見出し画像

ホン雑記 Vol.128「ゲームブックと永劫アナログ世界観」

今から35年ほども昔、ゲームブックというものが流行った。
タイトル絵にもあるように、本文は数100個のパラグラフ(段落)に分けられていて、各パラグラフには順に番号が付いている。読者はそれらのパラグラフを頭から順番に読むのではなく、「二六三へ進む。」のように、パラグラフの末尾で指定された番号のパラグラフへ飛ぶ。
普通の書物との一番の違いは、選択肢があることだ。もちろんゲームオーバーもある。あるどころか、大抵は初見だと死ぬ。


小4~中1ぐらいまでドハマりした。
すべての本の中で一番好きなジャンルが、このゲームブックだと言っても過言ではない。
コンピュータゲームのRPGに一番近く、所持品や強さやマップも存在するので、自分が今どんなアイテムを持っているのか、力はどれだけあるのかなどを書き込む「アドベンチャーシート」という紙と筆記具が必須だった。
当時はドラクエなどもすでに発売されていたので、わざわざ手書きでステータスを書き込まなければならないゲームブックが流行ったのは不思議だが、紙と鉛筆とサイコロというリアル所持品が、少年たちの冒険心をくすぐったのかもしれない。

おおげさかもしれないが、生まれた世代と流行った時代のタイミングに感謝の念すら覚える。
わざわざ手書きでとは書いたが、さすがに今ほどコンピューティングが発達していたら発売されなかっただろうし(ゲームブックはさらに大がかりな、「テーブルトーク(ゲームマスターと呼ばれる人間がシナリオの進行、分岐の判断をしていた)」という、複雑なスゴロクのようなものから来ている。コンピュータ技術が進んでいなかったからこそ、人間がこのゲームマスターの役割を演じていた)、ちょうどその時に冒険心溢れる少年時代だったからこそ、これほどの思い出が残った。

今でもちゃんと読みたい本は電子書籍では買わない。入り方がやっぱり少し違うのだ。部屋の容積をムダに埋めても、紙媒体のほうが遥かにいい。それもこのゲームブックを読んでいる時の、世界観を味わおうとする感覚から来ている気がしないでもない。



そのうちに紙媒体は消滅するだろうと言うインフルエンサーがいるが、こと読み物においては未来永劫なくならないだろう。たとえ、ビブリオマニア&ビブリオフィリアが地球上から絶滅してもなくならない。
それは、衣食住や移動手段や通信手段のどれを見てもデザイン性だけ抜け落として(そんな言葉ないか)販売されているものは皆無だからだ。

実体のない仮想通貨やNFTですら、ビットコイン型の貴金属コインや、ペンダント型のNFTのモニター等、よりアナログ的な所持方法の話は尽きない(コインのほうはビットコインの所持ではなく貴金属の所持だが)。


人はシンボリックなものに、思った以上に価値を見出しているのだ。

ご神体やファングッズもなくなる気配ないでしょう。




いいなと思ったら応援しよう!

仲大輔
サポート大歓迎です! そりゃそうか!😆 頂いた暁には、自分の音楽か『しもぶくりん』への「やる気スポンサー」としてなるべく(なるべく?)覚えておきます✋ 具体的には嫁のさらなるぜい肉に変わります。