技術士二次試験対策【直流送電】
本日のキーワード⇒直流送電の情報まとめ
【概 要】
直流設備の最大のメリットは,直流を介することによって、交流系統の非同期連系が可能である点である。交流設備は、周波数の異なる交流送電網をそのまま接続することはできない。直流送電とは、通常の交流ではなく直流で電気を送る技術である。通常の送電は、扱いが容易であることから交流が用いられる。電気を遠方へ送電するには、損失を少なくするため電圧を上げて送電するが、交流では昇圧や降圧がトランスにより容易に変化させることが出来る。
一方、直流は変圧が容易ではないため、通常の電力ネットワークには使用されないが、以下用途では交流よりも直流が適している場合がある。
《直流送電の用途》
① 海底または地中ケーブル送電
② 長距離送電
③ 連系増強で短絡容量を増やしたくない場合
④ 連系潮流を正確に制御したい場合(迂回潮流の回 避など)
⑤ 異なる周波数間や非同期系統間の連系
《直流送電の特徴》
① 高速な有効電力制御が可能である。
② 安定度の問題がないため長距離送電であっても送電線の熱容量限界ま
での送電が可能である。
③ 有効電力は送電するが,無効電力の伝達がないため,交流系の短絡故
障時に流れ込む電流考慮しなくて良い。
《直流送電の種類》
自励式と他励式があるそれぞれの特徴を以下に示す
他励式
サイリスタを用いた電流形変換器が採用されている。
他励式では一般的に油絶縁のケーブルを使用するため、コストや環境面から適用の拡大に課題があった。
自励式
IGBTなどのオンオフデバイスを用いている。
デバイスを用いて電圧形の変換器が採用されている。
自励式は、変換器を多重化することで発生高調波を低減できるため,他励式と比較的して 高調波フィルタを小さくできる。
他励式で必要だった潮流方向による電圧反転が自励式では不要であるため、高電圧の採用が可能である。
《直流送電の構成》
順変換装置
送電端側において交流―直流変換する装置。整流器、変圧器、制御装置および保護装置を含む。
順変換装置側直流リアクトル
直流電流の平滑用,高調波抑制用等に用いる。
直流線路
架空線またはケーブル
逆変換装置側直流リアクトル
順変換装置側と同じ
逆変換装置
送電端側から上記を通って送られた直流を交流に変換する装置で,順変換装置とほぼ同様の構成であり,使用方法が異なる。
無効電力供給装置
逆変換装置に必要な無効電力を供給する電力コンデンサ,または同期調相機が受電端に必要である。
《今後の展望》
自励式HVDCには他励式にはない優れた機能と特徴があり、近年では世界のHVDCに関する研究では自励式の選択が増加している。また、自励式 HVDC の送電容量は年々増大している。再生可能エネルギーとの連携等今後の発展が期待される。
参考・引用先
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/32/12/32_869/_pdf/-char/en
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/chokyori_kaitei/pdf/001_05_00.pdf
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