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【スピーチ全文】令和6年度 新潟市二十歳のつどい(旧成人式)お祝いの言葉

こんにちは、DERTA代表の坂井俊です。
この度、「令和6年度 新潟市二十歳のつどい(旧成人式)」の式典特別ゲストとして、お祝いの言葉を贈りました。

私たちが創業当初から掲げる「UPDATE LOCAL」とは、"希望がめぐる地域"をつくることであり、それは小さな一歩から始まる人々の挑戦と成長の連鎖によってもたらされるものだと考えています。二十歳を迎える方々をはじめ、ご覧になった方々にとって、何かに踏み出すきっかけになれば嬉しいです。

お祝いの言葉 スピーチ全文

ただいまご紹介にあずかりました。坂井俊です。二十歳を迎える皆さま、本当におめでとうございます。人生の大きな節目となるこの日に、皆さんと同じ時間を共有できることをとても嬉しく思います。

私はこれまで、新潟を拠点に連続して起業をしてきました。そのはじまりは、中学一年生の頃。自分で作ったゲームをWebサイトで公開し、広告収入を得ました。「地方の中学生でも、たった一台のパソコンで"ビジネス"ができる」。そんな衝撃が、いまでも忘れられません。それが私の原体験です。

一歩踏み出すことによって、初めて得られる学びがあることを実感しました。そこから3社を創業し、いまは2社を経営しています。

「志を立てる」

今日は、あくまで一人の挑戦者として、皆さんにお伝えしたいことがあります。それは「志を立てる」ということです。古臭い言葉に聞こえるかもしれませんが、あえて「志」をテーマにしたいと思います。

皆さんもご存知の通り、いまは激動の時代と言われています。皆さんは、誰も答えの分からない中で、仕事は何をするか、どこに住むか、何を学び、どのような人と関わり合って生きるのかを選んでいくことになります。

この先、皆さんには無数の選択が待ち受けています。一つ一つの選択は小さなものですが、何かを選ぶたびに、確実に人生の道筋は変わっていきます。そんな大切な一つ一つの選択の際に、自分はどうあるべきかを考える拠り所。それが志だと思います。

志は「小さな一歩」の繰り返しにより見つかる

私の志は、「人の創造性を解放し、世界をひろげる」というものです。

最初のきっかけは、二十歳の頃。地元の大人や同級生が「新潟には何もない」と言うのを聞いて、漠然と寂しさを感じたことでした。

まるで故郷や人生を否定されているような、小さな違和感を覚えました。その後、それを確かめるために日本全国や外国に行きました。色んなものを見て、色んな人と話してみると、「日本海に沈む夕陽が美しいし、空が広い」「港町ならではの文化がある」「どこで何を食べても美味しい!」。そんな誇りに思える魅力がたくさん見つかりました。

そこで私は、もし新潟に足りないものがあるとすれば、希望を持つきっかけではないかと思うようになりました。しかも、これは日本中に当てはまるものかもしれない。そうした気づきが重なり、いまの志に至りました。

ほんの些細な「違和感」と「小さな一歩」。
それが、現在に繋がっています。

いきなり志を立てることは難しく思えるかもしれません。しかし、そのヒントは小さな一歩。つまり小さな挑戦の繰り返しにあるように思います。「新しい道を歩いてみる」「いろんな人と話してみる」というのもその一つです。そんな小さな挑戦を繰り返すうちに、自然と心の中に湧き上がってくるものだと思います。

私の失敗

もちろん挑戦すれば失敗もします。

視野を広げようと旅に熱中した結果、何が起こったか。生活費が無くなりました。しかもそれは、一人旅で海外旅行中。おまけに冬の終わりで、新生活の準備のタイミングでもありました。

いろんな人に助けてもらい、なんとか帰国しますが、冷蔵庫と電子レンジが買えず、恥ずかしくて親にも相談できない。節約のために「着る毛布」を頼りに生きていました。

最近では、憧れの先輩経営者と初めてお会いしたときに、緊張をほぐそうとお酒をハイペースで飲んだところ泥酔してしまい、大変なご迷惑をおかけしました。そんな失敗は、数えたらきりがありません。

本質は「経験」にある

しかし、そういった経験を繰り返すなかで、分かったことがあります。挑戦はいつも「成功か、失敗か」で語られがちですが、大切なのは経験そのものだということです。

挑戦を通して得られた気づきや学びは、自分自身の中に確かな成長として刻まれていきます。その経験は、この世のどんな力も奪えません。一生話せる"武器"にもなります。経験の積み重ねは、自分自身の視野を広げ、やがて自分らしい志を見つけることに繋がります。

その過程は決して楽ではないと思います。それでも私は、あなたに志を持ってほしいと願っています。なぜなら、人は何を成し遂げるか以上に、それを叶えるためにどんな努力を重ね、どのように行動したのかにこそ、生きる価値があると信じているからです。

まずは「小さな一歩」を踏み出そう

私の夢は、いろんな経験を通して、志を持つ人が一人でも多く増え、みんなが希望を持てる社会、誇りに思える地域を作ることです。それは何歳になっても目標を持って、あきらめずに挑戦する。そんな人たちがたくさんいる社会です。

それは当然、私ひとりの力では作れません。皆さん一人一人の力が必要です。なぜなら社会とは、遠くにある別世界ではなく、私たち一人一人が作るものだからです。

だからこそ、あなたと私で力を合わせて、希望がめぐる場所、希望がめぐる地域、希望がめぐる新潟を、みんなで作っていきませんか。

どんな時代、どんな状況であっても希望はどこかに必ず転がっている」。
それは皆さんが一番分かっていると思います。

皆さんは高校時代、コロナ禍によって、想像していた学生生活とは違った日々を過ごしていたと思います。しかし、その中でできることを探し、楽しみを作り出し、仲間と励まし合った経験があるのではないでしょうか。

それはまさに、変化を受け入れ、新しい希望を作り出す力に繋がっていると思います。だからこそ皆さんには無限の可能性がある。私はそう信じています。小さな一歩の繰り返しによって、その可能性をぜひ引き出してください。

何かに挑戦することは、怖いかもしれません。反対されるかもしれません。馬鹿にされるかもしれません。しかし、あなたの人生は、あなただけのものです。

どうか今日の話をきっかけに、「自分は何をめざすのか」。それを問いかけてみてください。そして、どんなことでも構いません。まずは小さな一歩を踏み出してみてください。その一歩が、きっとあなたの世界を、あなたの可能性を、何倍にも何十倍にも広げてくれるはずです。

これからの挑戦を、心から応援しています。
どうか皆さんの未来が、素晴らしいものとなりますように。

追伸

もう17年も前になりますが、私自身の成人式の日。父親から「志を持って励みなさい」と助言されたことを思い出しました。当時は正直、ピンと来ませんでしたが、無意識でスピーチのテーマにするくらいには心に残り続け、大切な指針になっていたことに気づかされました。

同じように、今回のスピーチを見聞きした誰かが将来、「そういえば誰かがあんなことを言ってたな」と思い出してもらえたら嬉しいなあと思いを馳せています。

最後になりますが、このような素晴らしい機会をいただいた新潟市の皆さま、この場を繋いでくださった皆さま、スピーチに向けて応援のメッセージをいただいた皆さまに、この場を借りてお礼を申し上げます。

また、いつも支えてくださる会社やコミュニティの仲間たち、そして応援してくださる取引先の皆さまのお引き立てがあってこそだと感じています。いつも本当にありがとうございます!