月光 再演に行ってきた話
今回はヨルシカのライブに行ってきた話をしようと思う。
正直、ヨルシカのライブをなめてた。ライブというものに懐疑的なわけではないけれど、やっぱりCDとかの方が安定していていいんじゃないか?と思っている自分がいたのは確かで、なんならわざわざ東京にまで行くの面倒くさくないか?くらいの気持ちだった。
だけど、その考え方は2022年3月30日、東京ガーデンシアターにて行われた月光の再演にて覆ることとなる。
まず会場に行くと、たくさんの犬泥棒Tシャツを着ているヨルシカファンの方々がいた。この中にやり取りした人がいくらいるんだろうと考えたけど、それですら数人程度で、他に至っては赤の他人だ。
それでもTシャツやタオルを身に着け、いくらか興奮気味にヨルシカに対する想いを会場で話している彼らはとても活き活きとしていて、他人のはずなのに心が温まるような、そんな印象を受けた。
他人のはずなのにどこか懐かしくて、どこかでつながりがあるんじゃないかと思ってしまった。言葉では説明できない何かが会場にはあったと思う。
グッズを購入して、会場に入る。
会場にはスモークが焚いてあって、波の音がした。
そんなに多くのアーティストのライブに言ったことがあるわけじゃないから詳しくは分からないけれど、会場に入った瞬間から息を呑むような感情になったのは今回が初めてだった。まるで自分が岸辺にいるような感覚で、「これがヨルシカの世界観なんだ」ということを認識させられた。
そしてついに月光が始まった。
詩が入ってからn-bunaさんが吠えた。
「2022年3月30日 東京ガーデンシアター、ヨルシカです」
自分にとってヨルシカは大好きなアーティストなんだけど、これまでエイミーやエルマのストーリーは知らなくて、一緒に行った友達からその日に見せてもらったくらいの浅さだった。
そんな自分でもヨルシカが魅せてくれる表情や感情はとてつもなくて、これまで蓄積されてきた自分の感情が全て解放されたような気分になった。
一曲目に演奏されたのは「夕凪、某、花惑い」。すでにここから涙腺崩壊してた。なにが自分に涙を流させたのかは、ライブが終わって一日たった自分も正直分かっていない。
n-bunaさんの語りやヨルシカの演奏はもちろんなんだけど、自分が一番驚いたのは、ボーカル・suisさんの歌唱力だ。
演奏陣は結構ガチガチの構成で楽器をかき鳴らしていたんだけど、それに負けない声量と演技で、聴いている私たちの心を動かしていた。
あと話に聞いていた、登場人物によって声色が変わるのは本物だった。喜怒哀楽をあれだけ声に乗せることができる人がいるなんて考えられなかったし、言ってしまえばCD音源が陳腐に聞こえるほどの表現力だった。
「本当に一曲目から泣いたんか?」って他人からは言われると思う。自分が今書いている日本語が通じるのは、もしかしたらあそこにいた人たちだけかもしれない。
涙が落ち着いてくると改めて演奏に集中できた。やっぱりヨルシカの曲はいい曲だ。生でキー下げver.八月、某、月明かりを聴けたのも、感情の起伏に
思わず涙が止まらなかった「踊ろうぜ」も、日記と手紙のおかげで歌詞の意味を再確認できた「心に穴が空いた」も、全部よかった。ロックンロールだった。
suisさんの音をサポートするメンバーも格好良かった。少しミスはあったものの、ライブ的な拍の取り方が化け物急だったドラムの方(名前知らなくてごめんなさい)、クールにギターを鳴らしていた下鶴さん、その横で激しくギターを弾き、芸術を作り出していたn-bunaさん、そしてヘッドバッキングがすごかったはっちゃんさん。
どれもお気に入りだから優劣をつけることは難しいけれど、特にこれが好きだった!というもので挙がるのは、「憂一乗とノーチラス」だ。
前者に関しては個人的に好きな曲ランキングに入るほど気に入っている曲で、生で「もう逃げよう」のフレーズを聞いた時の衝撃はすさまじかった。
後者は大学のライブでも思い入れのある曲だったからなおさらだった。「時計が鳴ったから」とそれに付随するピアノのコード一つで自分の感情が揺れるさまは、今思い出すと魔法みたいだった。
3月30日のライブはいろんな意味で貴重なライブだったと思う。というのも、最後の「だから僕は音楽を辞めた」において、suisさんが倒れてしまったからだ。
個人的にボルテージマックスで、演者側にとってもそれは同じことだったと思う。二番の「劣等感」という言葉を言い放った後、その場にうずくまるようにして倒れてしまう。すぐにn-bunaさんが気付いて、抱きかかえるようにして退場。事態を飲み込むことが出来ず固まる観客と、定期的に流れるアナウンス。
Twitterを見た人なら何となく分かると思うけど、そのまま待機している人や自分のスマートフォンを開き色々書き込む人、これは演出なんじゃないかと騒ぎ立てる人など、反応は様々だった。
結果としては20~30分ほど経ってからsuisさんが再び入場し、その日初めてと思われる素の声で謝罪。観客の耳が割れんばかりの拍手と共に2回目の演奏が始まった。
全体的に映画を観ているようで時間の感覚が分からなかった月光だったけど、この時ばかりは本当に時間の感覚が狂っていた。suisさんの最後のミックスボイスもえぐかった。
非日常だけど情緒のある、彼らの物語。その世界をこんなにも鮮明に切り取って私たちに届けてくれるヨルシカはアーティストとして尊敬してるし、いつか自分もこんな世界を作れたらなと思わせてくれる、そんなライブだった。
今回は誘ってくれた大学の後輩といったけど、次ライブがあった時は知り合った他の人とも会ってみたい。そしてどこでライブがあっても絶対行きます。
最高のライブでした。沢山の感動をありがとうございました。
最後に、新しくヨルシカのアカウントを作成したので、よければフォローいただけると飛んで喜びます。