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ホン雑記 Vol.213「灯台下明るし」

213… 「ニイミ」かぁ。そうかぁ。
そういやこないだ新美南吉の生家を見てきた。ワシ、半田住まいなもんですから。
古めの大きめの家で、井戸と離れもあった。写真撮ったんだけど、帰って来てすぐに消した。別に要らんなコレ、と思って。


もう10年以上も前、地元「知多半田駅」周りで、ストリートでギター弾き語りをやっていたことがあった。
だいぶシャイなオレではあるけど、オトンが死んでしばらくしてからのこと。ちょっとメンタルが誤作動してたのか、「うぉーーーっ!」と何かをやらなきゃいけない気がしたのだ。そりゃそうだ、ニートだったからな。
あ、いまもか。
10回もやらなかったとは思うんだけど、その折に高齢の女性が話しかけてくれたことがあった。

東京からこっちに越して来て、まだそんなに経ってないという。その人がこんなことを言っていた。
「こんな不気味な駅前は初めて見た。建物の規模と人の数のギャップがすごい」
あぁ、やっぱりそうなのか。なんとなく思ってたけど、外から来た人にもそう映ってるのか。

この知多半田駅周辺は、オレが子供のころは活気に溢れていた。22年前に「半田ユニー」という顔が閉じて、それに連なるアーケード商店街も消えてからは、ひと気もなくなっていった。
しばらくして、ショッピングモールと分譲マンションがガッチャンコした再開発ビル「クラシティ半田」が建つんだけど、これもいまいち鳴かず飛ばず。
大きくなった知多半田駅とも3階の連絡通路で繋がってるんだけど、まーぁ人がいない。確かにギャップ、すごい。

その女性は周辺を見回して、
「新美南吉記念館とか、ミツカンとか、この駅に降り立ってからどうやってそこに行けばいいのか、なんの看板もない。まったく導線が見えない。これではダメよ。新美南吉よ? もったいない」
と言っていた。お役所に全然やる気がないと。
「そうですよねぇ」に言語化した(スミマセン)の想いが口から出ていた。なんとなくオレも悪いような気がして。

悪いような気はしたけど、悪い気はまったくしなくって、こんなオレにも郷土愛がわりとあったんだなぁと思わされた。
家に帰って「新美南吉」を検索してみると、「お母さんが選ぶ教科書にずっと載せたい童話ランキング」のような記事があった。

ランキングは10位ほどまで載っていただろうか。

1位 ごんぎつね 新美南吉
2位 手ぶくろを買いに 新美南吉

まさかのワンツーフィニッシュだった。もちろんそれ以降も聞いたことのあるタイトルばかりだった。

「これ全国区だよな?」
何かとても大きな価値に半田市は気づいていないのだと、オレの中の何かが結構でっかく打ち震えて心中で「うぉーーーっ!」と咆哮した。当時まだはやっていたmixiでクラシティ半田コミュニティにも入った。
その頃はクラシティの1階でキーボード弾き語りもさせてもらってて、関係者との繋がりもできて、他のイベントにも出たりしてたんで、オレの中の小さな小さな灯し火がこの町を盛り立てていきたいと叫びだしたのだ。

たぶん数日後には、メンドーサ一族族長であるオレの火は消えていたと思う。そこからまた数年… 就職して焦りがなくなったこともあって、8年続いたクラシティライブに幕を下ろした。
聞いてる人がどんどん減ってきたってのもあるけどね。



新美南吉記念館はお金取られるんで… ついでに、地元民ならではの「まぁまた今度でいっか」の助力もあって、食指がピクリとも動かなかった。
ところが昨日(マジで昨日なの)、「あぁ、遠出は出来ないけどちょっと行ってみるかなぁ」なんて思ってたとこだった。

で、今日の【ホン雑記】のボリューム見たら213。
ビックリするじゃーないか。こりゃぁどうやら呼ばれてるじゃーないか。


では行ってきまーす。




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仲大輔
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