見出し画像

わが街の伝統産業 島根県・益田市

第106回 島根県益田市 ~世界の文化人である水墨画家・雪舟が終焉の地に残した雪舟庭園の世界観を伝える雪舟焼

 島根県益田市。県西部に位置し、市内にある萩・石見空港まで東京・羽田空港から約90分ほどで訪れることができる人口が約43,000人の日本海に面した街。室町時代の名だたる水墨画家である雪舟の終焉の地でもあります。

 市内にある萬福寺と医光寺に石庭である雪舟庭園を築きました。1955年(昭和30年)にユネスコの国際会議で世界十大文化人として、東洋人としてただ一人選ばれた人物でもあります。

 その雪舟が60歳ころの1479年に萬福寺に築いた石庭は雪舟庭園と呼ばれ、萬福寺が500年以上経過した今も、無駄のない石の配りは巧みな地割と調和して侘びや寂びの美が感じられます。季節によっては紫色に咲く菖蒲(しょうぶ)や艶やかな虹色の躑躅(つつじ)が咲き、四季折々の景色を感じることができます。

 その雪舟庭園の伝統と芸術や世界観を陶芸に活かしていこうとして、1949年(昭和24年)に医光寺の麓で誕生した陶器が『雪舟焼窯元』。その雪舟焼窯元は、2006年(平成18年)3月に島根県のふるさと伝統工芸品に指定されています。

 初代・窯元は名古屋や岡山などで研究を重ね、二代目は京都や備前などで研究して、石見の郷土色を著した作品を手掛けています。主な製品として、茶器・花器・食器などがあります。内閣総理大臣・黄綬褒章や徳川夢声市民賞など、数多くの受賞歴があります。

 雪舟焼は空の雲である飛び雲やうろこ雲が多く、こだわらない心や自由な姿が表現されています。さらに作品によって窯を使い分け、雪舟焼窯元の特徴でもある登り窯は、天候や風向きによって焼き上がりに違いが出るので、同じものはできないといわれています。

 変化に富んだ焼き上がりが雪舟焼の魅力的ともいえます。島根県西部は石見地方と呼ばれ、この地域では石見焼や石州瓦が有名ですが、雪舟焼は繊細なイメージがあり、独自の雰囲気をもっていること特徴的です。

 最後に、益田市内を流れる高津川は一級河川であり、夏には鮎を釣ることを楽しみに全国から釣りファンが集まってくる清流です。その高津川の上流にあたる匹見川でつくられるワサビは、かつて「東の静岡、西の匹見」といわれたほどの名産品です。今では生産量も減少し、幻のワサビともいわれています。

   提供:伝統産業ドットコム

#益田市 #萩・石見空港 #雪舟 #雪舟焼 #高津川 #わさび #雪舟庭園
#萬福寺 #医光寺


いいなと思ったら応援しよう!