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雑記1141「バネ期間が長すぎる気はする」

さて。
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
の一文で著名な宮沢賢治の『農民芸術概論綱要』だけど、いままではそこんとこと「求道すでに道である」の部分しか知らんかった。


で、昨日全部読んでみたら、すんげーことが書いてある。
いや、そう思うのもオレだけかもしれんので、ま、内容は省くんだけど、なんだか聖書の一部を読んでるような気分になった。
「こ、これはすっげーことを言っているのでは?」
って思った。ま、オレのこじつけ考察なんで内容は省くんだけど。

あ、でもやっぱり間違いないだろうって思うのは、「『注文の多い料理店』序」で書かれてる、
「もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。ほんとうにもう、どうしてもこんなことがあるようでしかたないということを、わたくしはそのとおり書いたまでです」
の言葉が嘘偽りないものなんだなということだった。もちろんまるで疑ってるわけじゃなかったんだけど、つまりは、ほんとうにもう、普通の人と違う見えかたをしてるんだなと。

そこまでの橋としてドリアン助川氏がいて、もちろん彼もわりとそんな感じで、オレも彼らほどじゃないけどどうやらそんな感じなんだとやっぱり思った(訓練で増えます(虫が神の手先に見えてくるなど)。もちろん敢えての訓練じゃなくて。子供の頃といまが一番多いかも)。
自分を通して多少なりとも思ったからこそ、本家本元の賢治が言ってることが真実なんだと思ったし、その真実を普通だと思ってみると、これは賢治がどえらいレベルにおるんだなーと、逆にそう思った。

意味わかりにくいな。
つまり盲信的な永ちゃんのファンは「矢沢永吉がスゲー」とダイレクトでハナっから思っちゃってるんだろうけど、そうじゃなくて、ただのフツーのオッサンが矢沢永吉してるところがスゲーんだよ。ただの隣人のひとりに過ぎないオッサンが、あの役に押し込められて、それをずーっとやってるってのが異常なんだ。
偉さ凄さ才能カリスマは最初は本来はテメーと一緒なんだよ。オレはファンじゃないんでそう思うんだけどさ。
ま、そんなような感じのことが言いたかった。

賢治を普通の農民の芸術家(そんな意識すらないだろうが)だというところに降ろしてみると、よく人間の分際(悪い意味じゃなく。そんな人間という器で)でそんなところにたどり着けたな、と思う。


で、一番悟ったのは、今までは、ここでいう農民…生活と言ってもいいんだろうけど、オレは芸術を生活に近づけようとしてた。
芸術家のイメージに憧れ、ただ普通であることを嫌がり、芸術をもってメシを食えたらいいなぁなんてことを漠然と考えてた。

が、賢治は綱要の中で言う。
「かつてわれらの師父たちは乏しいながら可成楽しく生きてゐた」
「職業芸術家は一度亡びねばならぬ 誰人もみな芸術家たる感受をなせ 個性の優れる方面に於て各々止むなき表現をなせ 然もめいめいそのときどきの芸術家である
「おお朋だちよ いっしょに正しい力を併せ われらのすべての田園とわれらのすべての生活を一つの巨きな第四次元の芸術に創りあげようでないか」
「巨きな人生劇場は時間の軸を移動して不滅の四次の芸術をなす」

四次元っていうのは彼のいう「銀河」同様、見えない世界のことなわけだけど、「巨きな」を付けた人生劇場ってのは現世のことを小さく指しながら、そっちの世界のことも言ってるわけで、これってのはイーロンも同じような意見なんじゃないかって勝手に思うんだよね。彼もさらに上位の概念があるだろうって言ってるし。

あぁ、で、悟ったってのは本当にいままでオレは真逆のことをやってたんだなと。
芸術を生活に近づけるんじゃなくて、生活を芸術に近づける、いや生活を芸術する、いやそんなこともどうでもええわほんたうに生きてたら勝手にそうなってる、ってことなんだろうと思ったのだ。

だからオレは、サッポロ一番の酒井美穂子さんを見た時に号泣したんだということも悟った。
彼女はまったく自分を芸術家だとは自認していない。が、自認して&自認したがってるオレよりも遥かに芸術家のそれをしてる。いやむしろしてなくてもいい。ややこしいな。
B'zの稲葉が「むしろ難解なゲイジュツ論 続けるほうが危なかった」って歌ってたのはこういうことなんだろか。言えば言うほどそこから離れるよなぁ。

そうそう、んで、何も意識してない酒井さんの生き方こそが、人生を劇場としてる。そこはかつての師父たちがかなり楽しく生きてたってことともつながるんだな。


オレは人生を劇場にしてるだろうか。まぁそうでもないな。
ライブや、この雑記や、好きな空間や、非日常など、劇場っぽいところでは劇場してるけど、そうでないところではかなり文句の虫だ。あ、散歩してる時もちょっと劇場してるか。

レジで並んでる時、日焼けしてたら犬連れの誰かが近づいてくる時、本屋で立ち読みしてたら変わった感じの顔のヤツが平気で半径50cm以内に入って来て平気で隣で本読みはじめる時、ドライブスルーに並ぶ車が公道に何台も出てるのを見た時、群衆性の高いヤツとしゃべってる時、クソ愛想のないオッサンと目があった時、文句の虫と話してる時…オレはまるで人生を劇場していない。
なんならあとからムカムカを反芻までしちゃう。あーもったいない。劇場はまだ開演中だっていうのに。

うーん、そう考えたら、さんま師匠はホントすごいと思う。
彼には公の場しかなくて、誰がいつ何時劇場に入ってきちゃってもイヤな顔ひとつしないんだろうな。
オレはそういうことがまっっったくできない…と、ずーっとコンプレックスだったりするから、意識してない人よりはどこかで反転しやすいのかもしれんなぁ。


米津玄師とか大反転してるよねぇ。
まるで、いつか世界に押し出すために、天は引きこもり時期を与えてた感あるわぁ。




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