雑記1050「西田俊英氏に会う　後編」

さてさて、昨日の記事の続きなのである。

そんで、オレにとって混じりっけないホンモノの西田氏に話しかけてみた。質問よろしいでしょうか、と。

さすがにこれはアホっぽいとわかりながらもどうしても訊きたかったんで「愚かな質問だとは思うんですけど、どうしてもお訊きしたかったんですが、アトリエに戻って描くための屋久島でのスケッチは、なぜ写真ではダメなんでしょうか？」
と言ってみたんだけど、言ってるそばから（こいつどんだけアホやねん）と自分でも思ってしまった。
イチローにアホな記者がアホな質問してイチローがイラつくのを思いだす。

そしたら西田氏は柔和に答えてくださった。
「写真だと見てるところ以外が写らないですよね」
こう言われた時点で、オレはさっきまでのギャラリートークを聞いてたのかと思われるようなアホな質問をしてるんではないだろうか、と思った。いや、その時は緊張してて思ってないわ。いま思ってる。
トークの中で、描いてるうちに刻一刻と大樹は表情を変える、空気まで動いている、何も描かれてないところも含めて描いている（うろ覚え）、というようなことをおっしゃってたのに「なんで写真じゃダメなの？」である。いま思えばクソひどい（笑）　が、子供だったらそんなことを訊きたがるんじゃないかと思うんだよね。

それに、心を介さず、普通の言語感覚だけでそのお答えやトーク内容をわかろうとすると、やっぱりそれでもわからない。
だって「それだったら動画で良くないですか？　数時間まわしとけば」って質問が自然と浮かんできちゃうじゃないか。こっちは知りたいんだから。でもそういう話じゃまったくないだろうことはさすがに思いいたるるんで、
「描いてる時の自分の感情（心象と言ったかも）も含めて瞬間瞬間をスケッチされてるってことなんでしょうか？」
と訊いたら、「そうですね」（「そうですね」だったかはまったく覚えてない。YESではあったというぐらいの感じ）ということだった。

ん、ちょっと待てよ、これいちいちその場の会話の雰囲気を全部書こうとしてるから時間かかるんだな。応答をツラツラっと書くわ。

で、もうひとつ、スケッチしながら涙されていた時にどんな思いが去来していたのかを訊いた。テレビで観て湧いた強烈な疑問だ。こっちがメインの質問だ。
番組内では「描くという行為の中ではいろんなことができるじゃないですか」と、描きながら泣いてらした場面が映ったんだけど、どうしてもなるべく言語化して聞きたい。
さっきのギャラリートーク中でも言葉を超えたもの、言葉で表せられないものを描いている、ということを聞いたんで「言語化するとしたら」ってオレの口から出た時には（こいついったい何を言うてんねん）と思いながらだ。いつも口にしてから自分のアホがわかる。

そして、
「さっきもトークで言ったように、ドイツ人（前記事でベートーベンに言及している）が見ても伝わる何かがある。そういうものに想いを馳せている時、感じる時に感極まる。縁（えにし）というのかな」
というような内容のことをお答えいただいた。あ、もちろん敬語でだ。緊張のせいなのか聞き逃すまいとしてたのか、普段よりも思い出しにくいな。

が、とにもかくにも「縁」という言葉が2回ぐらいでてきて、（あぁ、これはこの世ならざるモノの話だ）とオレは理解した。
そして、自分も音楽をやってて自作のピアノ曲を弾いてるだけで泣けるようになってきたこと（前記事でトーク中にピアノの話が出てくる偶然を参照されたし）、スケッチ中に涙していたあなたを見て自分が泣いたから惚れ込んでここにきたこと、そして大谷翔平のマンダラチャートの話を知って、ここ最近自分も完成させたこと、の縁の数々をテンション上がりまくってこれでもかと詰め込んどいた。

もはや直感でしか物事を決められないアホガキのオレに、仰ぎ見るお相手が「縁」だと言ってくれる。こんな縁があるだろうか。
何も掴むところのないこのオレの人生で（他の人もそうなのかもしれんがオレは特に何もない）、縁（あ、さっきから読みは全部「えにし」です）というものを、この世の外からの力を、感じられることのこの安心感よ。
（安心感？　ちょっと違うけど、それが一番近い。大丈夫感みたいな）

マンダラチャートを作ったと言った時、特にニコッとされたのが嬉しかったなぁ。

こんなような興奮をまた、家に着いてから西田氏のインスタに「今日はありがとうございました」とともにコメントしといた。
しばらくしたら「こちらこそご縁をありがとうございました」と返信してくれていた。

あ～、至福だわ。
と同時に、「なるほどなー」とも思った。「これがファンの気分なのか」と。いつも俯瞰で見てるもうひとりのオレがいて「これは使えるなぁ」ってすーぐ思っちゃう。
そんな自分がちょっと嫌いで結構好き。

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【今週の過去分オリジナルソング】