わたし、パニック障害です。
いつからだろう。
会社に行くのがこんなに難しいことになったのは。
あの子は、ある朝突然わたしの中にやってきた。
あの子はわたしの心臓をドキドキさせて、手がガクガク震えてきたんだ。
わたしの仕事は歯科医院勤務。
そう手がガクガク震えたら、そりゃあ仕事にならないわけで。
それから一週間、わたしはあの子にどんどん蝕まれていったんだ。
手が震える恐怖。その恐怖と緊張で、ますます心臓の鼓動は高鳴る。結果、また手がガクガク震えるってゆう悪魔のサイクル。
一週間が一ヶ月に感じられるくらいの疲労感。
これから先、仕事ができなくなるんじゃないかって本気で悩んだ。
疲れ果てた1週間後。わたしはクリニックの門を叩いた。
手が震えなくなる薬を処方してもらって、なんとか仕事ができるまでに回復した。
けれど、わたしの中のあの子が消えることはなかった。
手は震えなくなったけれど、心の中はずっと震えていた。
西野カナじゃあるまいしって?でもこれ本当の話。
それからわたしはあの薬がないと仕事に行けなくなった。
月日は経って、わたしの中のあの子の存在は薄れていった。
仕事もちゃんと出来るし、あの薬もたまに忘れるくらい、いつものわたしに戻れるときもある。
けれど、またあの子は現れる。
わたしの中のあの子は、週明け会社に行くことをどうしようもなく不安な気持ちにさせて、朝の満員電車でわたしの心臓をドキドキさせる。
人前で話すのも過剰に緊張するし、
息もできないくらい、わたしの胸を締め付ける。
わたしの中にいるあの子の名前、それはたぶんパニック障害。
一度あらわれたら、なかなかわたしを解放してはくれない。
あの子との上手な付き合い方を、わたしはまだ見つけられない。