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第4回 「前科7犯、借金50億円。それでも下を向かない理由」

Interview /村西とおる×デポルターレクラブ竹下雄真(全4回)

Deportare Club
2019.12.20

村西とおる プロフィール
前科7犯借金50億、米国司法当局から懲役370年を求刑された、「アダルトビデオの帝王」と呼ばれた男。 1948年9月9日生まれ。福島県出身。高校卒業後、上京し、英会話教材のセールスマン、テレビゲームリース業で成功をおさめた後、裏本制作販売に転じ、北大神田書店グループの会長に就任、「裏本の帝王」と呼ばれた。 その後、黎明期のアダルト・ビデオ業界に参入。「顔面シャワー」、「駅弁」、「ハメ撮り」と いった革新的なスタイルをAVに取り入れる。多くの人気AV女優を世に送り出し、1980年代のAV黄金期を築き上げた。これまでに3000本のAVを制作。2018年8月、『全裸監督(The naked director)』が Netflixオリジナルシリーズとしてドラマ化。全世界190カ国に配信。2019年11月、ドキュメンタリー映画 『M/村西とおる狂熱の日々 完全版』が公開。

セックスは元気の象徴

竹下:
最近、興味深い論文を読んだんです。
セックスをするとテスタステロンが活発になるという話で、あるボディビルダーで1日3回、セックスを課しているという方もいるようです。
もしかしたら、トレーニングをする場所に監督の作品みたいなものがあると、トレーニング効果があるんじゃないかなと思いました。

村西:
それはぜひ、確かめてみられたらおもしろいかもしれないですね。トレーニングされている方のなかには、たとえばご病気のあと、体力を取り戻すために頑張っていらっしゃる方などもおられるでしょうからね。
「これは決していやらしいものじゃないんですよ、効果をあげるためにやっているんですよ」とご説明して差し上げれば、「このトレーナーさんは私のために一生懸命になってくれている」と思っていただけるでしょうし、ぜひ、どんどんやっていただきたいですね。

竹下:
早速、やってみます。

村西:
セックスとは元気の象徴というべきものです。
私の知り合いの医者なんかはね、世界的に有名な外科医なんですが、患者を手術するという時は、患者さんのところにいって、ちょっとスケベな話をするそうですよ。
この時、患者さんが反応したら、「あ、大丈夫だな」と判断して手術に踏み切るそうです。でも、スケベな話をしても患者さんが青色吐息で全然反応しなかったら、「相当、細胞が活性化していないな、やばいぞ」と判断するそうです。
スケベな話でユーモラスに皆さんの健康状態を測っていくというのは、とても役立つことかもしれないですね。

竹下:
おもしろいですね、確かにそういう反応は本能的なものだから、人間の健康状態を率直に示すのかもしれないですね。

村西:
先程お話させていただいたように、人間の本能的な欲求というのはそんなにパワフルなものじゃなくて、とても繊細で脆いんですよ。だいたい25歳をすぎると、この現代の情報化社会のなかで衰えてきてしまいますしね。
それだけ現代人にはたくさんの情報が入りすぎて、本能に影響を与えているということもいえるでしょうね。
だいたい、江戸時代の人たちが1日かけて仕入れた情報を、今の人たちはほんのわずかな時間で取り入れてしまえるくらい、我々はけたたましい時代を生きていますからね。
人間の生命力が損なわれないわけがない。社長のジムに通ってなんとか細胞を活性化して、リフレッシュしていかないともたない。これから人生100年の時代はね。
社長には、そうしないと健康を担保できないよっていうことをもっとアピールしていただきたいですね。

竹下:
確かに、トレーニングをしている時は仕事やプライベートのことを考える余裕がないですからね。
我々の「デポルターレクラブ」という名前もそういう意味を含んでいて、「デポルターレ」という言葉は、「社会から一時的に離れる」という意味があり、「スポーツ」という言葉の語源にもなったラテン語なんです。
そうやって情報化社会から一時的にでも離れながら、自分を取り戻していくことが、これからの健康維持には大事なのかもしれないですね。

村西:
それをプロフェッショナルに指導してもらえるというのはいいですよね。私なんかもね、ジョギングをする時があるのですが、一人で黙々と走っていると資金繰りのこととかね、頭に浮かんできて血圧が上がって余計おかしくなっちゃうことがあるんですよ。
だから、あまりジョギングはよくないなと思って。それよりトレーナーの方に課題を提供していただいて、余計なことを考える必要もなく、1時間なら1時間、それを達成することだけに専念させてもらう。
異次元の空間にポーンと連れて行ってもらわないと。そうじゃないと、余計なこと考えちゃうし、「ところでここでこんなことやっている暇ない」なんて焦りまくっちゃったりすることもあるんですよね。

竹下:
監督は警察に逮捕されたり、多額の借金をされたりした時、どうやって乗り越えたんですか。

村西:
それはね、社長と同じですよ、負けず嫌い。社長もそういうところ、あるでしょう?
「ここで終わってたまるか」というところでグッと前を向くことができる。この負けず嫌いがないと、世の中でやっていくのは難しいでしょうね。
そのバックグラウンドにあるのは、自信ですよ。自分に対する自信が、何によって培われるかというと、ある種、肉体的な健康というものがないと、負けず嫌いも出てこないんですよ。肉体の健康がないと、“よしやってやる”って、一歩前に出られないから。

「ポルノエンペラーのドラマを作れ」

竹下:
なるほど。根本にあるのは「負けず嫌い」という性格なんですね。
よく監督は「人生死んでしまいたいときには下を見ろ、俺がいる」とおっしゃっていますが、監督が辛い時に下を見ると、何が見えるんですか。

村西:
下を見ると死ぬしかないわけですよ。そういう、鉄板の上で裸踊りをするような日々を生きてきているから、頑張るしかないんですよ、止まり木がないんだからね。
余裕があったらいい仕事なんてできない。
社長もそうでしょう? どうしようどうしようって眠れない日が続いて、そういう日々が社長をここまで押し上げたわけでしょう?

竹下:
確かに、そうですね。

村西:
ずっと余裕があったわけじゃないでしょう? 挑戦し続けてきたわけでしょう?
やっぱり資金繰りだとか、経営戦略だとかね、いろいろありますよ。いま、おいくつでしたっけ?

竹下:
40歳になります。

村西:
まだまだこれからですよ。今、私を知ったことは社長にとって何十億の価値がありますよ。
というのは、私は今71歳だから。「71歳になるまで、俺はあと31年もあるんだ」って。「何回挫折したっていいんだ」って。
間違いなく挫折しますよ。でも挫折できることを貯金だと思わなきゃ。いい貯金ができたと思って頑張る。
私なんかも前科7犯ですけれどね、これだけ前科があってメディアに出て仕事している人間なんて、私以外、ひとりもいないんですよ。
普通、前科1犯でお払い箱だから。50億円の借金も抱えちゃって。
会社が倒産して、お先真っ暗だっていって、私のところに相談に来る人がいるんですけれどね、そういう人に私はいつも尋ねるんですよ。
「あなたの借金はおいくらですか?」「7千万円です」「私は50億円ですよ」
「あなたには前科がありますか?」「いや、そんな滅相もないです」「私は前科7犯ですよ」
「あなたは女房とイタしているところ、町内会の皆様にご開帳したことがあるんですか?」「いや、そんな、人間じゃないようなこと、とんでもありません」「私はその人間じゃないようなことをやりながら今日まで生きてきたんですよ」
あなたは、前科もない、女房とイタしているところをご開帳もしていない。借金もたかだか7千万円しかない。
その辺の雑踏に紛れてしまえば、どこの誰だかわかりませんよ。
私は紛れ込んだって、高校生に「借金、借金、借金!」って言われたんですから。高校生がなぜ私を知っているんだって、話ですけれども……。

竹下:

村西:
現役ですよ、私は。前科7犯からいつ8犯になるかわからないような。それでもメディアに出て仕事して生きているんだからね。
すごいのはね、アメリカのNetflixですよ。私は当時、撮影のために、アメリカの真珠湾にセスナ機で突入していったんですよ。普通、大阪湾でも日本海でも、セスナ機で突入してくる外国人がいたら、そいつのドラマなんか作らないでしょう。
それなのにNetflixは「あいつはおもしろい」と。Netflixには、いくつもの新作ドラマの提案があったそうです。「侍モノはどうか?」とか「壁ドンモノはどうか?」とかね。でもみんな却下された。そして彼らが、「いるじゃないか、このポルノエンペラーが」と。このポルノエンペラーのドラマを作れと。
それを聞いて、日本の人は目を白黒させたそうですよ。まさか、アメリカの真珠湾にセスナ機で突入したAV監督のドラマを作るなんてね。
でもね、世界190か国に通用するようなドラマの題材が日本には他にないんですよ。キラーコンテンツが。
で、ドラマを作って放映したら、1,000億円くらい売り上げを出しちゃった。
だからね、社長にも世界制覇を目指してもらいたい。日本のこうしたフィットネスの思想を持って、世界制覇、絶対にできるから。

竹下:
頑張ります。

村西:
世界の人たちはね、日本のAVに対してリスペクトしてくれているんです。最近では中国からも取材の依頼がありました。Netflixは中国では放映されていないはずなのに。「全裸監督」が日本で配信された3日後には、中国で海賊版のDVDが販売されて人気になったそうなんですよ。
それくらい、中国人の日本への関心は高まっているんです。だから、社長のフィットネスのお仕事も、ぜひ中国に進出していただきたい。

竹下:
実際、僕らもいま、中国企業から声をかけられていて、今度、中国人のグループがジムへ視察にくるんです。

村西:
その根本になっているものは、やっぱり日本的なセクシャリティのパワーなんですよ。
日本のAVってね、皆様ポン引きや万引きの、ちょっと上、のレベルくらいに思っていらっしゃるでしょう? 
でもね、中国では扱いが違うんですよ。なぜかというと、日本のAVで彼らは性を学んだから。憧れてるの。だから、日本のAVは葵の御紋と同じ、パッと出したらみんな黙っちゃいます。
今、中国の方たちが日本に来ているでしょう? 1年に千数百万人くらい。そういう方々がみんな、富士山とか秋葉原とか見にいくと思ったら大間違い。どこへいくかっていったら、、、ビジネスホテルです。60型とか70型とかの大きな画面でAVを見ているんですよ。みんな、朝まで見ているって聞きます。
過去に、私にも同じような経験があります。1976年に大島渚監督が『愛のコリーダ』を作った時に、グアムの映画館では無修正で見ることができたんですよ。私は当時27〜28万円のツアー代金を払って、わざわざそれを見に行きました。
今の額に換算すれば、だいたい100万円ですよ。みんなで過呼吸になりそうになりながら無修正を見ました。それが今の中国人なの。

竹下:
なるほど、日本がアメリカの数年遅れと言われるように、中国は日本のあとを追っているのかもしれないですね。

村西:
だからね、我々は中国人に対して、性的に劣っていないんですよ。これは唯一のアドバンテージなんです。
要するに、日本のフィットネスが中国へいくと、その後ろに彼らは日本のAVを想像するから。「ああ、日本人ってこういうフィットネスクラブでこういうトレーニングをしているのか」って。
私も今まで100回以上中国に行き中国人とビジネスをしてきました。社長にもぜひ向こうで挑戦していただきたい。
今から30年くらい前、ハワイで370年の懲役を食らって大騒ぎしていた時にね、当時、ハワイで白木屋っていうデパートがあったんですよ。
そこで、ヒロ・ヤマガタ氏の展覧会があったんです。出かけていったら、どんな写真が飾られていたと思いますか? ヒロ・ヤマガタ氏がハチマキをしめて日本刀を振りかざしている写真です。
ヒロ・ヤマガタ氏は立派な画家です。でもその写真は、彼がやりたくてやったわけじゃない。画家には必ずエージェントがついていて、エージェントはアメリカ人だから、日本的なアピールをするにはこれでいけ、と指示があったのでしょうね。

竹下:
日本人だったら絶対にやらないようなことも、アメリカではヒットする。確かにその国に合わせたアピールも大事ですよね。

村西:
この間、中国でフィットネスクラブに行ったら、そこはとんでもなく店舗数を展開していて、スケールが大きいんですよね。だからパーソナルトレーナーが一緒についてくれるっていうことはめったにない。
社長が今、日本でやっているようなビジネスを中国でやったら、間違いなく、世界制覇できますよ。
なにより、社長がそういう体をしているんだから。中国人は、企画書だけでは賛同しませんから。社長自身の体を見せるのが、何よりの説得力になる。その体を見れば、成功するビジネスだって誰だってわかりますから。

竹下:
ありがとうございます。確かに自分の体や健康が広告になる仕事だと思います。

村西:
日本のトップAV女優もジムで鍛えていますっていったら、たちまち人気に火がつくと思いますよ。
でも社長がトレーニングの世界で活躍してくれるのはいいけどね、もし、その体でAV業界に出てきて“駅弁”でのし上がったら、業界は大変なことになるでしょうね。

竹下:
トレーニングの世界で頑張ります(笑)。今日は貴重なお話をありがとうございました。

(おわります。ご愛読ありがとうございました!)

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第2章 超人化計画1 運動でミトコンドリアの量を増やす
第3章 超人化計画2 解毒でミトコンドリアの質を上げる
第4章 超人化計画3 食事でミトコンドリアの質を強化する
第5章 Q&A超人をめざす人のために
対談 超人たちをつくってきた二人清宮克幸×竹下雄真

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『M/村西とおる狂熱の日々 完全版』

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