みんなに知って欲しい歯科の話7(被せ物をする前に)
大きくなった虫歯により、神経を抜き、根の治療がキチンと終わる所まで来ました。
ここから、土台を立てて歯の形に戻して行こうかと言う所ですが、ここでまだ考えなきゃならん事があるのです。
『その歯に被せ物を被せて、長持ちするの?』
さて、建物には建築基準法なるものがありますね。
実は、歯も硬い骨に植立(植っている)支柱の様なものです。
やたらめったらに不自然な異常に長い上物を入れると、バランスが悪く基礎の部分(歯の根)に負担がかかりそうですよね。
歯の建築基準はどんなのがあるの?(基本編)
・歯の根がグラグラしていない
・根の長さがきちんとある
・健康な歯の部分が、歯茎より上にある
一つずつ解説しましょう。
『歯の根がグラグラしていないか?』という項目は歯周病に起因するものです。歯の根の部分をきちんと周りの骨が支えているか?という事です。
もし仮に、舌で触っただけでグラグラしてたり、痛みがあったら被せて歯の形になっても機能しなさそうですよね?
例えるなら、柔らかい土壌に対して高層マンションを建てるような物です。
次に『根の長さがキチンとあるか』という事ですが、仮に被せ物が9mmで支える根の長さが1mmだとしたらなんだか不安ですよね。
9mmの長さの被せ物ならば、9mm以上の根の長さがあれば非常に安心ですよね。
例えるなら、ポールを地面に埋めずに立てるのと、全長の半分を埋めて立てるのとどちらが頑丈ですか?と考えるとわかりやすいかも知れません。
最後に『健康な歯の部分が歯茎より上にある』という状態ですがちょっと意味が分かりづらいと思います。
専門用語で帯環効果と言います。
被せ物を、人工的に作った土台部分だけで無く、歯の根の部分まで被せる事で
被せ物にかかる力を土台だけで無く根の部分も一体にして分散させる為に必要な構造と言いましょうか。
被せ物→土台→歯の根 という力のかかり方で無く。
(被せ物土台歯の根)一気にかかる事で局所に負担がかかる事を防ぐ目的があるのです。
めっちゃ難しいですよね。
ここまできて言うのはなんですが、これが達成出来てなくても技術的に被せ物をする事自体は出来ます。しかし、長持ちする可能性が低いのです‼︎(救済するテクニックもあるので後日)
わかって下さい。
歯科治療は、被せ物が入ったらおしまいじゃ無いんです‼︎スタートです。そのあとどれだけ長持ちしたか?快適だったか?という事が大切なのです。
だからわかってください。我々歯科医療従事者は、時に患者さん自身が見てもそんなに痛くも悪そうでも無い歯を指さして、『治療が必要ですよ』とか『残念ながら抜歯です』とかシビアな事を言います。
我々だって削りたく無いし、抜きたく無い‼︎
削ったら徹底的に長持ちさせたいし、抜いたら快適に補ってあげたい‼︎
だから、何も無くても歯科受診をして、治療が必要だったら徹底的にしてあげて欲しい。
歯ブラシ1つ、磨き方1つで明らかに良くなる部分もあるし、キチンと治せば120%を目指す事ができるんです。
今定期検診や、しばらく歯科に行ってない。
治療途中のまま放置した、あなた今日明日中に予約を取って下さい。きっと先生は怒らないです。非があるなら一言謝ってあげればいいと思います。
それも気まずければ新しい所に行きましょう。
介入が早いほど安くつきます。
熱くなってしまいました。
今日はこの辺にしましょう。
この世から、歯に関する憂いが無くなりますように。