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ハム太郎へ

久しぶり。最後にあったのは、僕が8歳の頃とかかな?
あれから、背は60cmくらい伸びて、ひげも生えて、声は僕のお父さんみたいになったよ。

君に、一つ、謝らなきゃいけないことがあって、手紙を書いてます。
ぼくは、ゲームボーイのゲームで君に会って、君がてちてちしてるのを見るのが好きでした。かわいかったなぁ。
でも、友達が家に来た時、ぼくのゲームボーイにハム太郎のゲームがささってるのを見て、
「うわ〜こんなんやるん!?女子や〜キモ!」
と言われて、そんときとっさに、
「やるわけ無いじゃんこんなゲーム!」
と言ってしまいました。それを謝りたいです。ごめんね。

お父さんにもずっと言われてたけど、男の子だから、弱いのはダメだし、泣くのはダメだと思ってた。
ハム太郎とか、パワーパフガールズとか、そういうのを見るのは女の子で、変だし、いけないことと思ってたんだ。
ほんとは、家でハム太郎やパワーパフガールズ見てたり、一人で探検したり、ごっこ遊びしてるのが一番楽しいのにね。

なんで、男とか女とか、いちいち決めるんだろうね。ハム太郎が好きで、でもドラゴンと車も好きで、それでいいじゃんね。

きみのいるところには、誰が誰よりデカくて、誰がいいやつで、誰が悪いやつで、とか、そういうのが無いじゃん。
泣き虫のこうしくんがいて、ねてるくんがいて、たいしょーくんがいて、リボンちゃんとかみんながいて、それでオッケー、って世界。
ぼくはそれがすごく居心地よかったんだよね。

ぼくは、かけっことか、鬼ごっことか、ドッヂボールとか、あんまり好きじゃなかったんだよね。なんで勝ち負け決めるの?って。
幼稚園のかけっこでも、みんなでゴールしたいから、みんなを待ったりしてたんだよね。

でも、ハム太郎の外の世界だと、そうやってやってると、ボールを当てられたり、ずっと鬼になったり、結構大変だったんだ。
だからぼくは、ずっと「かわいい」って言われるのが嫌いだったんだ。
そういう人はいじめられて、損するって知ってたから。

だから、君から離れたあと、中学校くらいからずっと、強くなろうとしたんだ。
他のやつより先に行く、殴られないように身体を鍛える、一番になる、負けない、弱みを見せない、頼らない、サボらない!って。

最初は自分も嫌な思いしなくて楽になるし、元気のいい人が集まってきていいな、って思ったんだ。
でも、周りの人はどんどん、他の人をバカにして強いフリをしてる人、寂しいのを我慢してる人、泣きたいのに泣けない人が集まってきたんだ。
けっこう大変だったし、弱ったときに誰も頼れなくて、寂しかったよ。

でも、強くなろうとしたこと、それはそれでアリだと思ってるんだ。
たいしょーくんは、強いけどいざというときみんなを引っ張ってくれたり、ハウスの手入れをしてくれるじゃん。
ぼくは、そういう風になればいいんだな、って今は思ってるんだ。
多分、たいしょーくんよりは泣き虫だけど、だから泣いちゃう人の気持ちが、少しは分かる人になれたと思ってる。

もうちょっとしたら、君たちが楽しくいれる場所を、こっちの世界にも作るから、そうしたら遊びに来てね。

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