ホン雑記 Vol.109「オレはうかがう男だぜ~♪」
今は素人でも物書きやラジオDJのマネゴトができる時代だ。上手くいけばマネタイズも夢ではない。
とある一般人が、音声配信アプリを始めたという記事を見つけた。一般人の音声配信に興味がないので中身を聴いてはいないが、何か新しいことを始めたという文面のほうだけは気になったので読んでみた。
オレには恥ずかしくてとても音声配信は無理だが(歌は別)、始める時の意気込みや悩みごとなどが書かれていた。
こういうアプリは、どうやら今聴いてくれているリスナーの数が配信中に表示されるようで、「あぁ、今ひとりしか聴いてない」とかが分かってしまうらしい。すると、とてもいたたまれない感じらしい。1対1なのに片方しかしゃべらないというのは、なんともつらそうだ。
オレも駅前でギター弾き語りをしたことがあるので分かるが、数人が遠巻きに聴いてくれているのは全然平気だが、ひとりだけ目の前で聴いていると「あっち行けよお前」とか思うものだ。ムチャクチャである。
でもそれほど恥ずかしいのだ。オレだったら弾き語るよりも、ひとり聴き入る客になるほうがよっぽど恥ずかしいけどな。
その配信者はタイマンになった状態で、やたらとホスピタリティを発揮してしまったという。おもてなしというヤツだ。最初から日本語で言えよ。
ところがその時の彼の唯一のリスナーは、「こっちを気にしないで好きなことをベラベラしゃべってくれるほうが楽しいです」と教えてくれたらしい。
これは勉強になると思った。わざわざ素人のおしゃべりを聴きに来るような人は、楽しみたいからやって来ているのだ。
そりゃぁ、自分で考えてみても分かる。
オレは男にしてはだいぶ宝石好きだが、ショッピングモール内のテナント宝石店なんかを覗いてみたくても、数秒で店員が寄って来るのでまったく入れない。ウィンドウショッピングの機会さえ奪われるのに、どうしてオレの購買欲を焚きつけられようか。マジでやっているのか、と思う。
「ちょっとひとりで見ていたいので」と告げる勇気さえない人間もいるのだ。いや、というか、絶対販売機会損失してると思う。服屋とヒマな時の家電屋も。オレの場合は「誰が買うかこんなとこで、アホンダラ」までいく。
だって近寄って来るって自分の都合だもんね。売りたいっていう。オレのことを慮ってくれてるんだったら、そっとしといてくれよ。
保険も必要ならこっちから入るって。あー、保険屋、ホンマに。何年も前にキレ気味に追い返してても、いまだにハラ立つわ。
あ、また脱線してきた。
ということで、人間、楽しんで好きなことしてたらいいんだと思う。
彼女を初めてのデートに誘う時だって「この子楽しんでくれてるかな?」と相手の反応ばっかり気にしてる男には魅力ないと思うのだ。それは結局、謙虚さの皮をかぶった不遜だ。
グイッと手を引っ張って、「オレのお気に入りの場所なんだぜぃ」なんて感じで、だいじなものを見せてあげるほうがよっぽどいい。
というわけだから、当然オレは魅力のない男のままだ。