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技術士二次『インバータのサージ対策』

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インバータを使用しモーターを駆動させるとインバーター素子のスイッチングによりサージ電圧が発生し出力電圧に加わりモーター端子に高い電圧がかかる。

この電圧は、モーターの絶縁性能に影響し故障に繋がる。
そのため、各種方法により、サージ電圧に対して機器故障に対する対策が必要となる。

【サージ発生メカニズム】

 通常インバータは、商用電源を整流子、商用電源の√2倍となる。出力電圧はの波高値はこの直流電圧程度である。ここで、インバータとモーター間でインダクタンスLや容量性リアクタンスのが存在し、インバータのスイッチングにより電圧が変化しLC共振が起こることでサージ電圧が発生する。

【インバータサージの低減対策】

 スイッチング時の出力電圧変化幅ΔV、または出力電圧のdv/dtを小さくすることがサージ低減の手段となる。対策方法として、インバータ自身の対策、インバータ・モータ間に設置するフィルタなどによる抑制技術を以下に記載する。

引用先⇒https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal/126/7/126_7_435/_pdf

《インバータ自身での対策技術》

 (1)出力電圧の多レベル化インバータの出力電圧のレベル数を多くすれば
スイッチング時のΔVが小さくなる。レベル数を多くするほど正弦波電圧に
近づけることができる。しかし、IGBTの個数が多くなるのでデバイスの損
失が増加する。また、コスト高となる。このため、用インバータに適用さ
れている。
 (2)電流形インバータ
 直流回路の直流電源およびフィルタコンデンサを電圧源とし、その電圧源を変換するものが電圧形インバータである。また、インバータのスイッチングによりインバータの出力電流が決まり,インバータの出力電圧はモータの状態で決まる電流形インバータと呼ばれるタイプがある。
直流回路にはコンデンサではなくフィルタリアクトルLFが接続され,交流側にフィルタコンデンサCFが接続される。LFに流れる電流をスイッチングすることで直流電流を交流に変換する。インバータがスイッチングしたときに出力交流電流はCFを介して変化するので,CFがフィルタ的な役割をし,モータ電流のスイッチング時変化率を低減する。
将来は電流形がより普及する可能性がある。

(3)ソフトスイッチング
 電流を素子の能力で強引にオフするスイッチング方式で,このような方式をハードスイッチングと呼ぶ。これに対してインバータ主回路に補助の共振回路を付加し,スイッチング時の出力電流や電圧の変化率を低減するソフトスイッチングと呼ぶ方式がある。
スイッチングするときに先ず共振回路でVCEあるいはICのいずれかを変化させ,VCEあるいはICが0になったタイミングで素子をオンオフする。スイッチング損失をほぼ0にすることを目的にした方式であるが,dv/dtを低減する効果もある。
正確なタイミング制御が必要となるため普及するには至っていない。しかし,補助回路およびタイミング制御の簡単化が将来実現できる可能性もあり,期待される技術である。

【フィルタによるサージ抑制技術】

 フィルタ類にはIGBTなどの能動部品と受動部品を組み合わせたものも提案されているが能動部品用の電源供給が必要になるのであまり使用されない。

(1)出力リアクトル
 リアクトルのLとモータの浮遊容量のCによりフィルタ効果が得られ,モータ端子電圧のdv/dtが低下し,サージも低減する。

(2)LCR
フィルタよく知られている構成のLCRフィルタである。(1)の出力リアクトルよりもモータパラメータ依存性を低減できる。LCが大きくなるほどフィルタ効果も大きくなるが,高コストかつサイズ大となるので,サージ低減目的の場合には最低限のLC値で構成する。
(3)LR並列回路
ケーブルと直列にある程度の高抵抗Rだけを設置しても,モータの浮遊容量CによりCRフィルタとして作用し,端子電圧のdv/dtおよびサージが低減する。しかし,Rだけでは電圧降下と損失が大きくなるため,Rと並列にLを接続し,高周波成分だけをRで減衰させる構成である。

(4)ターミネータ
単なるCR直列回路であり,モータ側に並列設置する。モータ側のインピーダンスを配線
ケーブルのサージインピーダンスと同程度以下に低減し,電圧反射を抑制する原理である。
単なるRだけでも反射抑制が可能であるが,全電圧が印加されるRの損失が大きくなり、
大容量のRが必要になる。そのためにRにCを直列接続し,Rへの電圧印加平均値を下げ,小容量のRで実現できるようにする。た
ターミネータは主回路への並列設置機器なので,モータ電流が流れるような部品がなく,モータのインピーダンスが大きければモータ容量への依存性が小さい。

参考引用書籍・サイト⇒
電気設備ハンドブック
https://www.jema-net.or.jp/jema/data/04-400V.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal/126/7/126_7_435/_pdf


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