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わが街の伝統産業 島根県・安来市

第77回 島根県安来市 〜全国有数の民謡「安来節」と日本一の庭園「足立美術館」を擁する街にある100年続く安来織

 島根県安来市。県東部に位置する人口が約35,000人の街。日本海に面してる安来市は、江戸時代から米や鉄の積み出し港として、北前船の入船で人々の交流が盛んになり、安来節という民謡が知られるようになりました。

 中でも、ドジョウは安来市では昔から親しみのある魚で、そのドジョウを川で掬う様子を表現した「どじょうすくい踊り」は、安来節を日本有数の民謡に押し上げました。

 その安来市の伝統産業が、昭和初期から約100年続いている安来織。織物を作る過程で、機織り機を使用するのは藍色に染められた糸に絣糸が一織ずつ織り込む最後の工程だけで、絵柄の下絵書きやその下絵を墨で糸に染める作業、藍糸の巻き取りなど、殆どが手作業で制作されているもので、かなり手間と時間をかけられているものです。

 安来織は、江戸時代に確立した技法を使っているので、かすれた文様が特徴の絣をもとに生み出された絵柄の織物で、横糸に絣を使用し、丁寧に藍染した糸とともに織り込んで絵柄を浮かび上がらせるという繊細な作業から作られている逸品です。島根県の伝統工芸品として認定されています。

 安来織の魅力は、横糸となる絣糸で絵柄を織った、温かみのある優しい風合いでしょう。受注してから制作するため、その方にあった優しさをイメージして織られ、特に棟方志功氏がデザインした「織姫」という絵柄は、根強い人気があるようです。

 親子三代にわたって安来織を制作している遠藤さんは、優しい気持ちで安来織を織ることを考えているそうです。商品としては着物やのれん、マフラーなど生活様式にあったものが中心で、コースターやブックカバー、さらにはバックの制作も手掛けており、安来織の認知度向上に努めています。

 最後に安来市内には、年間60万人を超える来館者がある全国でもトップクラスの「足立美術館」があります。1970年(昭和45年)に開館され、120点を数える横山大観の作品と日本庭園があり、中でもアメリカ専門誌の日本庭園ランキングで21年連続で庭園日本一となっている名園です。

 5万坪の広大な庭園を通じて、四季の美を感じ取り、「美の感動」を味わうことができます。庭園も絵画であるという信念のもと、維持管理が徹底されています。

   提供:伝統産業ドットコム

#安来市 #安来織 #安来節 #足立美術館 #どじょうすくい

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