変わりました。本当に良かったですね。
そんな優勝気分に酔いしれて、金曜の夜も相方と優勝祝いをしていたのですが、その時に衝撃的なニュースが飛び込んできました。それは権田選手の清水エスパルス退団という知らせ。
あまりに突然のことでまだ消化できていないのですが、権田選手には感謝しかありません。特にJ2に降格して、打ちひしがれていた自分に、あのカタールW杯での活躍がどれだけ勇気を与えてくれたか。現地でドイツ戦・コスタリカ戦・スペイン戦を観戦したのですが、特にドイツ戦でのPlayer of the match獲得が、自分にとって清水エスパルスというチームに誇りを感じさせたか。それ以外にも、権田選手は、清水の良い部分を尊重しながら、勝負弱さ、なれ合いの文化、ホームのネガティブな雰囲気払拭など、清水にとって積年の課題の解決にどれだけ貢献してくれたか。本当に近年これ以上貢献度の高かった選手はいなかったと思います。
そんな権田選手の清水エスパルスの選手としての最後の日ということで、明日はどうしても勝たなければいけない一戦となりました。将来を見据えて、これまでの出場機会の少ない若手中心の編成にはなると思いますが、今年最後となる展望について書いていきたいと思います。
熊本との対戦成績は?
熊本の通算成績は、清水の4勝1敗。今季は第1節の開幕戦で対戦。アウェイで少し不運な形で先制される苦しい展開でしたが、山原選手の同点ゴール、原選手のクロスからのオウンゴールで逆転。開幕白星スタートになりました。こちらがハイライトです。
またでしnoteの観戦記はこちらです。
この試合は勝つには勝ちましたが、両者非常に拮抗している状態で、どちらが勝ってもおかしくありませんでした。
さらに昨季はホームで先制してから3点を奪われての逆転と敗れています。
連勝中の勢いのある清水が、絶対に勝てると思って臨んだ一戦でのまさかの敗戦。これがJ1昇格を逃す形になったきっかけとなる試合でした。
もちろんメンバーは変わっていますが、元清水の大木監督率いる熊本は清水にとって相性のあまりよくない、曲者の相手といえます。
この時の借りは返せていませんので、やはり今回ホームでは熊本に必ず勝たなければいけない試合だと思います。
熊本のこれまでの戦績は?
熊本は、これまで13勝7分17敗、勝ち点46の12位で中位につけています。昨季が14位ということで、この順位以上はキープしたいところでしょう。
9月には4連勝もあり、またその後勝ちきれない試合もありましたが、前節は昇格PO争いをしている仙台をホームで3-1と退け、ホーム最終戦を勝利で飾りました。さらにスタッツを確認すると、特に攻撃面では非常に高い数値を誇っていることがわかります。まずは得点や失点に関するスタッツです。
ゴールは1試合平均1.4点で5位。一方で失点は1.6点で19位。攻撃回数は2位と攻撃力が高く、得点は多いけど、失点も多いというチームです。
さらに詳細なスタッツを見てみましょう。
なんと、一番下のボール保持率はリーグ1位(清水は3位)、パス数も1位(清水は2位)、ドリブルも2位(清水は3位)と攻撃関連のスタッツが軒並み高い数値になっています。ボールを保持し、ビルドアップを後ろから手数をかけて丁寧につなぎ、ドリブルも多用しながらゴールに迫るようなサッカーがデータから想像できます。まさに、J2最強の攻撃力を誇るチーム同士の戦いと言えます。
その他タックル数も1位と守備時も、前線から非常にアグレッシブにプレスをかけてくるチームということがわかりますね。
熊本のシステム・戦術は?
熊本は、システム的には3-3-1-3というスタッツに表れているように非常に攻撃的なシステムを用いています。
攻撃時は基本的にはこのシステムの通りです。ビルドアップ時は3枚のCBでパス交換を行い、ボランチの上村、左WBの三島、右WBの豊田、時にはトップ下の古長谷が引いて受けに来ます。さらに相手陣に押し込んだ際には、愛媛などと同様に非常にコンパクトな形をとります。ちょうどピッチの縦半分を使うような、ボールサイドに極端に固まるような形で、ショートパスをつなぎながら前進をしていきます。また特徴的なのはサイド攻撃で、他のチームと違って、三島、豊田が比較的最初から高い位置を取り、さらに最前線には東山、大本がWGのような形でいますので、ここで数的優位を作りやすくなります。
一方で守備になると、前線の3名+1名で積極的に相手最終ラインにプレスをかけます。逆にリスク面として、その前線プレスをかいくぐれば、WBの三島、豊田の裏、3CBの脇にスペースが生まれやすく、ショートカウンターなどでここを破られることが多々あります。まさにハイリスクハイリターンな戦術をとっていることが、熊本の特徴といえるでしょう。
熊本の予想スタメン・注目選手
熊本の予想スタメンですが、左WGのポジション以外はここ10試合ずっとメンバーを固定して戦っており、同じ形をとるでしょう。左WGは前節久しぶりにスタメンに入った東山に加えて、唐山、松岡と候補がいます。前節仙台に3-1で勝っていますので、上記の前節のスタメンがベースになるでしょうか。
最初の注目選手は何といってもCFの石川大地選手。2022年にJ3の鳥取で15得点を挙げて、2023年にロアッソに移籍。昨年は9ゴール、今年は序盤戦にケガで一度離脱しましたが、22試合先発でここまで10ゴールと大暴れ。シュート技術の高い選手で右でも左でも頭でもワンタッチでゴールを決められるボックス型のストライカーですね。仙台戦でも2ゴールを挙げてチームを勝利に導きました。
続いてはロアッソ熊本の心臓、上村周平選手。164cmと小柄ながら豊富な運動量で中盤を支配する、清水でいえば伊東輝のような選手。昨年は40試合中39試合先発、40試合出場。今年もこれまで37試合中35試合先発という鉄人ぶり。ボール奪取はリーグ3位。育成型クラブのロアッソ熊本においては珍しい、地元出身、ユース出身の生粋の「ワンクラブマン」として熊本の象徴。最近はFKのキッカーも務めている。
最後に挙げるのが真ん中のCBを務める江崎選手。江崎選手も昨年も40試合すべて出場、今年も37試合37先発。途中交代も一度だけという熊本には欠かせない守備の要です。彼も熊本出身で、駒澤大学経由でロアッソ熊本に大卒として加入し3年目です。守備ポイントが98.20とリーグ4位。ボール奪取もリーグ4位です。自陣パス数がリーグ1位で、ビルドアップの起点になります。
この3選手以外にもみぎさいどの大本と豊田の縦ラインは強烈ですので注意が必要となりますね。
清水の予想スタメン・サブは?
さて、続いては清水の予想スタメンになります。前節で優勝・昇格が決まり、順位も確定していますので、ある意味「消化試合」ともいえるため、より将来を見据えて、これまで出場機会の少なかった選手を起用する可能性が高いと思います。
特に、練習で高いパフォーマンスを出しながらも、出場機会があまり得られなかった選手が中心になるのではないでしょうか。これまでリーグ戦で数分出場していたり、サブだったりした選手を先発で、これまでリーグ戦で出場はないけれども機会を与えたい選手をサブに置くようなイメージです。
一方でホーム最終戦を勝利で飾りたい、すでに退団が発表されている権田選手を含めて、このチームで戦える最後の公式戦となるためにあえてベストメンバーを起用するということもありえるかもしれません。
もう一つ権田選手の起用についても注目が集まりますね。
ただ権田選手は、その性格を考えれば、本人から清水に残る選手を起用するような進言をする気がします。また秋葉監督の性格的にも、出場機会を与えられなかった選手を優先的に起用するように思います。
ですので、今年最後の当たらないスタメン・サブ予想はこうなりました。
サブ 梅田、高橋、川谷、宮本、西澤、加藤、タンキ
サブには、どうしても入れたい選手が二人。それは川谷凪選手と加藤ゴリ選手。川谷選手は、三保で見るたびにどんどんうまくなっていた選手。特にドリブルで持ち上がる姿が迫力があり、トップチームで見てみたい選手です。もう一人が何といっても加藤ゴリ選手。二度にわたる右膝十字靱帯損傷の大けがを乗り越えて復帰。それまで想像できないほど大変なリハビリや練習をしながら、試合の日には必ず先頭でメンバー入りした選手たちを励まし、大きな声で明るく声をかけていました。もし加藤選手が公式戦に出場したら多くの清水サポが涙するでしょう。私もタオルを持参します。
最後の予想がどれだけ当たるか(外れるか)大変楽しみです。
清水はどう戦うか?
メンバーが全く予想できませんので、清水としての戦い方は想像もつきませんが、このメンバーであれば縦に速い選手が多く、また熊本のウィークポイントである、相手のCBの脇をつくのに最適な西原、松崎の両WGがいますので、どんどんスピードで突いてほしいですね。矢島・成岡と攻撃センスの高いWボランチなので、彼らが起点になって裏にどんどんボールを出すことができればおのずとチャンスはできると思います。
最終ラインは比較的経験値の高い選手が多いので、しっかりと守ってくれるでしょう。沖くんのコーチングにも注目ですね。
最後に
ということで、でしnoteの「展望」も今年最後になりました。もともと自分が試合前に対戦相手のことを調べてから、実際の観戦に入ることが好きで、習慣化していたものを、noteという形で書いただけではありますが、自分自身も相手のことを調べることで、J2リーグの各チームのことにより一層愛着がわいたり、新しい発見もありました。
来年はまたJ1になり、対戦相手も大きく変わりますので、展望は続けていきたいなと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。
明日、権田選手は清水エスパルスとして最後の試合になります。また他にこのシーズンオフにお別れを告げる選手もいるでしょう。最後の試合必ず勝って有終の美を迎えたいですね。
それでは皆様、アイスタで。