技術士二次試験対策【電磁環境問題】
本日のキーワード⇒電磁環境問題
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《電磁環境とは》
身の回りには、さまざまな電磁波が存在しており、この状態を電磁環境という。周波数スペクトル等は場所や時間によって複雑に変化している。
このような電磁環境の中で、様々な機器やシステムを利用しているため相互に発生する電磁波によって悪影響を及ぼさず正常に動作するように対策することをEMC(電磁両立性)対策という。
通信・放送などを電波(3THz以下の電磁波)を出す際には電波法に反しないように注意が必要である。電子・電気機器からも電波(妨害波、無線ノイズ)が出ており、周囲の通信システムの品質劣化や機器の誤動作の原因となったり、その機器自身の正常動作に悪影響を及ぼすこともある。相互作用の電磁環境問題を解決するためには、まずノイズを出す(エミッション:Emission)側の正体を知り、エミッションを低くすることが必要です。
さらにノイズの影響を受ける側の耐ノイズ性(イミュニティ:Immunity)を知り、イミュニティを高くすることも必要である。
《電磁環境問題の具体例》
・近くで無線送信機が使用された時に電動車椅子が暴走した
・テレビ放送の電波の影響で乳児モニタの警報が解除され、乳児が死亡
・CNCマシンからのノイズにより架空移動式クレーンが意図せずに動作した
・クレーンが電磁干渉に伴って吊り荷を切り離し、作業員が圧死した
・2件の転覆事故がVHF無線の自動操舵装置への干渉によって引き起こされた
と主張されている。
このように、本格的なIT時代を迎えた現在,増え続ける電磁波は,機器の誤作動や混信、情報漏洩など,様々な障害を引き起こし,新たな環境問題となっている。
《電磁シールドと磁気シールド》
電波と磁気とは性質が違うため,シールド方法が異なる。
電波を遮蔽する「電磁シールド」は,銅などの導電性の材料で周囲を取り囲み,その表面で電波を反射させ,電波の侵入や漏洩を防止する。
建物全体をシールドするには,壁,床,天井にシールド層を造り扉や窓にはシールド扉やシールドガラスを使用する。
一方,「磁気シールド」は,遮蔽したい空間を磁気の通りやすい鉄系の材料で密閉し,気をバイパスさせて侵入を防ぐ。磁気の影響を受けやすいEB(電子ビーム)装置を使用する半導体工場や,磁気に敏感である一方,自らも強力な磁気を発生するMRI装置を使用する病院などでニーズが増加している。
《ノイズ対策の4要素》
多様化する電磁環境に対して基本的な4要素を理解しておくことは重要である。
以下に4要素の特徴を示す。
要素1. シールド
安定電位で囲うことによって周囲にノイズをまき散らさない、または周囲から影響を与えられないようにする。あるいは電磁吸収シートなど使用したシールドの場合、熱変換して余計なエネルギーを小さくする。
例)EMC対策部品例:金属板、電波吸収シート、ガスケット、導電テープ等
要素2. 反射
反射してノイズを通さないことによって不要な個所にエネルギーを伝えない、または周囲からの余計なエネルギーを内部に入れない
例)EMC対策部品例:インダクタ、LCフィルタ等
要素3. 吸収
余計なエネルギーを熱変換し吸収することでノイズのレベルを下げる、または周囲からの余計なエネルギーを吸収することで内部を保護する。
例)EMC対策部品例:抵抗、フェライトビーズ、電波吸収シート等
要素4. バイパス
余計なエネルギーを分離することによって不要な個所にエネルギーを伝えない、または周囲からの余計なエネルギーを分離することで内部に入れない。
例)EMC対策部品例:コンデンサ、バリスタ、ダイオード、LCフィルタなど)
《今後の展望》
近年,事業者用PHSや無線LANの利用によるオフィス内のコードレス化が進んでいる。無線通信の場合,電波を上手に制御しないと,混信を起こしたり,外部に電波が漏れて情報が漏洩するなどの障害が発生する可能性がある。一方でテレビ電波などの必要な電波は遮断したくないというニーズがあるため,特定の電波だけを選択してシールドできる技術が登場している。
近年,低コストで十分な効果を発揮し,既存のガラスなどに容易に貼付けできるフィルムタイプが主力で,リニューアルにも対応することができる。
さらにビルを丸ごと躯体レベルで電磁シールドできるコンクリートも誕生している。コンクリート自体にシールド効果を持たせることができるため,躯体の完成を待って行っていたシールド工事が不要となり,大幅な工期短縮とコスト低減が図れる。
磁気シールドについても開放タイプの新しい技術が開発されている。周囲をシールドで覆うこれまでの密閉型に対し,帯状のシールド材を隙間を空けて配列することにより,少ない材料で従来と同等以上の効果を得られる画期的な方法である。何より開放感を得られることは,病院などで密閉感を改善して患者に安心感を与えたり,鉄道の防音壁に組みこんで透視性の向上や周辺への日照遮断の影響を低減するなどの効果が得られる。
参考、引用先↓
https://www.kajima.co.jp/news/digest/jul_2002/techno/index-j.htm
https://www.emc-ohtama.jp/emc/doc/emc-introduction.pdf
https://edn.itmedia.co.jp/edn/articles/1208/14/news045.html
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