WAIS・WISC結果から特性の対処を考える〜ハッタツ民の方舟32回
ウェクスラー式知能検査(WAIS・WISC)の結果から、自分の特性にどう対処するかを考えます。
得点に影響する恐れがありますので、WAIS・WISCをこれから受けるご予定の方は参加をご遠慮ください。
検査の設問については秘密厳守ですので、発言を禁止します。
また、ご自分や他者の具体的な点数を口にすることはできるだけ控え
「知覚推理が強い(弱い)」
「ワーキングメモリが他の項目に比べて強い(弱い)」
のような表現をお願いします。
検査の結果はあくまで自己理解を深めるための材料であり、他者を測るための道具ではありません。
発言に問題があると思われた場合、制止する場合があります。指示に従っていただけない場合は、対処させていただくことがあります。
心理検査と心理テスト
心理検査は心理士が行う物ですが、診断ではありません(診断は医師の領域であり、検査の結果は診断の参考にされます)。
心理テストに定義/基準はなく、誰でも制作・実施することができます。診断めいた結果が出ることもありますが、正確性は一切保証されません。
ウェクスラー式知能検査とは
一般的なIQに加え、対象者の知的発達における得意/不得意を明らかにすることを目的とした知能検査で、幼児版のWPPSI、児童版のWISC、成人版のWAISの三種類があります。今日は主としてWAISを中心に話をします。
1.言語理解(VCI)
A.言語理解とは?
言葉の意味を理解したり、言葉で説明する力、言語による推理や思考の力
B.言語理解が高い/低いとどうなる?
低い→言われたことが理解しづらい(できない)
高い→言われたことに囚われてしまう
C.実際の困りごと
低い→指示語の理解が難しいなど
高い→言語で表現されていることと、非言語コミュニケーションが矛盾していると混乱する(非言語で伝えられるメッセージを無視する)
D.どう対処しているか/するべきか
2.知覚推理(PRI)
A.知覚推理とは?
視覚的な情報を処理する力
B.知覚推理が高い/低いとどうなる?
低い→視覚的な情報が複雑な時に処理が難しい
高い→視覚的な情報に気を取られる
C.実際の困りごと
低い→捜し物が苦手、迷子になりやすい
高い→木を見て森を見ずになりやすい
D.どう対処しているか/するべきか
3.ワーキングメモリ(WMI)
A.ワーキングメモリとは?
短期記憶。視聴覚情報を記憶する力、PCでいうメモリに近い
B.ワーキングメモリが高い/低いとどうなる?
低い→一度に処理できる情報が限られる
高い→複数のことを同時にやろうとしがち
C.実際の困りごと
低い→忘れ物が多い、多人数の会話が苦手
高い→マルチタスクをしようとして結局失敗する
D.どう対処しているか/するべきか
4.処理速度(PSI)
A.処理速度とは?
脳が反応する速度、頭と体を動かす力、目と頭と手を協調させる能力
B.処理速度が高い/低いとどうなる?
低い→単純作業などの速度が遅い
高い→単純作業が得意
C.実際の困りごと
低い→単純作業が苦手なので能力を低く見積もられがち
高い→単純作業が得意だが好きとは限らないので本人は苦しいことも
D.どう対処しているか/するべきか
※実際は処理速度が高くてもDCD(発達性協調運動障害)に引っ張られたり、ASDのこだわりで単純作業に集中できなかったりする
「困りごとは特定の能力の低さよりも、能力の凸凹(ディスクレパンシー)から発生しがち」
4項目自体は凸凹が少なくとも、下位項目の凸凹が激しいケース
「ここが高い」と「ここが低い」の組み合わせで困りごとが発生するケース
実際のテストでは点数で測れない要素を心理士さんは観察している