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#6 けっせん

○ 6 - 1     管嶋自宅 洗面所 午前

管嶋、鏡に向かって髪を整える。

○ 6 – 2     玄関 午前

管嶋、こわばった顔で靴を履く。
妻(早希)が起きて来る。
驚き振り返り、笑顔で答える。
管嶋 「ごめん、起こした?」
早希 「ううん」
管嶋 「余計な仕事ができてね」
早希 「営業?」
管嶋 「いや。部下の不正を精査してくる」

○ 6 – 3     探偵チーム 新アジト 昼前

居間でTVゲームをしている冬吾。
起きぬけのライチがその様子を見ている。
ライチ 「ずっとやってんの?」
冬吾 「どうせ寝れないし」
冬吾 「遠足の前も全然寝れなかった」
ライチ 「楽しみすぎて?」
冬吾 「いや、怖くて」
ライチが笑い、水を飲む。
冬吾 「そういえば」
ライチ 「ん?」
冬吾 「次の案件って決まってるの?」
ライチ 「これ終わったら、解散かな」
冬吾 「・・・」
ライチ 「潮時でしょ」
冬吾 「みんなには?」
ライチ 「まだ」
ライチが部屋に戻ろうとする。
冬吾 「ライチは、こういうこと続けるの?」
ライチ 「続けられたら良いね」
冬吾 「他に夢とかなかった?」
ライチ 「夢?」笑う
冬吾 「職業」
ライチ 「ケーキ屋さんとか? 小さい頃ね」
冬吾 「へえ」
ライチ 「何?」
冬吾 「良いね」
冬吾がゲームで失敗する。
ライチ 「あらら」

○ 6 - 4     管嶋別邸 駐車場 昼

黒塗りの車が白鬼をピックアップする。

○ 6 - 5     管嶋別邸 外 夕方

駐車場から少し離れたところにバン。
車中には冬吾、ライチ、田中、日下(運転)。
さらに二人の男。肘木(40・男)と根地(30・男)。

冬吾、深呼吸をし、黒い鬼のお面をかぶる。

○ 6 – 6     黒塗りの車 車内  夕方

後部座席には白鬼。
涼しげ(に見える)な表情。

○ 6 - 7     管嶋別邸 門 夕方

立派な門(ドア)の前に立つ冬吾(黒鬼のお面をしている)とライチ。
(インターフォンがないと仮定して)
ライチがドアをガチャガチャやるが開かない。
ライチ、深く息を吸い大声を出す。
ライチ 「白鬼のヘルプで来ました、佐藤と言います!!」

○ 6 - 8     大楼郭 夕方

閉店中の中華料理店。
7人の男が各席に座っている。
(チンピラ風、サラリーマン風、など)
武松と李が入店すると、男たちが立ち上がり挨拶する。店長が武松を出迎える。
武松 「いつもすまんね」
店長 「いえ。大丈夫よー」
武松 「みんな、よろしくね」

○ 6 - 9     管嶋別邸 PCルーム 夕方

ナマムギとニヴァ(23・女性)がPCで監視カメラに映る冬吾とライチを見ている。
ライチ(声) 「またダウンしてますよね? 管嶋さんマジギレしてますよー!」かすかに聞こえる
ライチ、タブレットを手に持っている。
ナマムギ 「聞いてます?」
ニヴァ 「いや。なにこいつ」
ナマムギ、黒鬼をじっと見る。

ライチ(声) 「あ。黒鬼も一緒ですー!」
モニターに映るライチ。暑そうに襟元をぱたつかせる。焦っている様子で。
ナマムギ 「黒鬼!?」
ニヴァ 「知ってんの?」
ナマムギ 「白鬼さんの相棒じゃないですか多分」
ニヴァ 「へー」
ナマムギ 「どうします?」うずうず
ニヴァ 「・・・」
画面では、ライチがイライラした様子でドアをガチャガチャする。

○ 6 - 10     管嶋別邸 PCルーム 夕方

冬吾(黒鬼姿)とライチが部屋に招かれる。
ライチ 「皆さんだけですか?」
ナマムギ 「えっと、今一人トイレに・・・」
ライチ 「三人ですか?」
ナマムギ 「ですです」

○ 6 - 11     管嶋別邸 監視カメラモニタールーム 夕方

ヤクザ風の男(野間川内)がPCルームの様子をモニタしながら電話をかけている。
管嶋に電話をかけるが、出ない。
※ 壁には冬吾(顔は半分隠れている)と李が映った写真も。

○ 6 - 12     大楼郭 夕方

高級感のある中華料理店。
管嶋と白鬼が入店。
広い店内。
席には帽子を深く被った李が一人座っている。
管嶋と白鬼、李の向かいに着席。
李 「よう」
白鬼 「・・・」
李 「白鬼ってさあ、ハッキングとかけてんの? ハッキ→ハッキング的な」
白鬼 「はめられましたね」ため息
李 「正解?」
管嶋 「君は誰に雇われてるの? ヤクザ?」
李の後方から、武松+2人の屈強な男(井戸川と狭山)がやってくる。(あるいは別席にいて振り返る)
各席で食事をしていたチンピラ風の男たち7人が立ち上がる。
武松 「一緒に来てもらって良いかな」
管嶋 「・・・」
次の瞬間、強面の男のうち3名が、ほかの男4名を急襲、気絶させる。(一部、ナイフを突きつけて動きを封じるだけでもOK)
(この3名は天求会傘下のサダ + サダに買収された二人)
(この時、狭山が懐に手を入れるが、井戸川がそれを制する)

そして、厨房の方(違う場所でも?)から黒服の男4人が現れる。
序列順にミタライ、イタガキ、キシノ、ノムラ

武松、井戸川、狭山、李は囲まれる形に。
武松 「こらこら」
店長が武松に向かって手を合わせる。
武松 「誰? この人たち」
管嶋 「知らない方がいいですよ」
武松、管嶋を無視し白鬼に問いかける。
武松 「こいつ捨てて俺んとこ来ない?」
管嶋 「行くわけないでしょ」
武松 「こいつつまらんっしょ?」
管嶋、静かに憤る。

管嶋 「こちら、天求会の方々なんですよ」
武松 「知ってるよ。だから?」軽い感じで
管嶋がひるむ。
武松 「白鬼くん、これ一人で作ったの?」
白鬼 「人違いですよ」
武松 「またまた」
ミタライ 「で、どちら様で?」 
白鬼 「多分ですけど、警察じゃないですか?」
驚く管嶋と黒服たち。
井戸川がため息をつき、警察手帳を出す。
井戸川 「署まで同行ください」

○ 6 - 13     管嶋別邸 PCルーム 夕方

冬吾ライチとエンジニアたち。
黒鬼冬吾がPCを触っている。
ナマムギは黒鬼の手腕をじっと観察している。
ニヴァがPCでコードを見ている。
ヤドクはタブレットを手に取り確認。
(エアコンが効いおらず暑い?)
ヤドク 「お、ギャラリーなおった」
ナマムギ 「今のどうやったんですか?」黒鬼に興味津々
ライチ 「普段はどんな業務を?」
ナマムギ 「僕らは、主にデバッグと、雑多なクラックですね。今はもっぱら復旧作業ですけど。こんな時に限って出かけてるんです、白鬼さんはもう」
ライチ 「だから黒鬼が来たんです」
冬吾 「オリジナルのコードは?」
ナマムギ 「白鬼マシンにあります」
冬吾 「別室ですか?」
ナマムギ 「はい。あ、でも、僕たちは入れないんです」
ライチ 「白鬼の許可は取ってますから」

ヤドク 「その仮面は?」怪訝そうに指差す
冬吾 「ちょっと、訳が、ありまして」
ライチ 「理由は察してください」
ヤドクがスマホを取り出す。
ライチ 「どうしました?」
ヤドク 「一応、報告を」
ライチ 「大事ですね、ホウレンソウ」
ヤドクが管嶋の応答を待つ。
ライチ 「入れませんかね?」
ナマムギ 「鍵かかってて無理でしたから無理ですね。っていうか、ソースコード見る必要ありますっけ?」
考えるライチ。
ライチ 「この中に裏切り者がいます」
固まる面々。
ライチ 「・・・と、白鬼が言っています」
ナマムギ 「え・・・?」
固まるエンジニアたち。
ライチ 「私たちはその捜査に来ました」
冬吾 「バックドアが仕込まれてます」
ナマムギ 「誰かがやったってことですか?」
ライチ 「はい、少なくとも彼らはそう思ってます」
ヤドクが舌打ちする。
ナマムギ 「ないです。僕らアクセスもできませんから」
冬吾 「直接いじったかもしれません」
ニヴァ 「いや、無理っつったでしょ」
場が気まずくなる。
ナマムギ 「勘違いだと思います」
ライチ 「はい。それを今から確かめます。白鬼曰く、一連のハッキングには、皆さんのうちどなたかが絡んでいると。そこで彼は、自分が留守の間、犯人が怪しい動きをするのではないかと考えたわけです。・・・これ、監視カメラですよね?」
ナマムギ 「え?」驚く(初耳)
ライチ、レンズが埋め込まれたオブジェ(カメラを見ている相手)に向かって話しかける。
ライチ 「確認させていただけますか?」

○ 6 - 14     管嶋別邸 監視カメラモニタールーム 夕方

野間川内、ライチに話しかけられ驚く。
モニターには手を振るライチの姿が映る。

○ 6 - 15     管嶋別邸 PCルーム 夕方

ライチ 「というわけです」
不安、不満そうなプログラマーたち。
ライチ 「私は、白鬼の考えすぎだと思ってます」小声で。
プログラマーらが意外そうな表情。
ライチ 「彼は疑い深いですから。ね」冬吾の方を向く
冬吾が深く頷く。
ナマムギ 「そこは同感です」笑う
ライチ 「なので、まあゆっくり待っててください」
冬吾とライチが部屋を出て行く。
ライチ 「あ! それ、差し入れです」
アイス、アイスコーヒー etc..

○ 6 - 16     管嶋別邸 監視カメラモニタールーム 夕方

ライチ、冬吾、野間川内が監視カメラの映像を早送りで見ている。
ライチ 「何か気づいたことは?」
野間川内 「どいつもカタカタやってるだけだからな」
野間川内はアイスを食べている。
サブモニターにはPCルームと白鬼ルームの様子が映っている。
PCルームではナマムギがアイス(青いのがベスト)を食べている。ニヴァがコーヒーを手に取る。ニヴァとヤドク、時々喋りながらカメラを見ている。

○ 6 - 17     大楼郭 中華料理店 夕方

井戸川 「署で話聞かせてくれや」
白鬼 「だから人違いです」
井戸川 「嘘ついてもイイ事ねえぞ」
白鬼 「証拠がないのに逮捕するんですか?」
武松 「誰が証拠ねえつった?」

○ 6 - 18     管嶋別邸 監視カメラモニタールーム 夕方

野間川内が眠りにつく。
ライチが肩をつつくが、反応はない。
ライチが野間川内の体を手際よく拘束。さらに鍵を探す。
冬吾はPCルームの様子を確認。
(冬吾、鬼の仮面を外す)
プログラマーたち三人とも椅子に座ったまま動かない。
冬吾、白鬼ルームの監視カメラ映像(録画)で白鬼がキーボードを叩いている姿を凝視、次にスマホで動画を撮る。(pass攻略の手がかりにするため)
ライチ、鍵の束を手にしている。

○ 6 - 19     管嶋別邸 廊下 白鬼部屋の前 夕方

白鬼ルームのドアの前。
ライチ、鍵を次々と試すが開かない。

○ 6 - 20     管嶋別邸 PCルーム 夕方

椅子に座り寝ているナマムギとニヴァ。
※ヤドクはイヤホンをしゲーム中。
ライチ達の気配に気づき、ゲームをやめるヤドク。ナマムギとニヴァが寝ていることに気づく。
ヤドク 「おい」ニヴァを揺するが起きない。
床に落ちている食べかけのアイスを見て睡眠薬が盛られたことに気づく。
冬吾がやって来てヤドクにスタンガンを押し当てる。
冬吾 「ごめん!」
倒れ、呻くヤドク。

PCに映る玄関の監視カメラ映像。
ライチが内側から鍵を開け、田中を招き入れている。

○ 6 - 21     管嶋別邸 廊下 白鬼ルームの前

田中がドアをピッキングで開錠。
冬吾とライチが白鬼の部屋に入っていく。

○ 6 - 22     大楼郭 中華料理店 夕方

動揺する白鬼と管嶋。
管嶋 「おい」
白鬼 「ハッタリです」
管嶋、ミタライの方を見る。
ミタライ 「謂れのない捜査は困りますよ。先生のご機嫌を損ねるので」
井戸川 「承知してますよ」
管嶋 「・・・お前の片割れ、今どこにいる?」李に問う
李 「さあ」
白鬼、机の下でこっそりスマホを弄る。
管嶋別邸のメインPCにアクセス。
〈 DATA ERASURE 〉
データ消去中の表示。
武松 「ジタバタすんな」
李が白鬼の様子に気づく。
李 「おい!」
狭山 「手ェ挙げろ!」
狭山が叫んで拳銃を白鬼に向ける。
白鬼が両手を挙げる。手にはスマホ。
狭山 「置け」
白鬼、ゆっくりテーブルにスマホを置く。
そして、冷静にスマホ画面を見つめる。
まもなく消去が完了する模様。

〈 CANCELED 〉
〈 アクセスできません 〉

突然、データ消去がキャンセルされる。
驚き青ざめる白鬼。
管嶋や黒服らにも動揺が伝わる。
ノムラがケータイを取り出す。
井戸川 「おい」
ノムラ、井戸川を睨み電話をかける。
李や武松サイドにも緊張が走る。

○ 6 - 23     管嶋別邸 白鬼部屋

大きなマシンのある部屋 。
冬吾が手袋をして白鬼PCに向かっている。
そばにいるライチはイヤホンをしている。
冬吾、白鬼のスイッチングHUBにPCを接続。
続いて、白鬼PC(の裏側)にUSBメモリを接続し、USB内の別OSから起動。
冬吾 「データを転送する」
ライチ 「いけそう?」
冬吾 「たぶん」
起動した別OSから、冬吾PCへのフォルダコピーを開始する。
コピーが始まり、% が表示される。
緊張で汗をかく冬吾。
二人ともあめを舐めている。
冬吾 「ぶどう?」
ライチ 「メロンだね」
% が少しづつ増えていく。


○ 6 - 24     管嶋別邸 PCルーム 夕方

ヤドクのスマホに着信。[ノムラさん]
ヤドクは拘束されていて身動きが取れない。
ヤドク、ナマムギとニヴァに向けて声を出す。
ニヴァが首を動かすが、起きない。
(田中が拘束&着信を拒否?)

○ 6 - 25     大楼郭 中華料理店 夕方

------電話に応答はない。
明らかに動揺する白鬼。
武松 「どうする?」
皆がミタライに注目する。
ミタライ 「私たちはただの客です。誰ですかこいつら」とぼける
ノムラ 「え?」
管嶋 「おいっ!!」
イタガキ 「なんや」管嶋とノムラを威圧する。
白鬼の呼吸が荒くなり、机上のスマホを取る。
井戸川 「置けっ!」
白鬼、スマホを弄るがどうしようもなくなり、パニック状態に。

突然、管嶋がテーブル上のフォークを手に取り、李の首に突き立てる。

李が倒れ、首から血が流れる。
井戸川と狭山が銃を管嶋に向ける。
キシノとノムラも銃を抜く。
狭山が怯え発砲してしまう。
弾はチンピラ(武松を裏切った一人)の腹部に命中。
ノムラが狭山を撃ち、サダが井戸川の後頭部を殴打(首殴打でも)。2人床に倒れる。
一人無傷で取り残された武松、両手を挙げる。

一瞬の静寂。

ミタライ 「何しとんじゃああ!!!」(要相談)
黒服が管嶋にビンタを食らわす。
床に倒れた李が、スマホを弄り、メッセージを打っている。
〈 にげろ 〉
ミタライが李のスマホを踏みつける。
ミタライ 「掃除屋呼べ」
キシノ 「堂島でいいですか?」
ミタライ 「誰でもいい」
ぽかんとしている管嶋。
ミタライ 「さっさと証拠消せや」

○ 6 - 26     車内 夕方 

運転するノムラ、助手席に管嶋、後部座席にミタライの合計3人。(別の車にサダと白鬼)
急いで管嶋別邸に向かっている。
ノムラが管嶋にナイフを渡す。
ミタライ 「フォークの方がいいんじゃない?」
管嶋、大笑いする。
ミタライもつられて大笑いする。

○ 6 - 27     管嶋別邸 門の近く 外 夕方


少し離れたところに車を止め待機している面々。日下、肘木(警察)、根地(警察)
管嶋らが乗った車2台が戻ってくる。
肘木 「行くぞ」
根地 「はい」
肘木と根地が車を出て、管嶋らの方に向かう。

○ 6 - 28     管嶋別邸 白鬼部屋 夕方

ライチ、日下とイヤホン通して会話。
冬吾はPCを弄っている。
ライチ 「李くんは?」
日下(電話) 「わかりません。とにかく、早く出てください」焦り
ライチ 「オーケー」
冬吾、無言でコピー中のデータを並行して閲覧していく。

○ 6 - 29     管嶋別邸 門の近く 外 夕方

建物に向かう管嶋(血を浴びている)、白鬼、ミタライ、ノムラ、サダ。
肘木と根地が追いつき引き止める。
肘木 「警察ですが」
ミタライ 「はい?」
肘木 「署までご同行いただけませんか?」
ミタライ 「お前ら、悪いコトしたのか?」
わざとらしく皆の顔を見回す。
ノムラ 「いえ」
ミタライ 「じゃあ中入っとけ」
管嶋と白鬼、ノムラ、サダが建物の中に。
根地 「ふざけんな」
根地が引き止めにかかるが、サダがそれを手荒に妨害。
ミタライ 「なんの容疑です?」凄む
肘木 「公務執行妨害」サダを指差す
ミタライ 「え?」とぼける
肘木 「捜査に協力を」
ミタライ 「協力とは?」
肘木 「中に入っても?」
ミタライ 「いいわけねえだろ。 もし無実だったらどう責任とる」凄む

○ 6 - 30     管嶋別邸 玄関 夕方

玄関。
管嶋、白鬼、ノムラ、サダが入ってくる。
四人は手分けしてそれぞれの部屋に。


○ 6 - 31     管嶋別邸 PCルーム 夕方

プログラマー三人がのびている部屋。
サダが入ってくる。
すると、ドアの裏に隠れていた田中が鈍器でサダを殴打。
サダが短い悲鳴をあげて倒れる。
廊下からノムラが駆けつける。
しばし格闘し、田中が倒れる。

○ 6 - 32 管嶋別邸 白鬼ルーム 夕方

管嶋と白鬼が入ってくる。
部屋の中央にライチが一人立っている。
冬吾の姿はない。
対峙する管嶋白鬼とライチ。
(ライチは後ろ手にスタンガンを隠している)
ライチ 「・・・」
管嶋 「君は、ハッカー君の愛人?」
ライチ 「え?」聞こえなかったふり
ノムラがやって来る。
白鬼 「もう一人いると思います」
ノムラ 「了解」
ノムラが他の部屋に冬吾を探しに行く。
管嶋 「膝つけ」
管嶋がライチに近づき、刃物を突きつける。
ライチがゆっくり膝をついて座る。
管嶋 「両手あげろ」
スタンガンを管嶋の死角に置き(あるいは服に引っ掛け)、両手をあげる。
白鬼が自身のPCに向かい、操作する。
(白鬼PCのモニタはOFFになっている)
管嶋 「さっさと消せ」

○ 6 - 33     管嶋別邸 門の近く 外 夕方

ミタライと警察二人が問答を続ける。
黒服の数も増えている。
ミタライ 「応援は呼んだの?」おどけた感じで
根地 「呼んでねえわけねえだろ」
ミタライがじっと根地の顔を見つめる。
ミタライ 「へー! 下手だね、ハッタリが」
根地 「人殺しといてタダで済むわけねえだろが」
ミタライ 「え、そうなの?」
肘木 「・・・とりあえず白鬼渡せ」
ミタライ 「シオ・・・ロ、ロニ・・・?」
根地がブチギレて門の中に向かう。
肘木 「待て」
立ち止まり驚く根地。
ミタライ 「そうそう。無理すんな」
ミタライが肘木の頭をポンポンする。
肘木ら屈辱の表情。

○ 6 - 34     管嶋別邸 各所 夕方

ノムラが各部屋で冬吾を探し回っている。
が、見つからない。

○ 6 – 35     管嶋別邸 風呂場 夕方

ノムラが風呂場に。
外に面した窓の鍵が開いている。
ノムラ、窓を開けて外を見る。
冬吾の靴(?)が落ちている。

○ 6 – 36     管嶋別邸 白鬼部屋 夕方

PCを弄る白鬼、ひざまずくライチ、刃物を構える管嶋。
白鬼がキーを叩くが、画面が表示されない。ディスプレイの電源が落ちている(コンセントが抜けている)ことに気づく。
白鬼、コンセントを刺そうとするが、電源ケーブルが刃物で切られている。
白鬼、不思議そうな表情。
管嶋 「まだ?」
白鬼 「持ってください」イライラ
白鬼、仕方なく他のディスプレイを探す。
管嶋 「・・・早くしろ」
管嶋、ソファーに移動し座る。
管嶋 「どこから嗅ぎつけた?」
ライチ 「どこも何も。あなたがボロ出したから」
管嶋 「んなわけねえだろ」
ライチ 「管嶋さん。こういうの向いてないですよ。大人しくサラリーマンやってれば良かったんです」
管嶋 「自分の立場わかってる?」
ライチ 「金持ちの紐になるのがあなたの夢?」
管嶋 「殺すぞ」
ライチ 「そのセリフが小物の証拠。無能なあなたに使われる白鬼さんが可哀想」鼻で笑う
管嶋がライチの顔をビンタ。
床に倒れこむライチ。
管嶋、しゃがみこんでライチの顔を覘く。
ライチ、床のスタンガンを握る。
が、管嶋がスタンガンをかわし、取り上げ、投げ捨てる。

ライチが再び両手をあげる。
ライチ 「降参」

物音を聞きつけたノムラが部屋に入って来る。
ノムラがライチの方に向かい、テープでライチの手と足を縛る。
ノムラ 「逃げてるな」
管嶋 「どこ行った?」ライチに
白鬼 「別にいいですよ。データが無事なら」
白鬼、予備ディスプレイを白鬼PCに接続し、電源を入れる。
管嶋 「あそ」
管嶋がライチに語りかける。
管嶋 「逃げたって」
涙目のライチ。
管嶋 「かわいそうに」
管嶋、ノムラが床に置いたテープを拾い、ライチの口に貼る。
白鬼PCのディスプレイがつく。
白鬼に見覚えのない画面。
思考を巡らせる白鬼。
別OSで入られていることに気がつく。
白鬼、PCの前側にUSBが刺さっていることに気がつき、それを引っこ抜く。
が、画面はそのまま。

驚く白鬼。焦りPCを操作。
データを外部デバイスにコピー中であることが判明。すでに90%ほど完了している。
管嶋 「どうした?」
焦る白鬼。
やがて、自身のPCの裏側に見慣れないUSBが刺さっていることに気がつき、それを引っこ抜く。
(データのコピーはギリギリで完了している)

考える白鬼。HUBに見慣れないケーブルが刺さっていることに気がつく。そのケーブルはソファーの裏に伸びている。

ライチが白鬼の目線に気づく。

白鬼がソファーを指差し、口を開く。
ライチ、動こうとするが、身動きが取れない。
白鬼 「そこ」
管嶋 「?」
白鬼 「います」

----------ソファーの裏には冬吾の姿。
寝そべって息を殺してPCを弄っている。

〈データ送信15%〉

管嶋が立ち上がり、ソファーから離れる。
ノムラがソファーを1発撃つ。
銃弾はソファーの背もたれ部分(の柄の的っぽいところ、あるいは壁)に命中。

冬吾、驚愕。

ノムラ 「出てこい」

冬吾は出てこない。

ノムラ、ソファーに近づく。
ノムラがソファーを上から覗き込んだ瞬間、冬吾の手が銃口を掴み、催涙スプレーを噴射。
ノムラ、痛みで絶叫しながら銃を発砲。
(銃弾は冬吾の耳をかする)

〈データ送信43%〉

管嶋がナイフを取り出しライチに向ける。
管嶋 「こいつ刺すよ?」

黒鬼の面(ゴーグル機能あり)を被った冬吾がソファーから出てくる。
管嶋が冬吾を掴み、白鬼に顎で合図。

白鬼がソファーの裏から冬吾PCを引っ張り出し、画面を覗く。
白鬼 「コピーされてますね」
管嶋 「あ?」
冬吾が隙を見て管嶋に催涙スプレーを噴射。
しかし、管嶋は顔を手でガードしていたため、ダメージが比較的浅い様子。
管嶋が冬吾を殴り倒し、馬乗りになって首を絞める。

白鬼 「間一髪でした」

〈データ送信86%〉

白鬼、冬吾PCのデータ転送キャンセルボタンの方にカーソルを持っていく。

ライチ、白鬼の背後から攻撃、PCから引き離す

焦る白鬼。

〈データ送信93%〉

管嶋、ノムラが落とした銃を拾い、冬吾のノートPCに一発打ち込む。しかし、端の方に命中。
白鬼、発砲にビビりながらも、冬吾PCのSSDがある部分を指差す。
白鬼 「ここです」

管嶋、その箇所を撃つためPCに近づく。

次の瞬間、冬吾がノートPCを拾い、抱える。
白鬼 「おい!!!」
冬吾、窓ガラスに向かってPCを全力でぶん投げる。

PCはガラスを突き破って外に落ちる。

○ 6 - 37     管嶋別邸 門の近く 外 夕方

膠着状態の警察組と黒服組。

2階からPCが降って来たことに驚く。

地面に落ちたPCは静かに稼働している。

〈データ送信100%〉

根地のスマホに通知。
根地 「来ました」肘木にスマホ画面を見せる。
肘木 「今、証拠を受信しました」
ミタライ 「ハッタリだろ」
肘木 「いいえ」
睨み合う肘木とミタライ。
肘木 「ご協力いただけますね?」

○ 6 - 38     管嶋別邸 白鬼部屋 夕方

ノムラは壁に持たれかかり座っている。まだ激しい痛みと戦っている様子。

警察が風呂場から乗り込んでくる音。

管嶋は、白鬼の方を見る。
管嶋 「だから早く消せっつったろ?」落ち着いたトーンで
白鬼、上目遣いで管嶋を睨んでいる。

管嶋、ため息をつき、拳銃を床に捨てる。

冬吾がライチの顔を見る。
冬吾 「大丈夫?」
ライチの鼻血を冬吾が手で拭う。

警察の足音が近づく。

ノムラ 「おい」痛みに耐えながら
管嶋がノムラを見る。
ノムラ 「拾え。銃、拾え」

管嶋、機械的に銃を拾い、ノムラを見つめる。
ノムラ 「殺せ」
管嶋、キョトンとしている。
管嶋 「誰をですか?」

管嶋、無表情でとある方向に銃口を向け、引き金を引く。

○ 6 - 39     管嶋別邸 白鬼部屋 夕方

肘木と根地が銃を構えて部屋に入ってくる。
肘木 「動くな」
部屋の光景を見て驚くふたり。
二人がかりで管嶋の身柄を拘束する。

                                                                第7章へ


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