陣痛〜出産前日の出来事

予定日まで1週間を切り、妻は焦っていた。
初産であるにも関わらず、直近の健診で3000g超との診断を受けていたからだ。

「あまり大きいと産める自信がない」というのは正直な想いだろう。できるだけ早く出産したいという思いから、ネットに溢れる「陣痛が来る(らしい)手段」をアレコレ試していた。

そんな中、その日は訪れた。
私が在宅勤務をしていたとき、突然「子宮がちくちくする気がする」と訴えてきたのだ。
「前駆陣痛かね?」という話をしていると「おしるしがきた」と。。

普段は痛がらない妻の様子がおかしい。どうやら痛みは定期的に訪れるようになり、それが陣痛であると確信したようだ。その日の夕方、病院に電話をしていくことになった。

満を持して、登録していた陣痛タクシーを手配すべき電話したものの、どの会社も「時間がかかる」という回答。
その日は夕方から大雨となっており、車両が陣痛にかかわらず出払ってしまっていたのである。なんとか近所のカーシェアを確保することができ、大急ぎで運転した。今思えば、昔のドラマでよく見るようなシーンだなぁとも思っている。

無事に病院に到着。コロナ対応の関係で私は入れない。1時間ほど待っていると「子宮口が3cm開いていて、入院することになった」との連絡。いずれにせよ近日中には産まれるということだろう。

運転の帰り、雨はもう上がっていた。父になるとはどういうことなのか、まだ実感は湧いていなかったが、誰もいない家に一人帰宅し3人家族になることを思いながら「家族になろうよ」を聴いたのだった。

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