雑記1124「読み返してみたら興奮だけしててたいしたこと言ってない」

先週の雑記で、生物の遺伝子に入ってる大いなる旅用のプログラムのことを書いてから、ある話を思い出して、図書館で借りて来た。

手塚治虫著『火の鳥』の「望郷編」だ。
地球に嫌気がさして他の星に移り住んだ女のあまりにも壮大すぎる物語。

前に一度読んで完全に忘れて、いま真ん中ぐらいまで来た。
読みはじめてすぐ、だいぶ失礼なことを思っちゃったんだけど、「なんでいまの漫画家はこういう面白い話を書かないんだろう」ってことだった。
「みんなこの話を知っててあえて避けてるのかな？」とまで思ったんだけど、そんなわけないわな。『YAWARA！』の浦沢直樹なんかが「全部この人（手塚氏）が先にやっちゃってるんだもんなぁ」とウンザリしてたけど、そのあたりの時代の人ならともかく、いまの漫画家全員がいちいちこの古典を調べてるとも思えず（知ってる人はそりゃ知ってるだろうが）、結局のところこういうスケールの話を思いつくことがもうできないんじゃないかと、勝手なことを思うのだった。

やっぱり人間が金目かねめを意識しすぎて、妄想の中ですら神話めいた物語を描けないんだろうか、なんてこれまた勝手なことをおも…ってか思うことぐらい勝手にさせてくれよ。

なんつーか、杓子の中にハマっちゃうっていうかさ。昔ほど編集者とバチバチとかもないんだろうし。作り手が普通の人間の言うこと聞いちゃって大作が生まれないってのはあるんじゃないかねぇ。

って、そんな悪口言いに来たんじゃなかった。
そうそう、手塚治虫は「漫画の」じゃなくて、神なんじゃねーの？　って思ったんだよね。
はいはい、まぁ広義にはみんな神なんですけどもね（勝手になんか調べてくれ）、その中でもとりわけ神してるなぁと思った。

ニール・ドナルド・ウォルシュ氏に書記させる神…もしくはニール氏が生み出した”神”もかなり神してて、オレの神学に一番近い神が彼の神なんだが、手塚治虫の作品…ってか彼自身にもそういったレベルのものを感じた。

簡単に言えば「なぜそうもわかるの？」ってことなんだけどね。「思いつくの？」じゃーない。「わかるの？」と思わせるのだ。
なぜ「わかるの？」と思わせるかというと、ニール氏の神も含め、いままで読み、触れ漁って来た神の概念（バチとか与えないいわゆる本当の神です（本当ってなんだよって人は勝手になんか調べてくれ））と異様に符合するからなんだな。
古今東西の神話や物語や研究や概念の創作者発見者たちが、いちいち互いに語りあったとはとても思えず（中にはそれもあるだろう。当人は本当に歌詞パクってないと思ってるけど、過去にたまたま漫画で読んでて忘れてしまってたとか。999）、ダークマターのように、そこに神というものの存在をすぽっと入れてみたら誰の言ってることも辻褄が合うじゃないかと。

まぁなんかそんな感じ。急に雑になってごめんだけど。
いや、こんなもんいちいち言葉で説明しとれんわと思って、急に。

で、先週の雛人形の時の得も言われぬタイプの感動と同じタイプの感動がバチコンバチコンくるわけ。火の鳥。
それは「あぁ、オレはこの心模様で泣いてるんだな」と、だいたいの涙は長年生きてたらその源泉をカテゴライズもできるんだけど（特に人の数十倍泣いて来たオレは）、それがまるで雲をつかむような感覚で「え？」ってなる感じ。
はじめて嬉し泣きする子供に「あんたなんで泣いてるの？」って聞くと「わかんない～」っていうあの感じだ。

言うなればゲロに近い涙の源泉だ。前兆がないのだな。
もうこのへんで何を言っとるのかワテもようわからんけど、とにかくそういう漫画って稀有…ってか無かったかもしんない。つまり前読んだ時にはそこまで感じられなかった。

まぁとにかく手塚さんヤベー（良い意味）って話と、それと自分の「読了済み」の認識ってヤベー（良くない意味）って思った。
最初になんらかの体験をした時の自分とはもうまったく別の自分で、1回目を通過して来たからといって、いまの自分のほうが知ってる分かってる賢いなんてことはまるでなくて、「あれは前に読んだなぁ」なんてことはまるで思わんほうがいいなって思ったね。

その最たるものが子供なんだろう。
彼らは自分が通過してきた場所ではまったくない。
子供をアホだと思ってる大人はホントにアホだとまた思った。

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【今月の過去分オリジナルソング】