アイヌ資料館紹介1:弟子屈町屈斜路コタンアイヌ民族資料館にいってきました
1 行く価値のある資料館
屈斜路のほとりにある資料館です。1982(昭和57)年6月6日に開館しました。令和2年6月4日付けで、「アイヌ民俗資料館」から「アイヌ民族資料館」に名称が変更となりました。建物がとても変わっています。釧路周辺を観光した方なら、「どこかで見た建物あなあ」と思われると思います。
これは建築家の毛綱 毅曠(もづな きこう)氏の設計になるもので、他に釧路市美術館・985 年に、釧路市湿原展望台も設計しています。釧路市立博物館と釧路市湿原展望台の設計で日本建築学会賞を受賞しました。彼は釧路市出身です。建築への扶養かは賛否両論あれど、湖のほとりの素晴らしい緩急です。
2 自然と一体化した展示
建物に加えて素晴らしいのは、 屋外にも展示が多くあることです。 屈斜路湖のほとりの景色素晴らしいのです。筆者が訪れた時は10月中頃で白鳥がたくさん飛来していました。屋外にはイナウや 熊の檻が作られており、祭りの様子を思い浮かべることができます。
内部では展示に加え アイヌの衣装を試着できるコーナーがあります。 決して広い 資料館とは言えませんが 北海道の自然も紹介されています。
注:イナウについて: イナウは人間からカムイへの贈り物です。祭りのたびに作られます。主に柳の木ですが、地域によって違う木も使用します。イナウを削るのは男性で、女性が作ることはありません。儀式のときに欠かせない大切な祭具です。
3 「キタキツネの霊送り」の貴重な映像
さらに 是非見ていただきたいのは階段を上がったところにあるモニターで「チロンニプ カムイカムイ イオマンテ」( キツネの神様を送る行事)の様子が見られることです。
この映画は、1986年に撮影された「キタキツネの霊送り」の記録映像を編集して生み出された縮小版の作品で、当時アイヌ民族資料館の館長をされていた故・弟子豊治氏も祭主として参加しておりました。
アイヌの方々の儀礼の様子を詳細に記録したものとなっておりますのでお越しの際は、ぜひご覧ください。館のHPにありますように、
キタキツネの解体シーンが記録されています「儀礼の意図を尊重し、当時の様子をそのまま上映しております」とあります。 1986年の映像 なので、 今なら撮影や上映ができないと思われる場面もありますが 、全体を上映しているのは立派だと思いました。
祭り が最初から最後まで記録されており 、非常に貴重な映像です。萱野茂氏が。監修しています。
この映像があることは 、同時期に釧路に滞在した友人がもたらしてくれた情報で先に知っていました 。その方は特にアイヌに興味があるということはなく、たまたま こちらの館で館の方にすすめられて映像を見たそうです。
アイヌに対する理解が深まったと言ってくれたので、 とても嬉しかったです。映像の持つ力です。
【著者と所属】似内惠子 日本伝承文化保存会(無断転載を禁じます)
【謝辞】この記事の制作にあたり、ご案内いただいきました藤田印刷(株)の藤田卓也社長に御礼を申し上げます。
【追記】こちらでも毛綱 毅曠(もづな きこう)氏の設計による建築が紹介されています。北海道に建築は多いようで、人い土地が居きる建築であるようです。
【参考】
「カムイの世界」新潮社(イナウ解説)
弟子屈町HP
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