ホン雑記 Vol.134「灯台下漆黒かもね」
昨日YouTubeで、とある若いアーティストのMVを見ていた。
オジサンにしてみたら、最近の歌はメロディーはややこしいし、内容もSFチックで中々刺さってこないんだけど、その歌は珍しくやたら響いた。
「あぁ。世界のいい救急箱が産まれてきたなぁ」と久々に思わされるような歌で、今日もまたそのMVを見に行った。
コメント欄を見てみると「自分と重なって涙が止まらず、改めて生きようと思った」といった内容のコメントがあった。名前とアイコンから、女性のコメントのようだ。
ずいぶんとセクシーなアイコンだったんで、ふざけたヤツだと思ってホームを覗きにいったら本人で、しかも見たことのある人だった。
ちょっと前に、男性筋トレ系YouTuberをよく見ていたんだけど、その人とのコラボで一緒に筋トレしていた女性だ。
見目麗しく、スタイルも良くて、笑いの頭もキレる。インスタもやっていて、いわゆる「ばえる」人だ。パリピ臭がプンプンする。
まさかこの人の、しかもこんなに華やかな人のコメントだったとは……
MVの歌の内容はこうだ。
憂鬱に生きる主人公は、電車に揺られている。人身事故が起きても、遅れるダイヤに舌打ちをしてため息をつくような日々。
その事故で亡くなっていたのは、自分の知人だったとあとで知らされ、来る日も来る日も、自分の罪悪感を狂わんばかりに悔いている。
自分も飛び込もうかと思うが、誰の心になんのさざ波も立たぬことは今までの自分が知っている。それならいっそ生きてやろう…
そんな悲壮の決意が描かれている。
オレもわりと遠からぬ経験をさせてもらったけど、因果なもんだね。立ち直ってくるとまた、人の痛みが見えなくなってくるんだな。
当初は、目の前の人が、今にも死んでしまいそうなほど落ち込んでるかもしれない、なんてずっと考えてたんだけどな。
ヒリヒリするほど思ってたのは、最初の1年ぐらいのもんだったか。
長く目に見えないウィルスとの戦いが続いている。それはウィルス以外のものも心の敵にする。
今にも死んでしまう人は、意外とハッキリ顔に出さない。
このMVは、もうちょっと人の痛みにフォーカスして生きようと、また思い出させてくれた。
誰に寄り添えるわけでもないんだけどね。