
一人のオタクとゴーティスの話
はじめまして、藻類と申します。
まずは本記事をご覧頂いていることにお礼申し上げます。
普段は旧ついったー(現X)にて好きなものについて好きなだけ呟いているだけの一介のオタクでありますが、数カ月後に遊戯王マスターデュエルがグローバルリリース3周年を迎えること、2024年もまもなく終わることを受け、私にとっての遊戯王というものを一度言語化してみようと思い立ち筆を執った次第であります。
第1回目の本記事ではマスターデュエルにおいて最も付き合いの長いテーマ、「ゴーティス」についてお話ししようと思います。
異形にして神秘―ゴーティス―
みなさんはゴーティスというテーマをご存知でしょうか?
宇宙という名の大海原で繰り広げられる食物連鎖と生存競争を描いた、TCG版Power of the Elementsを初出とする魚族のシンクロテーマです。
最近ですとにじさんじ遊戯王祭において社築さんが相手の先攻ターン中にフィールド全除外を決めた試合が記憶に新しいでしょう。
マスターデュエルには2023年5月に同年のワールドプレミアパックでの来日に先駆けて実装されました。
その特徴は所属するモンスターたちが水属性魚族の偶数レベルで統一されていること、相手のメインフェイズ中にシンクロ召喚を可能とする効果を有すること、レベル10シンクロの「最果てのゴーティス」を頂点捕食者として、被捕食者の下級、中間層の上級・最上級と分けられ、備える効果もその立場に即したものになっている点です。
ゴーティスの主要カード
ここからはゴーティスの主要なカードを見ていきましょう。
ちょっと長いですが意識するべきことは喰う(除外する側)、喰われる(除外される側)の関係です。
ゴーティスの灯ペイシス
フィールドの自身を除外することで手札の魚族を特殊召喚する固有効果と除外からの自己帰還と相手ターン中のシンクロ召喚実行のゴーティスチューナー共通効果二つを持つ。
ペイシス自身が餌となって捕食者がおびき寄せられ、喰われては産まれるのサイクルを繰り返すイメージ。
ゴーティスの妖精シフ
共通効果二つに加え墓地の自身を除外してフィールドの魚族を強化する固有効果を持つ。
喰われたシフが養分になるイメージ。
ゴーティスの紅玉ゼップ
手札の自身と墓地の魚族を除外する固有効果とチューナー共通の効果二つを持つが、自己帰還できるのが相手ターン中に除外された場合だったり、シンクロ召喚実行が特殊召喚された直後だったりと追加カードゆえの差異が目立つ。
固有効果は自分ターン限定で自身の他の効果との噛み合いが悪いのでほぼ使わない。
ゴーティスの朧キーフ
自分フィールドに魚族がいると手札から特殊召喚できる効果、相手フィールドにモンスターが特殊召喚されると自身と相手を除外し除外状態の魚族を特殊召喚する効果、除外からの自己帰還効果を持つ。
レベル2では唯一の非チューナーで、自身と相手を除外する効果はイラスト背後に控えるサイクスが、餌であるキーフにおびき寄せられた獲物に諸共食らいつくイメージを反映したもの。
ゴーティスの陰影スノーピオス
手札・墓地の魚族を除外して手札から特殊召喚する効果、フィールドを離れると除外されるようになる状態を付与する効果、墓地の魚族を除外して除外から手札に回収する効果を持つ。
捕食される側だった下級と比べると明確に捕食者であることを思わせる効果で、ゴーティスのリソース循環の要を担う。
状態付与の効果はバウンスや裏側除外に対しても適用され、自他を問わず様々な局面で用いることになる。
ゴーティスの月夜サイクス
デッキから魚族を手札に加え手札かフィールドの魚族を除外する効果、手札・フィールド・墓地の魚族を除外して自己帰還する効果を持つ。
ゴーティスの展開に革命をもたらしたカード。
サーチ効果は獲物をおびき寄せる餌(キーフ)を用意して自身は背後に隠れる様子を元にしたものだが、基本的にはチューナーを手札に加えてそのまま除外する用途になる。
ゴーティスの大蛇アリオンポス
レベル6のシンクロモンスターでデッキの魚族を除外する効果と、シンクロ素材になると墓地の魚族を除外して同レベル以下の魚族を手札に加える効果を持つ。
ゴーティスの始動役とも言うべきモンスターで、レベル6シンクロの素材さえ用意すればデッキのゴーティスに自由にアクセス可能となる。もう一つの効果は朽ちた肉体が他の生物の餌になることをイメージさせ、まさしく捨てるところのない魚と言える。
ゴーティスの双角アスカーン
レベル8のシンクロモンスターで自分フィールドの魚族と相手フィールドのカードを除外する効果、墓地の魚族を除外して自己帰還する効果を持つ。
除外する相手のカードは種類も表裏も問わないうえ、対象のどちらかが不在となっても不発にならずに処理される。
最果てのゴーティス
レベル10のシンクロモンスターで相手ターンにシンクロ召喚されるとフィールドのカード全てを除外する効果、フィールドから除外された次のターンの自己帰還効果、除外モンスターの数に応じた攻撃力変動効果を持つ。
強力なフィールドリセット効果を持つ頂点捕食者。
墓地からの除外では帰還できないものの、スノーピオスの効果を適用しておくことで相手からの破壊や墓地送りを気にする必要がなくなる。
ゴーティスの構築
さて、ニューロンなどでゴーティスのカードを検索すると妙なことに気付くでしょう。
フィールド魔法「最果ての宇宙(さいはてのうみ)」以外にゴーティスに関連する魔法カードがないんです。
手札にゴーティスモンスターを加えるカードはフィールド魔法1枚きり、手札やデッキから特殊召喚して展開を補助できる魔法カードなんてありません。
このままデッキを組もうとするとどうなるか。
シンクロ召喚テーマなのにチューナーと非チューナーがまともに揃わず、とても11期最後の年度に出たテーマとは思えないか細い立ち上がりです。
なぜそんなことになっているのか不思議でならないことでしょう。
答えは簡単です。
端からゴーティス単独で組むことを想定してないんです(ただし公式がそう明言したわけではない)。
他のシンクロデッキに混ぜてアリオンポスからデッキのゴーティスにアクセスしたり、カテゴリ外の魚族を足して展開力を補ったり……。
展開を補助する必須の魔法カードがないのもモンスターのみの最低限の採用枚数でギミックを成立させるためと言えます。
ただ、シンクロデッキなら何にでも混ぜられるかというとそうでもない。
大型で強力な制圧力を持つモンスターをいくつも並べられるようなデッキだとそもそもゴーティスを混ぜるメリットがないんですね。
理想としては妨害持ちが2体、多くても3体に相手ターンのシンクロ素材として1体と除外済みのチューナーが何体かで相手にターンを渡したい。
もっと言うならゴーティス同様、相手の動きを見ながら能動的に自分の盤面を動かせるデッキが望ましい。
そこで今回ご紹介するのがスプライトゴーティスです。
ゴーティスとスプライトの親和性
シンクロのゴーティスとエクシーズ・リンクのスプライトでは一見して繋がりがないように見えます。
しかしゴーティスのチューナーたちがレベル2であることとマスターデュエルのスプライト・エルフが禁止になっていないことから実は比較的早い段階から注目された組み合わせです。
着目すべき点はゴーティスにはない無効系妨害をスプライトで構えられること、エクシーズかリンクをリリースしないと破壊できずに残るカードをゴーティスで除去できること、レベル2ゴーティスがスプライト・スマッシャーズで除外するのに向いていることなどが挙げられます。
他にもレッドとキャロットの効果発動のためにモンスターをリリースしたり、エルフで墓地から蘇生したりと積極的に自分の盤面を動かす点もスタンバイフェイズの度に除外から帰ってくるゴーティスには都合がいいです。
また、魚族比率の低いスプライトゴーティスではペイシスの優先度が下がるため別のカードと入れ替えることもできるでしょう。
デッキレシピと基本展開

これが現在使っているスプライトゴーティスです。
元々はアポロウーサが入っていたのですがエルフ・トップハットヘア・マスカレーナ全てを出そうとすると素材が不足しがちなため断念、ペイシスも手札から特殊召喚したい魚族が少ないためホップイヤーと入れ替えています。
基本的な流れとしては
1.モンスター2体からスプライト・スプリンドをリンク召喚
2.素早いアンコウを墓地に送り効果で素早いマンボウを特殊召喚
3.スプリンドとマンボウ1体でギガンティック・スプライトをエクシーズ召喚
4.ギガンティック効果で鬼ガエルかゴーティスの妖精シフを特殊召喚しスプライト・エルフのリンク素材にする
5.鬼ガエルの場合はデッキから魔溶生物ゾルを墓地へ、シフの場合はエルフリンク召喚後マンボウ対象に効果発動
6.エルフで任意のモンスターを蘇生、残りのマンボウと共に影法師トップハットヘアをリンク召喚
7.効果でデッキから影帽子かアズルーンをセット
魔溶生物ゾルは日本ではまだ未発売のカードなのですが罠カードの効果でモンスターが特殊召喚されると手札・墓地から特殊召喚でき、相手バトルフェイズ中に自身を含めてシンクロ召喚かエクシーズ召喚ができる効果を持っています。
これに加え、初手次第ではレッドとキャロットによる無効化を構えたりキーフで相手の特殊召喚を潰したりといったことができます。
最果てのゴーティスはフィールド全てのカードを除外する最終兵器とも呼べるモンスターですがゴーティスチューナーやサイクス、アスカーンなどが素材として墓地に落ちたままで除外する手段(手札のスノーピオスなど)を用意せずに使うとライフを取り切れなかった場合返しのターンで捲られるということもあるので使い所は慎重に……。
おわりに
マスターデュエルにゴーティスが実装されてからおよそ1年半が経ちました。
その間に多くの人がゴーティスと向き合い研究し、様々なタイプが考案されました。
私自身も実装直後からその魅力に取り憑かれて試行錯誤を始め、今ではOCGに動きがあるたびにゴーティスの強化に繋がるものはないかと一喜一憂を繰り返す日々です。
それでもまだ「答え」に至るには果てなく遠く、道半ば。
もしかすると「答え」に辿り着くのは画面の前のあなたかも知れません。
本記事がこれからゴーティスへの道へ踏み出そうとする人たちの一助となれば幸いです。