5.発疹の種類
発疹学というと、紅斑やら紫斑、丘疹、、、と堅い用語が並びます。
教科書には10個前後の原発疹、続発疹、そしてそれらが複合したり疾患を表現する特徴的な皮疹表現が記載されています。
最初は覚えづらいですが、慣れれば簡単ですし、便利な表現です。
勉強しやすいように解説していきます。
なぜ発疹学があるかといえば、おそらく、症状を表すのに便利な表現、共通言語として使えるからなのでしょう。。。
(皮膚科診療において最も基本的で重要だ、と教科書では言われます。)
例えば、救急現場でACLS、意識障害の評価でJCS・GCS、血圧いくつ以上だと高血圧だとか、HbA1cがいくつだとか。言われると、病状がすっとわかる用語がありますよね。それと同じです。
救急現場で、
「心電図を装着した波形をみるとフラットで、心臓の電気的興奮はみられず、、、」と説明しますか?
「Asytole!」と一言で状態把握できますよね。
意識障害の評価で
「意識障害をJCSも用いて評価しますと、大きな声または身体を揺さぶることにより開眼するレベルですので、、」ではなく、
「JCS20です。」の一言ですよね。
すばやく状態を把握し、そこから原因や診断、治療へ、情報共有もしやすくチーム医療につながります。
皮膚科だと、例えば、
「足のかさかさ、皮むけが気になる」
→趾間の鱗屑だ。
→足白癬(水虫)かな。鏡検査してみよう。
「マスクを始めてから、顔の肌荒れ、ぷつぷつ」
→紅色小丘疹の散在、ざ瘡だ。
→炎症性の尋常性ざ瘡(にきび)かな。毛包一致性、面皰など、他に手掛かりになる皮疹はないか、分布はどうか、年齢性別、生活習慣などチェックしよう。脂漏性皮膚炎もあるかな。
「昨日から出たり引いたり全身にひろがって、かゆい。蚊に刺されたような水ぶくれ?」
→そう痒を伴い消退する膨疹だ。
→急性蕁麻疹が疑われる。食事内容や生活上の変化はあったのかな。既往歴は。蕁麻疹に似た鑑別疾患も考えよう。
発疹たちとは。
基本にはまず、原発疹と続発疹があります。そして複合的な特有の皮疹があります。
原発疹、続発疹、複合的な特徴的な発疹を各10個ほど理解できれば、ぐ~んと皮膚科レベルがアップします。
具体的には、発疹の表現方法がアップし、スマートにみえます。そして、発疹をみれるようになると診断力につながります。
原発疹とは一次的な発疹。膨疹(蕁麻疹)のように、前駆病変がなく、いきなり出現するようなものです。
続発疹とは二次的に。原発疹や他の発疹に続発したものです。
例えば、痂皮(かさぶた)は、いきなりできませんよね。びらんなどの傷に対して浸出液や血液(血痂)が固まったものです。そもそも、びらんも続発疹の1つで、水疱や膿疱がつぶれたりやぶけて続発してできるもの。
複合的な特有の皮疹とは、例えば膿痂疹です。膿疱や痂皮が混在した状態で、伝染性膿痂疹(とびひ)でよく使われる用語です。
「じくじくやかさぶたが、、そして膿疱もあり、いわゆる、とびひ様の症状が広がっていまして。。。」と言うより、「膿痂疹が拡大してます」というとスマートです。
いやでも、いきなり30個も覚えられないよ~と思われるかもしれませんが、
4,5個程度に分類してわかりやすく解説しますので安心してください。
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