見出し画像

彼のこと〜母のフレーフレー日記〜

 皆さま、どんなお正月を過ごされましたか?

 昨夜は実家で母と夫と弟家族と楽しい宴(私だけ飲めない運転手)。
今日は箱根駅伝をテレビ応援観戦して、セールでグリーンとグレーのセーター買って、ニャンズの待つ本宅へ帰り、最大ミッションであるAndroid→iPhoneへの移行を無事に完了して、三が日が終わろうとしています。
いやもう本当に平穏無事。夢にまで見た気遣いも気配りも配慮もしなくていい泰平の日々でした。
離れて暮らす子供達の帰省は叶いませんでしたが、初詣の写真が送られてきたので、それでよしとしましょう。


 人生初の初詣に明治神宮へ詣でた息子の話。
ひとことで言えば信頼はできるけど信用のできない彼。生きづらさはあまり感じてないようだけど、生きるのが下手な彼。
 小さい頃から発想は豊かだけど、飽きっぽい。正義感は強いけど協調性に欠ける。
転校も多くて、友達も少なかった。
希望で中学受験をして、彼なりに心機一転、剣道部やコーラス部にチャレンジした。けれどもあることがきっかけで少しずつ人が離れていき、図書館で過ごして何とか6年間の中高生生活を乗り切った。
口数が少なくなって、あまり本音を言わなくなった。目標や希望も見失っていたようで、反抗したりはしないけど、取り繕って嘘をつくことが多くなり、面倒くさくなったのかダンマリを決め込むようになっていった。友人が来てゲームをしたり、深夜放送は聴いていたようだけど、家族には心を開いていなかった気がする。
大学受験に失敗して、広島での浪人生活、センター試験で奇跡的に国語が満点に近く、それのみで入学可能な大阪の芸術大学に進学した。
やっと少しだけ明るくなって、友人もできて、彼なりのそれなりの大学生生活を送っていたあの頃。少しだけ楽しそうだった気がする。
でもやっぱり就職浪人となり、大阪での職探しも上手くいかず、妹にもディスられ、暗黒の時代。
やっとゲーム会社の下請けに派遣社員で採用されて3年ほど勤めただろうか。給料安いし、ボーナスも無いけど、業務内容や会社の人たちはかなり気に入っていた様子。私も少しだけ安心した。
ところがたまたま大阪を訪ねた時に様子がおかしい。嫌な予感がした。コロナ禍で派遣切りに合ってしまい、それを私たちに言い出せずに、さらに彼は気配を消してしまった。感染症を口実に帰省しない。義父の葬儀にだけとんぼ返り。痩せてはいないし、元気そうだけど、目が濁っている。身なりにも気を使わない。先の見えない不安が彼なりにあったのだと思う。こちらも知らんぷり。LINEは既読スルー、短い返事、絵文字無し、生存確認のみ。
 そして失業保険が終わる頃、好きな分野だったのか、ゲーム会社に派遣でいくと言ってまた勤め始めた。相変わらず手取りが少ない。私たちも呆れていたけど、心のどこかで好きならそれでいいとも思っていた。でもこのまま世間一般とはズレた人生ってどうなのかな。どうして人並みじゃないんだろう。きちんとした大人にはなれないんだろうか。なんやねん。
交通費を出せば帰省はするし、義母や父に優しい声をかけてくれる。困りごとを相談すれば最もらしい答えをくれるし、頼りにはなる。けれども社会人としての安心要素がどこにもない。
だから信頼できるけど信用できないと。
 3年ほど勤めただろうか。去年の10月に息子から突然の連絡。
「ある人に手伝って欲しいと言われて、東京へ引っ越すことにした。」
「えーっ、闇バイト?!絶対騙されているよね。」
全く信用できない。けれどもちゃんといろんな安心要素を提示してくる。流れも展望も話してくれる。なんかいつもと違う。熱量が感じられる。サポートするしかない。親バカだよね。
引越手伝って、先日住む街を訪ね、新居ものぞいてきた。
信頼できる人に出会えたのだろうか。歳暮にみかんも頼んできて、やっと社会人らしさ。
つまんなそうに生きてきたように見えた彼が少しだけ前を向いていた。私も少しだけ心が弾んだとある12月の日。


 さてまだまだ安心はできません。子育てなんて終わりのない長い旅路のようで、大人になってからも心配は尽きなくて。それでも機嫌良く健やかなら嬉しくて。その繰り返し。また大どんでん返しがあるかも。でもまあ生きていれば大丈夫。世界中が敵に回っても私はあなたの味方です!全力で応援し続けるのです!!

いいなと思ったら応援しよう!