コロナは神様のプレゼント、と思ってみる。
さてさて、自己紹介を除いて初の記事。どうにか継続だけはしていきたいと思います。い、いえ、マネタイズなど一切考えてませんよ。はい。
「旗色をはっきり示さないヤツが嫌い」
とは、ことあるごとに口にして来たセリフだ。凡リーマンが大した意思決定をして来たわけでもないのだが、まぁ、よく言う言葉の1つだ。
が、44年の人生の中でもこれほど自分の意見があっちゃこっちゃへフラついた事件もなかった。今回のコロナ騒動である。
自己紹介にも書いたが、まーぁメンドくさがり屋の自分は最初の世間の反応を嗤(わら:馬鹿にしたようにわらう。見下したようにわらう)っていた。
「気にしすぎじゃね?」
とはいえ、なかなかの「気にしぃ」でもある自分は多少の調べ物に勤しむ。
・インフルエンザよりは(残存時間は長くとも)感染速度が遅い
・風邪の原因の35%はコロナウィルスである
・過去に流行ったMERS、SARSもコロナの一種で今回のもそれの新型に過ぎない
やっぱり。まったく大したことないじゃないか。しょーもない。
と思ってた矢先、あの志村けんがあっというまにコロナに連れていかれた。
「あかん、ヤバいやつやこれ…」
多感な小学校低学年でドンピシャの世代。ひょうきん族より断然ドリフ派だった自分には少なからずショックがあった。いや、老若男女問わずショックだっただろう。
いよいよビビりだした自分は、翌日職場でもマスクを着けはじめた。
すると、面白いことが起こった。
いまだマスクを着けてない他の人間を見て、
「いつまで顔出しとんねん、ボケ」ってな感情が湧いたのだ。1日で。
まだ職場の3割ほどの人はそれでも着けていなかったし、訃報のニュースを見ていなかったのかも知れないし、そもそも自分がビビりハードルが低いってこともある。
なのに自分が行動を変えた途端、旗色を決めた途端、己の意見がこうも行動に影響を受けるのかと思い知らされた。
「オレの考えってこんなもんなのか…」と。
そして、いよいよ緊急事態宣言が敷かれ、「最低でも1年はこんな感じが続きますよ~」なんてお偉方が言い出したら、「いやいやいや、いつまでもやっとれるかい」なんて旗色になり、大阪知事の「短期間徹底的にみんなが自粛することが、ひいては経済打撃にも一番効果がある」や「長引くほど医療従事者のダメージになる」と言った意見を聞けばまた、風見鶏のように旗色を変えた。
その頃からだろうか、なんとなく世間もいつも以上にイラだって来ているのが皮膚感覚で分かった。ツイッターやFacebook、Yahoo知恵袋の回答を見ていてのことだ。
その中で一番気になった、というか自分が閲覧に辟易しだしたのが、そう、
「マスク2枚」事件だ。
そのあたりから、みんなの堪忍袋の緒がそら一斉にキレだした感があった。
ふざけるなと。
他国は何十万の補償、それに比べて日本は…
どこが比較的スピーディなの?…
エイプリルフールネタか?…
などなど…
いや、確かに自分も早速次の日、千鳥のノブばりの「イカ2貫!?」を言ったさ。あぁ、その日何回か言った記憶もある。まぁ全然安倍首相嫌いでもないんだけどさ。とりあえず言うとけと。
後日見た「ひるおび!」での八代弁護士のコメントでイカは吹っ飛んだ。
「マスクが全世帯に2枚行き渡る。そのことを国民全員が知るということだけでも、マスク欲しさに薬局に毎朝並んでいる行列が少しでも緩和されるかもしれない。マスクを切らした老夫婦2人だけの世帯で、朝どれだけ並んでも買えないから助かるという声もある。足が悪くて並べない人もいる。そういう声は埋もれてる」
ホンッッットにその通りだ。誰も「正しく恐れる」が出来てなかったんだ。マスクだけじゃなく「早く、多く、カネ寄こせ」も見てられなかった。なんなら日頃のコロナに関係ない鬱憤までついでに吐き出してるだろ。
今から1年ほど前に2人の男がこんな発言をしていた。
トヨタの社長である豊田章男の、
「雇用を続ける企業などへのインセンティブ(報償)がもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」
経団連の中西会長は、
「正直言って経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っている」
加えて、老後2000万円問題が話題にのぼったのもちょうどこの頃だ。
そう、みんな分かってたはずじゃん。自分の身は自分で守れってこと。
オレより分かってたじゃん。日本政府がハナっからそんなに頼れるものじゃないってこと。
分かってたじゃん。国の借金は政府の借金であって、国民1人当たりいくらいくらと計算して見せるようなもんじゃないってこと。
そして、その優秀なオツムで分からなかったとは到底思えないんだよ。
「国は自分たちには何もしてくれない」っていう当たり前すぎる大前提を。
分かってた…よね?
分かってて文句が出続けるって割とスゴいですぜ?
マスメディアがこれまたヒドいもんで、産経新聞なんか安倍首相が「目から口までを」覆うようにマスクを着ける様子を報じる。呆れちゃう。
いったい何の意味があるんだろう。国民とマスメディアが寄ってたかって、たとえ優秀じゃないとはいえ、その国の長を叩き貶め続けることに。
何の意味があるんだろう。おそらくは大多数の人間が叩いているだろうことを知っていながら、解決策も考えず、ただ憎しみと苛立ちで終える文章を世に垂れ流すことに。
みんないい人になりなさいなんて言いたいわけじゃない。罵詈雑言を浴びせ続けることが、本人にとって幸せなら断然そうすべきだ。浴びせるほど、もらえる給付額が上がるならやればいい。
でもそれは、人を叩く行為は当人は幸せなのか?
個人的には、コロナは色んなことを教えてくれた。
・自分の意見はこんなにも拠りどころのないものだったこと
・数多いる著名人たちも意外とコンプレックスの塊で、別段憧れるような人種ではないこと(もちろん憧れてる人も少なからずいる)
・コロナが来る前から、もうすでに感謝すべき人達がいてくれたこと
自分も大概自己中な人間だけど、さすがに今回は気づかされた。
「あー、自分ひとりじゃ何もできなかったんだなぁ」って。
作ったり、調べたり、直し(治し)たり、運んだり、加工したり、教えたり、助けたり、育てたり、測ったり、並べたり、会わせたり、書いたり、読んだり、話したり、預かったり、学んだり、棄てたり、守ったり、送ったり、聞いたり、笑ったり、そして今は何もしなかったり………
いろんな人がいろんなことを、あちこちでやっていて…。どれも要るんだ。
ちょっとだけだけど、自分が大きな網の結び目の1つになったような感覚に陥った。その結び目たちのどの1つがほつれても、脈々たる繋がりは壊れてしまう。
お前たち、もういい加減気づきなさいよと。
自分の肉体や、家族や、会社だけが良ければいいって言うんじゃちょっと小さすぎるよと。
もっともっと外まで、自分を拡張しなさいよと。
お前がイラついてる「文句言い」も網の目の1つだよ、と。
なんとなーく、上のほうから言われてるような気がした。
コロナが去ったら、過ぎた喉元の熱さを忘れてしまうのかも知れないけど、周りの網の目への感謝の念だけは、火傷のように残ればいいなぁ。
サポート大歓迎です! そりゃそうか!😆 頂いた暁には、自分の音楽か『しもぶくりん』への「やる気スポンサー」としてなるべく(なるべく?)覚えておきます✋ 具体的には嫁のさらなるぜい肉に変わります。