出産当日

陣痛が始まり子宮口が3cm開いたとはいえ、早めに生まれるのか数日かかるのかもわからない不安な状況だった。こちらは信じて待つしかない。いつでも動けるようにその日はテレビも電気もつけっぱなしですぐ目が覚めるようにして半ば強制的に眠りについた。

翌日の朝、子宮口が4cmになったとの連絡。
どうしようもできないが、家にいるのもソワソワして落ち着かない。そのため、別の用事(自分の通院)を入れて病院の近くにいることにした。

自分の診察終了後、本当にぴったりのタイミングで妻から電話が。
「今から分娩室に移動する」

いよいよ来たかと思い、急いで病院へ。

ちなみに本院では条件付きでの立ち会い出産OKだった。(抗原検査陰性、またはPCR検査陰性である場合のみ、出産後2時間まで)
そのため到着してすぐにコロナの抗原検査を受けることになったのだが、無事に陰性の判定となり待機部屋に通された。

しかしそこからが長かった。「30分から1時間くらいで呼ばれるかも」という妻からの情報とは違い、30分、1時間、1時間半、2時間が経過・・・
祈るしかない時間が続く中、いよいよ呼び出された。

手術着のようなものを着せられ分娩室に入室した。

妻は部屋の奥の方にいた。その周りにたくさんの人が妻に声をかけている。
目が合うと彼女は泣き出した。辛かった、大変だったのだろう。
どれだけの苦労をしていたのか、こちらは想像するしかできないが、とにかく妻の手を握り、一緒に呼吸し、リラックスできるように話しかけた。

そして10分ほど経過したのち、ついに赤ちゃんが誕生した。

取り上げられ、妻の胸に乗せられた赤ちゃんを見てとにかく安堵し、幸せな気持ちになった。
男の私ですらそうなのだから、妻は尚更だろう。

産後処置のため一度退出し、その後2時間ほど妻と会話をし、わたしは家路についた。

赤ちゃんは少し泣きが悪かった?ということで念の為保育器に入ることになったが、よくあることらしい。

これから3人での生活が始まる。
このなんとも言えない感情をどう我が子・妻に還元できるのだろう。

今はただやれることを精一杯やるしかない。これまで以上に愛情を注いでいこうと思う。

前日の大雨が嘘のように晴れたその日に、わたしも生まれ変わったような気持ちになっていた。

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