#5 はんげき
○ 5 - 1 新アジト 早朝
部屋の中に大量のPC。
緊張した面持ちの冬吾と李。
後ろで見守るライチ。
冬吾がライチの方を見る。
ライチ 「やっちゃえ」
冬吾がPCに柏手を打ち目を瞑り一礼、その後短いコードを書き込み、実行。
複数台のPCが稼働する。
○ 5 – 2 管嶋別邸 白鬼ルーム 早朝
白鬼はソファーで(椅子で?)眠っている。
○ 5 – 3 管嶋別邸 PCルーム 早朝
pcに向かっているヤドクが異変に気づく。
ヤドク 「マジか」
ヤドクがナマムギを蹴り起こす。
○ 5 - 4 管嶋別邸 白鬼ルーム 早朝
白鬼、ノックの音で飛び起き、周りを見回す。
(非常に寝起きが良い)
ナマムギ 「白鬼さん!! DDos食らってますよ!! おはようございます! DDosです!」ドア越しに
白鬼、返事せずPCに向かう。
○ 5 - 5 新アジト 早朝
様子をじっと見守る冬吾ら。
○ 5 - 6 管嶋別邸 白鬼ルーム 早朝
白鬼、対応するも、なす術がない。
○ 5 - 7 新アジト 早朝
固定したタブレットをじっと見る面々。
通信エラーの表示が出る。
李 「おお!」
冬吾が息をつく。
○ 5 - 8 白鬼の部屋 早朝
白鬼、タブレットを操作。
通信エラーが起きている。
白鬼、癇癪を起こしタブレットを投げる。
○ 5 - 9 管嶋の車内 昼
管嶋 「復旧の目処は?」苛立っている
白鬼(電話) 「今週中には」
管嶋 「厄介なの敵に回したな」
白鬼(電話) 「そうですね」
管嶋 「次のアップデートは?」
白鬼(電話) 「はい? 今それどこじゃないんで」イラついて
管嶋 「だな、ごめんごめん」
白鬼が通話をガチャ切りする。
○ 5 - 10 探偵チーム 新アジト 夕方
状況を整理する面々。
ライチ、李、田中、日下、武松。
冬吾はまた一人何かを作っている。
田中 「引き続き管嶋マークしてますが、白鬼との接触はありません。徹底的に接触を避けてると思われます」
武松 「管嶋パクって吐かせちゃう?」
ライチ 「白鬼が逃げて終わりですよ」
武松 「そりゃダメだな」
ライチ 「なので、白鬼の居場所を特定します」
武松 「どうやって?」
ライチ 「管嶋にインストールした疑念を起動させる、みたいな感じです」
田中 「簡単に言うと?」
ライチ 「いわゆる離間の策です」
○ 5 - 11 中洲の店 夜
お得意先と飲む管嶋。ホステス(シオリ)
シオリ 「お仕事順調ですか?」
管嶋 「そうですね、山名さんのおかげです」お得意先の方を見る。
シオリ 「そうそう。管嶋さんって、白鬼って呼ばれてるんですか?」
管嶋がホステスの頬を掴む。
管嶋 「それ誰から聞いたの?」こわばった笑顔で
○ 5 - 12 探偵チーム 新アジト 夜
作業を終えた冬吾。
PCからUSBを抜き、李に渡す。
李が自身のPCにUSBを刺し、何かしらの操作。
李 「あはは、すげえ」
冬吾が脱力して、倒れこむ。
ライチが日下に菓子折りを渡す。
ライチ 「これよろしく」
日下 「中身なんですか?」
ライチ 「爆弾」
日下が驚く。
○ 5 - 13 管嶋の会社 デスク 昼
社員が管嶋に菓子折りを渡す。
管嶋、菓子折りを受け取り、開封。
一見ただの菓子の詰め合わせ。
個別包装されているうちの一つに、鬼のイラストが書かれている。
管嶋、それを取り出し、開封。
すると、中から小型USBが。
包装紙には活字のメッセージ。
〈白鬼。最後の伝言だ〉
管嶋、怒りを抑え、考え込む。
○ 5 - 14 探偵チーム 新アジト 夜
ライチと田中がPCモニターを見張っている。
李と冬吾は力尽きて寝ている。
○ 5 - 15 管嶋の車 夜
真剣な表情で車を飛ばす管嶋。
○ 5 – 16 管嶋別邸 夜
チャイムが鳴る。
管嶋が訪れる。
○ 5 - 17 管嶋別邸 白鬼ルーム 夜
管嶋の訪問に驚く白鬼。
白鬼 「尾行は?」
管嶋 「されてない」
白鬼 「絶対ですか?」
管嶋 「誰と組んでる?」
白鬼 「はい?」
管嶋 「なんか企んでんだろ」
白鬼 「何の話ですか?」
管嶋が白鬼宛のメッセージを突きつける。
白鬼 「何です?」
管嶋 「俺を白鬼だと思ってるバカがいるんだわ」
白鬼、状況が飲み込めない。
管嶋 「これ開いて」
管嶋がUSBを渡す。
白鬼 「・・・GPSでは?」怪訝そうに
管嶋 「チェックした」苛立つ
白鬼、USBを差すのを躊躇。
白鬼 「ウイルスかもなんで嫌です」
管嶋 「ガタガタうるうせえなあ」
驚く白鬼。
管嶋 「開け」
白鬼が分析専用のノートPCを取り出し、USBをさす。
中身は暗号。(白鬼が解けるパズル的な)
白鬼 「暗号パズルですね」
管嶋 「解け」
白鬼 「まあまあムズイですよ」
管嶋 「解けない?」
白鬼 「解けますよ」
白鬼が暗号を解く。
メッセージが表示される。
〈 9/15 16:00 大楼郭にて待つ。R 〉
管嶋 「説明しろ」
キョトンとする白鬼。
管嶋 「おい」
静かに稼働するUSBのアップ。
○ 5 - 18 探偵チーム 新アジト
PCを見る冬吾とライチ。
冬吾 「きたっ」
位置情報が表示される。
○ 5 - 19 管嶋別邸 白鬼ルーム
管嶋 「Rって誰?」
白鬼 「知りませんって! だいたい、なんで管嶋さんがこれ持ってるんですか?」
管嶋 「そいつが勘違いしてんだろ、それ以外何がある」
白鬼 「トラップ?」考え込む。
管嶋 「はあ?」
白鬼 「酒の席で喋りました?」
管嶋、怒りを抑え冷静を装う。
管嶋 「ま、行けば分かるよな」
管嶋、椅子に座る。
管嶋 「俺は、君を信じたい。でもね、それ故に裏切りの恐怖も大きくてね」優しいトーンで
白鬼 「そういうのいいです。興味ないですから」
管嶋 「あそ」
白鬼 「本当にトラップだったら?」
管嶋、考え、笑う。
管嶋 「返り討ちだろ。こっちには天求会が付いてんだから」
白鬼 「そうですか」
管嶋、白鬼を凝視する。
目をそらす白鬼。
○ 5 - 20 探偵チーム 新アジト
冬吾が管嶋別邸の衛星写真を表示する。
ライチ 「この物件調べて」
田中 「はい」
李 「これ、いけますね。もう詰みじゃないですか」喜ぶ
○ C – 4 記録映像
ハンディカメラ風の記録映像。
田中が画面に向かって喋る。
田中 「喜んだのもつかの間でした」
○ 5 – 21 探偵チーム 新アジト
武松とライチが2人きりで喋っている。
いつになくシリアスなトーン。
武松 「やぶへび」
ライチ 「ダメですかね?」
武松 「警察上層部すらシンパまみれだからな」
ライチが小さく鼻で笑う。
武松 「やめとく?」
ライチ 「・・・」
○ C – 5 記録映像
ハンディカメラ風の記録映像。
田中が画面に向かって喋っている。
田中 「胸騒ぎがしていました」
田中 「ライチさんが僕らを呼んだ時、予感は確信に変わりましたね」笑う
○ 5 - 22 探偵チーム 新アジト
ライチと田中と李が喋っている。
ライチ 「えー、今回は希望者だけで」軽く
ライチ 「武松さんと話したけど、正直ね、リスクが想定できん。日下は家族いるしね」
李 「ま、死にはしないっしょ」冗談ぽく。
田中 「ライチさんは今冷静ですか?」
ライチ 「どうだろ。冷静なんじゃない?」
田中 「手引けませんか?」
ライチ 「そうねえ・・・」
田中 「なんでですか」
ライチ 「悪者捕まえるのに理由がいるの?」冗談ぽく
田中 「要るに決まってるでしょ」
ライチ 「・・・」
冬吾 「ま、病気だね」
ライチ 「そういうことだから」
ライチ 「あ、ここまでのギャラは出すから。安心して」
怪訝な顔で固まる面々。
田中 「我慢よりリスクを取るんですか?」
ライチ 「我慢は毒だからそれもリスクだよね」
言葉が出てこない田中。
冬吾だけは涼しい顔でPCを弄っている。
○ C – 6 記録映像
ハンディカメラ風の記録映像。
田中が画面に向かって喋っている。
田中 「これが最後のミーティングになりました」
田中 「9月13日、タブレットが復旧し、再びテレビ局がジャックされました」
その時の映像。
風刺の込められたチープなアニメーション。
田中 「当時、警察が手がかりさえつかめめない中で、我々がその渦中にいるのは、変な感じがしましたね」
田中 「そして、その日がやってきました」