【奇談綴り】叔父のワゴン車
※小ネタです
高校生の頃の話です。
部活でキャンプに行くことになり、足をどうしようかという話になって、ふと叔父のワゴン車がそのまま保存されていた事を思い出しました。
叔父は母の妹、つまり叔母の夫で、私が中学の頃に早逝しています。
私たちきょうだいを自分の子どものようにかわいがってくれて、ワゴン車もどうやら私たちを家族旅行に連れて行きたくて購入したもののようでした。
叔父が亡くなってから廃車にするのも忍びなく、メンテナンスをしながら残していたものです。
叔母に相談したところ「このまま放置するのももったいないし、使ってもらって構わない」という事だったので、運転手の教師が車の状態を確認して、問題ないということで合計6人ほどでキャンプに向かいました。
キャンプは問題なく実施されたのですが、帰り道にちょっと不思議なことが起きました。赤信号の度にエンジンが停まるのですが、私が車体を軽く叩くと動き出すのです。
短い距離でしたが数回はそのようなことがあり、皆で「変だね」と言い合っていました。
帰宅して叔母に車を引き渡した時、ボンネットを開けて確認していた教師が驚きの声を上げました。
「あれ? エンジンオイル切れてるしバッテリーもやばいじゃん。むしろなんで平気で走ったの???」
教師によると、なんで走れていたのか不思議なほどの状態だったそうです。
なぜか事前には気づかなかったのだそうで、その事も合わせて不思議というか気持ち悪がっていました。
もちろん、誰にも理由はわかりませんでした。
不思議がる叔母に、祖母が「姪を気遣って動かしてくれたのかもしれないね」と話していたのが印象的でした。
叔父は私たちを本当に自分の子どものようにかわいがってくれていたので、そういうこともあるかもしれないな、と思った出来事でした。
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