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観戦記: LC 2回戦 富山 vs 清水

でしは現地には行けませんでしたが、Amazon PrimeのサッカーLIVEライトでリアタイ観戦しましたので、簡単にレビューを書きたいと思います。


スコアレスドローの末のPKでの敗戦

こちらがハイライトです。

完全ターンオーバーをして、フレッシュなメンバーで臨んだアウェイ富山戦でしたが、120分間得点が入らず、PK戦も延長となり、最後は有利な先攻だった富山が6-5で勝利する形になりました。雨足の強さは試合の中でも変わっていましたが、120分間、ずっと暴風雨かつ、富山総合運動公園陸上競技場のピッチは荒れてしまった状態で、過酷な環境の中でのゲームになりました。
こちらが延長終了後のスタッツになります。

富山 vs 清水 延長終了後のスタッツ

シュート数は23 vs 11と清水が大きく上回りました。一方で、枠内シュート数でいうと4-4で同数となり、シュートは打ちましたが、枠内率には問題を残した形です。
またこれを時間帯ごとに分けてみると、傾向が良くわかるのですが、前半のスタッツはこちらです。

富山 vs 清水 前半のスタッツ

前半は清水のボール保持率が60%を超えて、シュートも9本、CKも5本獲得と圧倒していることがわかります。
後半終了後のスタッツは以下の通り。

富山 vs 清水 後半終了時のスタッツ

上の2枚の引き算をしてもらえればわかりますが、後半だけでいうとシュート数は5 vs 8、CK数は4 vs 2、ボール保持率は富山が上回るなど、富山ペースになっていることがわかります。これは主には後半25分に、タンキ→千葉、郡司→川本の交代後、清水が4-2-3-1に変更しますが、前線にフレッシュな選手を入れたものの、後ろが重たく、間延びしてしまい、結果ペースを握られたからです。
再掲になりますが、延長戦終了後はこのスタッツになります。

富山 vs 清水 延長終了後のスタッツ

小竹選手の投入もあり、清水が少しだけボール保持率を戻していますが、基本的には、互角の戦いでPK戦に突入することになりました。

試合の勝敗を分けたのは?

完全ターンオーバーで臨んだことは決して悪くなかったように思います。まず不運だったのは、富山のピッチコンディションが悪かったこと。いつもアイスタや三保で練習しているような、スムーズなパス回しができない過酷な条件の中でのゲームを、初めて組むメンバーでやらなければいけなかったこと。また怪我などの影響でアンバランスな選手編成を余儀なくされたこと。西澤を本職ではない左SBで起用しなければいけませんでしたし、センターバック、サイドバック、ボランチに控えがおらず、この6名はフル出場しなければなりませんでした。原や白崎など怪我明けの選手が多く、後半・延長と運動量が落ちてしまったのは仕方がないことだったと思います。
もう一つ上げるとすると、この試合に臨む上でのゲームプランの部分。でしnoteの展望でも書いた通り、終盤で点を取らなければいけないケースを想定して、せっかく用意されている9人枠を使い切る形で、ベンチ編成を考えるという選択肢もあったと思います。
具体的には、後半相手が疲れてスペースがある中で力を発揮できる、松崎・西原をあえて控えスタートにする。秋葉監督は、仙台戦のスタメンメンバーの完全休養を選択しましたが、北川やカルリなど、どうしても得点が欲しいときに投入できるメンバーを置いておくこと。こうしたことができていれば、結果も違ったかもしれないなと思いました。
一方で、若手のメンバーに経験を積ませるというのも、クラブの未来にとっては大切なコト。手段を選ばずに勝ちに行くのか、若手に機会を与えるのか、そのトレードオフの中での判断は、結果論としていうのは簡単ですが、どちらも正解だったと思います。

清水のシステム・メンバーの推移

まずは清水のスタメンです。

富山 vs 清水 清水のスターティングメンバー

予想通り、4-4-2。原・白崎がケガから復帰。西原・松崎・北爪・タンキは仙台戦途中出場ながら出場。西澤が左SBに入ります。郡司は山形戦以来の先発。沖、高木、成岡は今季初出場となりました。
ピッチコンディションの悪さから西原や松崎は苦戦しているようでしたが、左SBの西澤が起点を作り、右SBの北爪がタイミングの良いオーバーラップでサイドを抉り、郡司がタンキの周りを衛星のように廻り、タンキが最前線で身体を張ってキープするといった個々の選手の特徴に合わせてチームの狙いもしっかりしていたように思います。
中でも、北爪が突破をして、タンキのヘディングがバーに当たったシーンや、郡司が突破してタンキがシュート、その後白崎に落として白崎がミドルを狙ったシーン、そして後半の郡司が抜け出してシュートを放ったシーンなど、ゴールになってもおかしくないチャンスを作れていました。
後半25分に、岡山戦を見越してのことだと思いますが、タンキ→千葉、郡司→川本の交代カードをきります。川本選手は、鹿児島キャンプの磐田戦で怪我をして以来の登場になりますね。交代当初はシステムも松崎をトップ下にして、4-2-3-1に代えたように思います。

富山 vs 清水 後半25分からの清水のメンバー

さらに後半34分には安藤選手を西原に代えて投入します。ただこの川本選手が右サイドの4-2-3-1は機能していませんでした。疲れもあってか最終ラインと前線の間が開き、千葉選手は完全に孤立。川本選手もおそらくサイドプレイヤーではないため、ボールを引き出す動きもあまりなく前線で収まらなくなりました。
4-4-2にシステムを戻そうということで、延長前半7分に、途中交代で投入したばかりの安藤選手を小竹選手に変更し、千葉と川本のツートップに、右サイド松崎、左サイド小竹を並べます。

富山 vs 清水: 延長前半7分からの清水のメンバー

この時間帯は、小竹選手の強引な突破もそうですし、トップが2枚になったことで、千葉・川本選手が触る機会も増えて、清水のペースになったと思います。最後延長後半5分に、松崎→川谷の交代。川谷選手も初出場だったと思いますが、短い時間ながら身体の強さを見せていたと思います。
最後のPKについては、特に書くことはありません。一つだけあるとすると、ピッチは富山のサポーター側でした。足場があまり良い状態ではなかったので、清水のサポーター側を交渉するということもあってよかったと思います。またコイントスで負けたのかもしれませんが、ピッチを譲るのであれば、後攻ではなくて先攻の方が良かったのかなと。この辺りは外からはわかりませんでしたが。

清水の各選手の良かったところ

メンバー構成やピッチコンディションを考えると、あまり戦術的なことに触れるのも難しいと思いますので、今回出場した選手の感想を最後に書きたいと思います。

  • 沖選手・・・今後10年の清水のゴールマウスは沖選手がいれば安心と思える素晴らしいプレーでした。誤解を恐れずにいえば、権ちゃんに似ているなと。それだけ落ち着いているし、周りも良く見えているし、確実にプレーしていたと思います。PK戦後の涙も、沖選手の想いの強さの裏返しだと思いますし、彼は確実にさらに強く成長すると思います。今後の権ちゃんとの正GK争いも楽しみです

  • 原選手・・・練習中の怪我の影響が想定以上に長引き心配しましたが、いきなりの先発復帰かつなんと120分を怪我無く出場してくれたこと。それだけで十分です。特に蓮川選手が怪我をしてしまい、またSBも3人で回している中で、CBもSBも問題なくこなせる原選手の復帰は本当に大きいです。試合後のコメントは本当に真のリーダーそのもの。清水をJ2優勝・J1昇格に導くのは原選手だと思っています。

  • 高木選手・・・た・か・ぎ・せ・ん!去年の怪我をしながらのファイトが記憶に新しいですが、それ以来の出場だったので本当に注目していました。非常にセンスの良いDFで、身長はそこまで高くないのに空中戦の強さはこの試合でも見せてくれていました。何よりカバーリングのセンスが良い。ビルドアップの際にもっと自信をもって、1枚飛ばすとか、かわすとか、パススピードをあげることができれば更に良くなると思います。4人目の貴重なCBとSBのバックアップとして本当に貴重な存在ですね

  • 北爪選手・・・さすが部長というプレーでした。このレベルだと部長のスピードと技術は浮いてしまいますね。タンキへのクロスも完璧だったし、あれだけ上下動を120分間繰り返した後の、PKの冷静なシュート、本当にすごかった。何より、落ち込む沖選手に最初に声をかけに行ったところが本当に北爪選手らしいなと

  • 西澤選手・・・けんた!アオアシのアシトのように左SBでもゲームをコントロールするまさに司令塔でした。またFKやCKも鋭いキックでゴールまでほんの少しだった。千葉選手のインタビューでも竹内に代わって若手の手本になっているようだし、清水ユース出身ということも含めて本当に清水の宝、欠かせない選手です。器用貧乏なところがあり、今後もマルチポジションで使われることになりそうですが、西澤選手がいてくれるからこそ、他の選手が自分の特徴を出し切れるところもあるので。必ず西澤選手の活躍で勝ち点を取るゲームが訪れるはず

  • 白崎選手・・・原選手と同様ケガから復帰して120分怪我無くプレーしてくれてよかった。ボランチの中村・宮本は出ずっぱりなのでシラの復帰は大きいし、これで3人で回せるようになるはず。前半のミドルはシラの技術が結集された素晴らしいシュートだったし、運動量が落ちるまでは、中盤のバランスを取りながらゲームをコントロールできていたと思います。本来はポケットに出て行ったり、攻撃にもっと絡める選手なので、それも期待ですね。最後のPK失敗は古巣への恩返しという意味でもドラマがありました

  • 成岡選手・・・ひかるはやっぱりボランチが適性だなと思える、素晴らしいプレーだったと思います。中村・宮本・白崎と経験値の高いレギュラークラスのボランチがいる中で、出番は少ないかもしれないけれど、誰か一人欠けた時にバックアップとしてひかるがいるのは心強いし、必ずどこかで力が必要になるはず。遠慮がちな性格だとは思うのですが、ひかるのテクニックとキック技術があれば、積極的にミドルを打つなどもできるはず。120分あれだけボランチとして動いているのにどうしたらあんなにも涼しい顔ができるのか教えて欲しいです

  • 松崎選手・・・かーい。うまくいかないとふくれっ面になるところとか、自分に厳しく律することができるところとか、本当に大好きな選手です。この試合は、正直、繊細なボールタッチでのドリブルが武器の快にとっては最もやりにくい環境だったと思います。それでも、あのピッチ環境でもしっかりボールを収めて、攻撃陣をリードしていたのは紛れもなく快でした。千葉戦からゴールは遠ざかっていますが、近いうちに決めてくれると思います

  • 西原選手・・・ちょうど試合前に、スカパーの番組で、元ガンバの安田選手とかが、NEXT三笘は誰かというテーマで話をしていましたが、そこで誰も源樹の名前を挙げていなかったので「わかってないな」と思いました。でも確かに源樹にとっては三笘は通過点に過ぎないのかもしれないですね。この試合は快と同様に、とてもドリブル技術をフルに活かせる環境ではなかったし、左SBもいつもの山原選手とは異なるため、だいぶやりにくかったかなあと思います。それとあれだけの歴史的ゴールを決めた後なので、なかなかメンタル的にも難しかったように思います。それでも、一度、相手の実況が「三笘選手のようだ」と唸ったように、突破を見せてくれてさすがだなと。リーグでどんどんゴールを量産してくれるはず

  • 郡司選手・・・何もできなかった山形戦から1ヵ月程度でこんなに成長する?と驚くくらい、素晴らしいプレーでした。さすが市船出身ということもあり、ボールをもってスルスルとドリブルで抜くところなんかは、まるで唯人のようでうれしくなりました。前半の白崎のシュートに繋がった左サイドの突破も良かったし、後半の決定機も、ボールが後ろ目に入ったのに、上手くひっかけて、シュートにもっていくあたりはやはり天性の点取り屋なんだなと。郡司くんがどちらかというとチャンスメイクの立場だったので、周りの選手が彼にラストパスを出せるともっと輝くのだと思います。2トップのオプションを今後多用するはずなので、また出場チャンスはあるはず。前線のプレスを北川選手から学ぶなど、どんどん成長して欲しい

  • タンキ選手・・・タンキ・タンキ・ドウグラス・タンキ!!短気じゃなくてどちらかというと呑気なところが愛されキャラだなと思ってます。屈強な富山のディフェンダー相手でもフィジカルで一切負けずに前線でボールを収めてしまうところは本当に武器になります。また2試合連続ヘディングシュートがバーにあたるなど、高さも武器になる。でもタンキの本当の武器は左足のシュートなんです(動画参照)。タンキ自身がコンディションをあげることもそうですが、周りの選手がタンキの左足に合わせることができるようになると、得点を量産してくれると思います!現地で観てもすごく絵になる選手。早く圧巻のゴールパフォーマンスをみたいですね

  • 千葉選手・・・チバカン!昨季J3の今治で得点を量産し、富山でも得点をあげていただけに、ゴールを奪いたかったと思います。投入直後、フレッシュな状態のときに、もっとチームとして押し込めればよかったですが、あの時間帯はペースをつかめず、前線で孤立してしまったのは寛太にとってはきつかったですね。延長から梨誉との2トップにしてからは、ゴールに迫るシーンも増えました。天性のストライカーという点、Jでも得点を取れる力がある点は誰もが認めるところ。チバカンの初ゴールは、憧れのアイスタなんだろうなと思っています

  • 川本選手・・・梨誉!鹿児島キャンプで磐田とのTMを現地観戦していたのですが、その場で負傷退場してしまったので、復帰を楽しみにしていました。梨誉は雰囲気のあるストライカーですよね。年齢に似合わず落ち着いているし、身体の強さもあって当たり負けしないし、それでいて技術もある。投入後の後半はサイドでプレーしていたと思いますが、真ん中の方が梨誉の良さは活きるなと。特にニアゾーンポケットやPA内に入った時は持ち前のキープ力で起点になれる。北川航也の後継者候補は梨誉だと個人的には思っているので頑張れ!

  • 安藤選手・・・アオイー。本人が一番悔しいと思いますが、途中出場させて途中交代させるような悪いプレーではなかったと思います。前線で相手のボールホルダーに対して、精力的に追い回す姿は、本人のやる気の高さの現れでした。ベンチにはそれが少し空回りに見えたのかもしれませんね。たしかに自分ですべてを背負いすぎずに、味方とのバランスの中で、より効率的なプレスをする、という部分は今後の成長余地かもしれませんね。出場している時間帯でボールを持つシーンもほとんどなかったので、持ち前のドリブルも見ることができなかったけど、気持ちのある選手は必ず伸びます。頑張れ!!!

  • 小竹選手・・・源樹に負けないレベルの才能・ポテンシャルの塊。特にユース年代の中では圧倒的なフィジカルでまるで大人の選手のよう。同じポジションなのが面白いですが、源樹を「柔」とするならば、シオンは「剛」。強さとスピードで抜き去るドリブルは、既にJ2でも通用するレベルですね。この試合も、フィジカルが強いし、スピードもあるので、守備についても、きちんと立ち位置や身体の向きなどを山原や吉田豊から学べば、どんどんうまくなるはず。リーグ戦でもデビューは近いと思います。今から楽しみです

  • 川谷選手・・・なぎー!鹿児島キャンプから別メニューで心配をしていましたが、ついに清水の公式戦デビュー!10分と短い時間でいたが、凪にとっては大きな一歩でしょう。短い時間でしたが、独特のリズムでボールを運ぶなど、存在感は示せていたように思います。どんな選手でどんなプレーが得意なのか、これから見れるのが楽しみです

  • 現地サポーター・・・オレンジサポーター!!平日夜、帰りの交通手段も確約されていない中での富山遠征。そして暴風。屋根のないスタジアム。それなのに、なんで3時間弱も、あそこまで声出し続けられるんですか!!!すごすぎます。本当に。尊敬しかないです。本当にお疲れさまでした。岡山でまたお会いしましょう!!!

最後に

ルヴァンカップから、(清水にとっての)初戦で敗戦してしまうのは、何よりこの試合に出場した選手たちにとって大きな大きな痛手。公式戦の出場機会は、選手たちの給料にも直結しますし、何より、リーグ戦でのメンバー入りに向けたアピールの機会となりますので。
でも起きてしまったことは仕方ありませんし、今季の清水にとっての最大の目標は、『J2優勝・J1昇格』。それに向けては何も後退したことはありません。最後に試合後のゲームキャプテンの原選手のコメントを載せますね。

難しいゲームになることは想定していた。その中でも、しっかり点を取り切るために、最後のゴール前の質はチームとしてもっともっと上げていかなければいけないと思った。PK戦は自分が決めていれば終わっていたはず。外してしまって(悪い)流れを作ってしまった自分に責任がある。チャンスがいくつかあった中で1本でも決めていれば……とは思うが、勝負はそういうもの。ノックアウト方式の難しさをあらためて感じた。

--各選手が貴重な出場機会を生かそうと積極的にプレーしていた。
ウチにはギラギラした気持ちで出番を待っている若手が数多くいる。途中出場の選手たちをはじめ、今日の試合ではすごく攻撃のアクセントになってくれていた。勝たせてあげられなかったのは、今日のキャプテンを務めた者として悔しい。できることはやったつもりだが、ゲームの入りからほかにももっと何かができたのかもしれない。自分自身、まだまだ成長しなければいけないと思った。

富山 vs 清水 試合後 原選手

サポーターが外野からとやかく言う必要は何もなさそうですよ。選手たちが一番よくわかっています。
いよいよGW突入。そしてその初戦は日曜日のアウェイ岡山戦の「6ポイントマッチ」。下を向いている暇はありません。絶対勝ち点3を奪って帰りましょう!!!

次は岡山との1位/3位直接対決!

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