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その膵炎は本当に膵炎?エビデンスで考えてみよう。

今回は猫さんの膵炎です。

2020年にACVIMのコンセンサスが得られました。

(今までの論文を公式にまとめて、病気についての定義や方針を定めてくれています)

結論から言うと

やはり定義上でも診断は病理組織検査になるので

慢性膵炎なら「生検」が必要です。(お腹あけるか腹腔鏡で組織をとって検査します)

急性膵炎は臨床症状と検査パネルをうまく組み合わせて判断して診断します。

急性膵炎と慢性膵炎では治療方針が全然異なるため

必ず分類が必要(急性?慢性?)です。

慢性なら生検を躊躇しないのが重要。

しかしながら急性と慢性の分類自体が非常に曖昧です。(生検しなければ)

だから膵炎の評価は難しいのです。

先日、拝聴した講演の内容では

組織的な膵炎を過剰診断する傾向にあるということです。(これも前記事で書いた本当に膵炎?と同じ見解です)

しかしながら

サブクリニカルな膵炎は案外多いということもわかってます。(症状はないけど健常猫を剖検すると組織学的には膵炎だった)

だから大事なのは

臨床的な膵炎(症状があって困っている膵炎)をどのように診断するかということでした。

というところで

結論から言うとACVIMのコンセンサスでもはっきりしていない

ということでした。

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急性と慢性だとコンセンサス上の治療方針が異なります。

「急性膵炎」
・ 輸液
・ 制吐
・ 消化管運動機能改善
・ 食欲増進
・ 栄養管理
・ ステロイド
・ 抗生物質

「慢性膵炎」
・ 抗炎症剤
・ 免疫抑制剤
・ 鎮痛
・ 制吐

とうことです。

急性膵炎と慢性膵炎では発生機序が異なるからです。

全記事に書いた膵臓腺房細胞内で消化酵素が活性化して自己融解するタイプの機序を辿るのは急性膵炎です。

慢性膵炎の方はCCK(コレシストキニン)、酸化ストレスなどが星細胞にちょっかいかけて炎症や線維化を引き起こします。

さらに膵臓上皮が障害を受けて胆汁や腸管内液が漏れでたり管が詰まったりします。

これだけ違うから、慢性・急性をしっかり分類したいのですが、冒頭で申し上げた通り、曖昧なんです。

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一応定義はあります。

急性膵炎:可逆的な炎症性変化(浮腫)

慢性膵炎:不可逆的な組織学的変化(線維化)

ということで

コンセンサスの中でスコアリングなども提示されていました

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じゃあ結局どうするべ?

ということですが

与えられた武器と状況証拠で

限りなく真実まで近づけていくという作業をしていきます。

診断方法もコンセンサスにのりました。


大事なのは

臨床症状、リパーゼ(血液検査の項目)、エコー(画像での膵臓の見え方)

と講演で著名な先生は話されてました。

幸いにも日本には富士フィルムという優良企業がありまして

そこの出しているドライケムという機械で

v-LIP(リパーゼ)の値が院内測定できる病院が多いです。

当院もそうです。

詳細は書きませんが

エコーの見え方も急性と慢性でだいぶ違います。

こういう有効な講義で得た知識をふんだん活かして

明日から治療していきたいです。

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