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遺伝子に抗う、から、遺伝子を乗りこなすへ

昔、自分の家族、特に親父とはできるだけ違う存在になりたかった。
親父は、数学が苦手で東大に入れなかったことを後悔していた。
なので、自分に口を酸っぱくして数学をやってほしい、と言った。
僕は、積み上げ型の思考や、数理的に物事を処理することより、直感的な思考や、言語的に思考すること、モノのカタチを考えることの方が得意だ。
数学の成績は学生時代あまり振るわなかった。遺伝的には、親父の子供だった。
海外に行き、アジア人であることがうっすらとバカにされているのを感じたとき、日本人、アジア人であることからできるだけ遠い存在になろうとした。

ただ、生まれた環境や自分が持っているものに感謝して、それを享受するだけだと、俺という主体がこの世に生を持っている実感が薄いと思っていた。
だからあえて、家族や環境、生まれた国、人種からもらったものを使わない、「縛りプレー」をしていた。

自分がやりたいと思ったこと、それが置かれている環境や体格やその他の所与の条件で達成できないこと、それに怒りを感じていた時期があった。
その中で、変えられるのは自分しかいないので、自分で環境を変えられる時は変え、自分の能力をあげることでどうにかなる問題の場合、努力して乗り越えた。遺伝子、生まれ持ったものに抗った。
元々細身でなめられたなら、筋トレして筋肉をつけた。
元々内気で引っ込み思案な性格なら、アメフトをやって自信をつけた。
元々日本語しか話せなくて海外で恥ずかしい思いをするなら、外国語を学んだ。

ただ、どうしても変えられないものはある。
自分の人種はどう頑張っても変えられず、欧米に行くと何度かアジア人であることで嘲笑の眼差しを向けられた。

自分の骨格も変えられない。ジャニーズやメンズノンノのモデルのような小顔が持て囃される世の中で、中学校の時は顔の大きさを笑われて本気で悩んだ。海外に行った時も、周りの欧米人との顔の大きさの違いに一人で凹んでいた。

ラップをやろうにも、アメリカのラッパーのような壮絶、過酷な生まれ育ちはない。とても恵まれた環境で、いい人に囲まれて育ってきたが故に、ラップすることがない、と思っていた。

でも、いまは、遺伝子や、持って生まれた環境、縁、それに真っ向から抗うのでも、全て諦めて流されるのでもなく、サーフィンをするように、それらをどうやって乗りこなせば、自分が思う最も美しい生き方ができるか。最近はそういう風に思考が変わってきた。

出自として穏やかで裕福な家庭に育ったのであれば、ラップをやるときもその育ちの良さを他人への安心や癒しとして表現する。

小さい頃から引っ越しが多く、海外留学をさせてもらったが故、ヒップホップの文脈で言う地元をレペゼンするような気持ちは全くない。だけど、それだからこそできる、宇宙人が地球に対してラップしているような表現を突き詰める。
普通の人にはできない、3カ国語でラップをする表現に挑戦してみる。誰も自分の言うことを完全には理解しない、と言うのを逆手に取る。

数字に弱いが、言語的思考や構造把握、論理的思考力が高いのであれば数字は使わないが後述の能力が生きるソフトウェアエンジニア、その中でもUIに近い部分を仕事にしてる。

日本人として生まれ、この見た目に生まれたならその見た目が最も魅力的に見えるファッションを、誰かの真似ではなく追求する。
僕のドレッドヘアーは、黒人の誰かを真似するのではなく、自分が醸し出す雰囲気、顔の造形、体格、諸々を考えた上で一番自分の魅力が表現できるからそうしている。

頭が大きい骨格なら、それをカッコよく見えるあり方になればいい。歌舞伎役者や昭和の俳優だって頭デカくてカッコいいだろ、と思う。

遺伝子には、抗わないが、諦めず、乗りこなす。

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