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雑記1216「夢の中へ」

ネタがないんで、また糸井さんとこの「ほぼ日」のエッセイを見に行った。
今日のはいいヒントになるネタだった。わーい。


まだ彼の娘さんが子供の頃に、出張先から「サンタさんらしい人を見たよ」なんて手紙を書いたらしい。
赤い服じゃないし顔はマスクで隠れてたんだけど、勇気を出して「サンタさんですか?」と訊いてみたら、あわてて「ち、違います」と逃げるように去って行った。マスクがずれてまっ白いヒゲが見えたんだけど、まさかあれ、サンタさんじゃないよなぁ、と。
家に帰ると、娘は「それ絶対サンタさんだよ!」って言うんだけど、自分はすっとぼけて「そうなのかな~」なんて返す。そういうタネの仕込みは大変だったけど、思えば楽しかったよなぁ…。

って内容で。
こういう寸劇が省略されていくのはもったいないよなぁ、大人同士でもできないもんかなぁ、でも改めて信じなおすのも無理あるよなぁ、って話だったわけ。
で、ウチの夫婦はそんなことやってんなぁって気づいた。軽いヤツなんだけどさ。そんな仕込みとかは別にない。


嫁はオレと同じく乾燥肌で、冬になると決まって頭頂部のところに5ミリほどの赤い丸ができる。2~3個できる。びっみょーに出血してるわけ。カサブタになるかならないかぐらいの感じで。いつも。
たぶん、自分で掻くからそうなるんだろうけど。

で、赤丸以外の頭皮のとこは別にピンクだったり荒れてたりはしてないんだよ。
だもんだからさ、「お前、アタマ、パナップ(いちご)じゃん!」って言ってやった。

んで、全パナップの…いや、いちご味だけだけど、そのソースはお前の頭から収穫してんじゃないの? ってなっていって。でもさすがにそれを商品にするのはマズいんで、ウチらと江崎グリコと国がグルになって国家機密を敷いていると。
冬前になると、嫁が銀色の軽トラに載せられて、途中どっかの田んぼのわだちの道を通って、国内のどこかにあるグリコの工場で1年分のソースをドバドバーっと注いでくる。
で、嫁は国から秘密裏にキックバックを…いやいや、違うわ、正当に代価を頂いている。
が、国内のパナップいちご味のすべてのソースを卸してるにもかかわらず、夫婦ふたりがなんとか食べていけるぐらいのお金しかもらえていない…。

という設定がある。
それを毎年冬が来て、嫁の頭頂にいちごソースを見つけるたびに、「今年も銀の軽トラに乗らなあかんねー。またあまり儲けにならんかいねー。ちょっとずつ減らされてるよねー。足元見られてるのかねー」なんて茶番を繰り広げる。
サンタさんと違って、これはふたり中ふたりとも騙されていない。
いや、騙されてはちょっとおかしかったな。いるいる。サンタさんはいるよ。

この作り話が、作り話であることはわかってる。
んが、真剣に、これはもう真剣に茶番するほど、どこかで何かが変わるんじゃないかってことは、わりと真剣に思ってるところがある。病気だね。
さすがに嫁はそこまで想ってないだろうけど、それはデッカいドリームランドを頭ん中に常在させること。それは心ん中にも在ることになって、そしたらそれはもう、在るのだ。
恋心と一緒だわね。頭や心の中にしか想いが無いからといって、人様にお見せできないからといって、それはじゃー、無い、のか。んなこたぁない。

そう、あるんだよ。
見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。


大江健三郎も同じ病気のもっと重いのに罹ってたみたいで、オレは嬉しい。





【今週のオリジナルソングさらし】




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仲大輔
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