18歳の恋愛
先日義理の妹家族の家で晩御飯を頂く機会があった。義理の妹には子どもが3人いるのだが、その長女が昨年18歳になって「大人」になった。
私が彼女と初めてあった時は、ブロンドの天然パーマがクルクルしていて、澄んだ青い目をした天使のように可愛い1歳の女の子だった。そして、彼女は姪っ子甥っ子の中で唯一、私達の結婚式に出席するため日本にも訪れたことがある。
当時3歳だった彼女は、子どもモデルのように道行く日本人に手を振り、愛想をふりまいて歩き、時にはカメラを向けられシャッターを切られたりもしていた。義理の妹夫婦いわく、彼女はなぜか電車の中で、特に日本人の若い女の子集団に大人気だったらしい。
小学校の頃は良く我が家に次女と2人で泊まりに来てくれた。女の子が欲しかった私は、お人形遊びをしたり、翌朝起きてきた彼女たちの髪の毛を結うのがとても嬉しかった。
そんな彼女が「大人」になった。
18歳という年齢はデンマークでは法律的に「大人」の仲間入りだ。色んなことを自分の意見で決めれる決定権も持つようになる。そして、堂々と対等に大人と議論を交わすだけのコミュニケーション能力も育っている。そして、それを「大人として」回りがリスペクトする土壌もデンマークには育っていると感じる。
いま妹の家には彼女のボーイフレンドが、ほぼ家族同様に出入りしており、先日お邪魔した時も当然のように2人で食卓に現れた。
去年のクリスマスには、ボーイフレンドから、アルバイトで一生懸命貯めたお金で、サプライスのロンドン旅行をプレゼントされて(なんて粋な18歳!私もプレゼントされてみたい!!)家族みんなの前で嬉し涙を流して抱き合って喜んでいた。
そして、それを見ていた彼女の父親(義理の弟)は、メガネを外し指で自分の涙を拭っていた。さらには、それを後ろから見ていた私まで、しっかりもらい泣きをしてしまったのだ。
その涙は、うまくは説明できないが、純粋な18歳の恋愛に感動したとでも言えるだろうか。
そして、彼女を見ていると、私は思わず18歳だった頃の自分と比べずにはいられなかった。
私は当時大好きだった彼氏との外泊や旅行は、いつも毎回「女友達と一緒」という親への嘘と共に成立していた。
幸せそうな姪っ子とボーイフレンド、そして彼女の父親の姿を見ながら、どうしてあの頃の私は親に嘘をつかなければいけなかったのだろうか‥と考えようとしたけれど、いい答えは見つからなかった。
少なくとも、私は厳しく育てられたわけでもないので、親にバレたら怒られるという理由ではなかったように思う。
親の前でずっと子どもでいてあげたかったから?
自分が大人になった気がするのがなんとなく恥ずかしかったから?好きな男性と外泊することが「良くないこと」だと感じていたから?
どれも当てはまるようで当てはまらない。
もしかしたら、理由は根本的な日本の男女の恋愛観にあるのかもしれない。いや、他人ことは良くわからないから、もしかしたら我が家だけの問題だったのかもしれない。
どちらにしても、ボーイフレンドと外泊をするのも家に泊めるのも、ロンドンに2人で旅行をするのも…親に嘘をつかなければいけないなどと、まったく想像をしたこともないであろう環境で育った姪っ子をとても羨ましいと思った。
帰りがけに、歯の矯正も終わり綺麗な歯並びの眩しい笑顔で、ボーイフレンドに寄り添っていた18歳の彼女を見ながら、今度はいつか、彼女が私たちを結婚式に呼んでくれる日がくるのを想像しながら、私は幸せな気持ちで家路についたのだった。
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