就活中に入国審査で まさかの別室送り!
4月です。新しい生活を迎える時期。
僕にもそういえばそういう時期がありましたね。
契約社員として日本で働きながら就職活動をしていたある日、
グアムの とある会社から突然Eメールが届きました。
え?その会社に応募すらしていないのに。
心当たりは・・・あります。
以前 契約社員の立場で働いていた日本企業で、たくさんの外国人の通訳をしていたことがあります。その方たちが勝手に推薦状を送ってくれていたようです。僕にはいまだに、いったいどの方たちがしてくれたのかわかりません。
欧米では推薦状 (Reference Letter) というのは、就職活動をするにあたり非常に大事なツールです。
これがあると実際にそこで仕事をしていた証拠になりますし、第三者が推薦できる人間であることが証明されます。同時に、社会人として人との交際が支障なくできている指標にもなるのでしょう。逆にこれがないと面接すらしてくれない企業もたくさんあります。転職することが普通の社会であるからこそ存在するのかもしれません。
僕も過去に推薦状を何枚も書いてもらったことがありますし、書いたこともあります。職場である程度の地位についていると、頼まれる機会は多々あるものです。
日本に帰国してどうも納得いかないのが、履歴書の書き方です。
なぜ写真を貼るのか、なぜ手書きなのか。性別や年齢までいるの?
そもそもなぜフォーマットが決まっているのか。疑問だらけです。
それだけ細かく求める反面、ドラッグテストはしないの?なんて思うことも。特に北米では過去の犯罪歴・飲酒運転逮捕歴など、人事はかなり用心する傾向が。国や文化が違うのはわかりますが、本当にしなくて大丈夫なのかなと思うこともしばしば。
スーツもなぜみんな揃ってお葬式のような暗い恰好でいくのか。
ある入社式の写真を見た外国人が、誰かの合同葬かと尋ねたというのは有名な話です。
けど個性は出さないといけない。なんと難しい…。
そんなことを人前で口に出そうものなら、白い目で見られ、煙たがられるのです。でもきっと、みんな心の中では同じことを思ってるはず。
さて、とにかく、グアムに行きたい行きたくないの話しではありません。
そんな連絡が来て面接に行かない訳にはいかないのです。会社を選んでいる場合でもありません。たくさんの推薦状が届いているのです。みんなにそこへ行けと言われているのです。キャリアとして先輩たちが薦めている道なのですから。きっと悪いことはないはずだと。導かれるまま向かうことに。
ここから日本の就活では経験のできないストーリーをお話します。
グアムです。当然、飛行機で行くわけです。
指定された面接日と時間に十分間に合うような便に乗り、グアム空港へと降り立ちました。
初めてのマリアナ諸島への旅です。成田から約4時間。時差は1時間のみ。海もきれいで、日本人の観光客が多い常夏の島で有名です。
僕は当時、海外に住んでいた年数よりも、日本にいる年数の方が少し短いくらいの年齢でした。父の転勤で幸運にも欧米両方に住んだ経験があり、英語に不自由は感じませんでした。
多くの観光客らしき人たちと一緒にパスポートを持って入国審査の順番を待っていました。そして僕の番がきた時、信じられないことを聞かれました。こんな想定は全くしていませんでした。いろんな国へ行きましたが、後にも先にもこんな質問は受けたことがありません。
僕のパスポートを見ながら入国審査官がいくつか質問をした後、
です。
は?意味不明です。なんだその質問は?
仕事の面接に来てるのに、英語が話せて当たり前でしょ?
英語ができないと ここで仕事なんかできないでしょ?
そう言い返すと、ますます怪しいという表情。まぁ困りました。
なるほど。きっと英語が得意ではない日本からのツアー客が毎日にように押し寄せるので、英語を支障なく話す日本人と接する機会がほとんどないのでしょう。僕もいち日本人として少し気分を害しました。英語が話せる日本人もいるわっ!て。アメリカの大学を出てるから話せて当たり前でしょ?
(グアムはアメリカ領なのでここを強調しました)
そして話せば話すほど怪しまれ、いわゆる別室行きになりました(笑)
えー!マジで?こんなことで?
連れていかれたところは小さな部屋でした。机とイスがいくつかあるだけの。他にも部屋があるのかもしれませんが、少なくともここでは他に人は見かけませんでした。話しも進まないので、日本から持ってきた書類を出して見せました。会社のロゴが入った面接への招待状と、正式な応募書類など、Eメールで届いたものを念のために全て印刷して持っていたんです。それらを全て見せ、ここに電話したら済むじゃん、と。
ほどなくして担当の人が戻ってきて
「はい、もう行っていいよ」と言われました。
会社に電話をかけて疑いが晴れたのでしょう。
10分もいなかったと思います。
でしょうねっ、て僕は出て行きました。(口には出してません)
後にも先にも、別室送りはこの一度だけです。
僕は別室に送られる人のイメージとして、意思疎通がうまく行かず残念ながら誤解が生まれてしまった、誤魔化したり嘘をつく、あるいは明らかに挙動が不審である、ような人を想像していました。
まさか僕がこんな理由で行かされるとは夢にも思っていませんでした。
面接時にこの出来事を話すと、きっと日本人に成りすまして不法滞在を狙うアジア人だと思われたのだろう、と笑われました。
なるほど。実際にあるそうです。
ちなみにこのあと面接には無事合格し、この会社に採用されました。
本社がグアムにあり、サイパンに駐在という形で1年半そこで貴重な経験を積みました。(*グアムとサイパンは飛行機で40分ほどの距離)
現地の方は日本人が好きで、とても温かい人が多かったです。母語はチャモロ語で、スペイン語・タガログ語 (フィリピン)・英語が混ざったような非常に興味深い言語です。長い間スペイン領だった国ですが、日本領だった時代もあるために日本語も少し話せる年配の方もいます。日本と同じで毎食たくさんお米を食べるんです。またフィリピン人が大変多く住んでいて、たくさんの友達もできました。タガログ語で少しお話しもできるようになりました。
契約が満了した時点で更新をオファーされましたが、別の会社へ行く準備ができていたのでそこでお別れをすることに。こうやってどんどんステップアップして自分のキャリアを積んでいくのが通常の欧米のスタイルなんです。推薦状を書いてくれた方たちも喜んでくれているはずです。日本では会社を辞めるというのは大きな話ですね。
さて、そろそろステップアップの時期です。次はどこで充実したお仕事ができるかな。最近そんなことばかり考えています。