eポートフォリオへの批判
お久しぶりです。
eポートフォリオというようなものが、文部科学省によって導入しようとされ、結果的に廃止となりました。
AO入試の拡大や一時期話題になった大学入試改革を受けて、学習してきたことをまとめておき、入試でも活用しようとするような案でした。
これについては様々な批判がありますが、1つ興味深い批判を聞き、「確かに!!!」と衝撃を受けましたのでメモがてら書きます。
一案として、このような学習履歴をeポートフォリオにまとめるだけではなく、マイナンバーと紐付けようとする主張もあったようです。
ただ、これよく考えればめちゃめちゃ怖いことです。
各個人が、これまで何を学んできたかということは人間の価値観・世界観の基盤になっています。これは絶対的に思想良心の自由によって保障されなければなりません。
よく図書館での図書貸し出し履歴は、絶対に公開してはならないという話がなされることがありますが、それと似ています。
今の日本がそうだとは言いません。ただ、学んだ内容によって国家が人々を逮捕する、研究者の研究内容を国家が管理し、都合が悪ければ弾圧するという行為は、歴史的に見ても何度も起こってきたことです。
そう考えれば、クラウド上に個人の学習履歴や活動歴、研究内容が、文部科学省という国家権力が管理することは、それだけでとても危険な状態になり得ます。
しかも、それをマイナンバーに紐付けようという提案もありましたから、今考えれば信じられない考え方です。
強調しますが、学んだ内容や研究している内容とは、最も守られなければならないプライバシーです。
私たちの価値観・世界観は、強制的に開示させられたり、探知されることはあってはなりません。憲法19条は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と明確に示しています。
eポートフォリオは、学問の自由を奪う可能性があるどころか、各人が持つ価値観・世界観の根幹を成す「思想良心の自由」をも奪う危険性がありました。
本当になくなってよかったです。
まあ、eポートフォリオによるメリットが見込まれていたのは知っています。ただ、それにしては代償がデカすぎます。
永久に自分の研究内容が文科省に管理されるなって酷すぎる話です。「人権」の考え方は全くなかったんでしょうか。