肛門ポリープの手術をしました[その3]
さて。
無事に手術も終わり、退院して、残りのゴールデンウィークを穏やかに過ごせばあとは一ヶ月ごとの通院、になるはずでした。
途中までは出来ていたと思います。
兆し
退院後は鎮痛剤と化膿止めを飲みながら、激しい運動はせずに、食事もなるべく穏やかで塩分少なめなものを選んで過ごしました。
肛門の手術は傷を閉じきらず、開いた状態のまま自然治癒なので、お尻のパッドにはちょっとした血や体液が付きます。
2~3日は多めでしたがそれも徐々に減り、一週間後の診察も順調で、これならこのまま終わるかな、と思った時でした。
パッドに、少しですが鮮血がついていて、トイレがピンクに染まりました。
緊張したものの、赤ではなくてピンクだし、色が濃いとはいえ少量です。
そのまま様子を見ることにしました。
あっこれヤバいやつ(鮮血)
なんか変だな、と思いながら数時間経ちました。
実は診察の直後ぐらいからものすごくお腹を下していまして、そのせいでトイレが近かったので、また下痢か、ぐらいの軽さでトイレに行ったらですね。
トイレが真っ赤!!! ビビるぐらい真っ赤!
さーっと血の気が引くとともに、院長先生の「鮮血の場合すぐ電話をください。とにかく電話をください。必ず対応する先生が居ますから」という言葉が脳裏に蘇りました。
まさか自分が「残念ながら戻っちゃう対象」になるとは…。
しかも、出たのが便じゃなさそうなんです。血の塊がトイレのなかに結構な量ある感じ。完全にアウトじゃん、これ…。
テンパって震え声で病院に電話をかけ、看護師さんとやり取りをした結果ヤバそうだということで医師に繋いでもらい、診療時間は終わってるけど急患で見るからすぐ来てください、ということになりました。
緊急手術と再入院
そんな状態なのに普通に公共交通機関機関で1時間ぐらいかけて病院に到着しました。
完全に思考能力が停止しています。今考えたら、お金がかかってもタクシーで行くほうが安全でした。だって、放っておいたら命にかかわるレベルで出血してるわけですから。
到着したものの、医師は他の手術中ということで、そのまままたしばらく待たされます。
そんな忙しいさなかに急患…。ごめんなさい、飛び込みでごめんなさい、と、心へのダメージも半端ありません。
やっと診察してもらったのですが、予想どおり傷が開いてました。
しかも動脈が…!
まってポリープ、動脈なんか通ってたの?! なんてこった!!!
かなり大量に出血していたらしくトレーにはえげつない量の真っ黒い血が乗っています。このままでは命が危険だったり一旦止めてもまた戻ってくる可能性があるので、再手術で動脈の部分をしっかり縫うことになりました。
当然入院です。
とりあえずこれ以上ダバダバ血がでないように、尻の穴が裂けるかと思うほど血止めの脱脂綿を詰められました。
再手術
緊急手術なので、医師も看護師もかなりバタバタです。
病室の手配、手術室の手配、スタッフの手配…。
もちろん、予め予定された手術もあります。こちらは飛び込みですが緊急なので、隙間に押し込んだ感じ。
スタッフの皆さんのテンパりっぷりに、なんだか身の置きどころがない感じに凹んだまま、手術が始まるのを待ちました。
カゴに荷物一式と着てきた服を入れて、手術着に着替え、ストレッチャーに寝かされて開始を待ちます。
とりあえず必要な書類にサインをし、せっかく跡が消えかけた手にまた点滴がはいり…そしてようやく再手術です。
腰椎麻酔、患部の確認、血管の結索。手術そのものは十数分程度だったでしょうか。
予め患部が分かっていたのでやりやすい、というような雑談が聞こえました。別にいいんだけど、もっと違うタイミングでして欲しいな、そんな雑談……。
「しっかり縫って血が止まりましたよ。もう大丈夫」と太鼓判を押していただけました。
再入院
前回と同様に、手術が終わると病棟の看護師さんに引き渡されて、病室にガラガラと連れて行かれます。
突如飛び込んだ患者で、ルーティンの仕事に追加になっているわけですが、応対はさすがに丁寧です。
ただ、運搬速度が早くて怖いwww
前よりめっちゃ速いやん…ホントごめん…。
基本は前回と同じなので、ベッドにザシャア!みたいに移動させられ、カテーテルを入れられ、絶対に起きないように言われました。
水分を摂るように言われたのですが、この状態では水もくめないしペットボトルも買えないので、あとで買ってきてもらうことになりました。
この日は当然絶食です。起きられませんからね…。
この「手術後に起きてはいけない」のは血栓対策だそうです。足から血栓が飛ぶことも多いそうで、血栓が起きにくい専用のソックスを履き、横になって安静にして、水分を多く摂って様子を見るのだとか。
他の方の手術が全て終わった後、医師から説明がありました。
「原因はわからないけど患部が開いていたので、しっかり閉じる処置をしました。出血の量が心配だったけど、検査の結果貧血にはなっていないので、そちらは問題ないです。」
「このまま様子を見て、変化がなければ明日退院で問題ないでしょう。」
ということでした。
気をつけていたのに傷が開いて凹んでいる、と訴えたところ、「原因は一つではないし、原因不明の事も多いので、不運だったけどあまり落ち込まないように」との説明でした。
絶対下痢のせいだろ…。
腹痛はなかったけど、めっちゃ腸が動いてものすごくガスも多かったし、1日数回トイレ行ってたし…。
まさか下痢のせいで再手術なんて、と思うとものすごく凹みました。
急な入院で何もかもそのままにして家を出てきたので、もし退院が延びた場合の事を考えて、友人に猫シッターを頼みました。
仕事関係には入院が伸びたら連絡することにして、最初の手術と違ってしっかり眠れないまま、翌朝を迎えました。
退院!
さて翌朝。寝不足でボーッとしてはいましたが、傷口も問題なく、診察が終わったら帰っていい、という許可がでました。
帰ったらそのまま元の予定通りに過ごし、一週間後の主治医の診察で次の方針を決めてください、ということでした。
朝になればもう起き上がってもいいので、尿のカテーテルを外してもらい、点滴こそギリギリまであったものの、普通の朝食を食べ、パジャマセットは買わなかったので手術着のまま、診察時間までぼーっと待ちました。
診察では別途座薬を入れられたぐらいで、開いた傷以外はかなり早めに治っているということで、そのまま退院許可がでました。
肛門は常に使うものなので元々あまりきつく縫わないそうで、普通はそれで問題ないそうなんですが、私は数%にぶち当たった、ということだそうです。
追加の支払いをして、ヨレヨレしながら電車で自宅まで帰りました。
猫は激怒しながら待ってました…。
退院から次の診察まで
さて、次回の診察は5日後ぐらいです。
前回の診察の翌々日にこの事態になったので、診察までと診察が終わってから何日か、つまり縫ってから1週間を過ぎるまで、とても不安でした。
動脈を縫った部分が破れたのでかなりの出血があり、あのまま一晩様子をみていたら、出血多量でそれこそ死んでいる可能性もあったわけです。
退院前の説明通りに病院にヘルプ要請をしたのでひと晩の入院で済みましたけど…。
お尻の状態も最初からやり直しになりましたし。
血止めにぎゅうぎゅう入れられた脱脂綿のせいで、わざと開けておいた傷がまた開いたのも凹みポイントでした。
手術というのは漏れた血を全部キレイにするものではないので、最初の排便も真っ黒でしたし。
鮮血ではないですし、普通の便も一緒になっていたのでそれほど慌てはしませんでしたが、ビクっとしました。
主治医からは排便コントロール(下剤)がうまく行かずにごめんなさい、と謝られましたが、これ、たぶん食べ物のせいなんじゃないかな…。
あと、今から考えると、ポリープが無くなったせいで腸がびっくりしてたんじゃないかな、って。
だって、手術前まではかなり便秘気味で、下剤も多めにしないと効かなかったんです。
それが急に下痢気味とか、本人もよくわからないですから。
診察の結果は特に問題なく、また1週間後様子をみて、問題なければ1ヶ月後に再診になる、とのことでした。
再診から現在
いちど出戻った恐怖はなかなか消えず、診察のあと3~4日が一番怖かったです。
だって、再手術の時も、当日の朝まで問題ないと思ってたんですから。
手術の1週間後というと、糸が体に吸収されはじめて、脆くなってくる時期でもあります。
再手術後のこの時期は傷口がとてもかゆくてムズムズしました。
つまり、順調に吸収されてるってことです。
ちょっと緊張しましたが、何度も運ばれると体と心とお財布に超絶ダメージなので、むず痒い時期は特に用心して過ごしました。
さすがに何度も傷が開くということはなく、そのままきっちりふさがり、パットに血もつかなくなり、次回の診察は1ヶ月後、という所まで落ち着きました。
今回は再入院が一番の痛手でした。
恐怖で膝が笑うような感じ(力が入らない)になったのは久しぶりです。
それと、肛門ポリープ、いわゆる見張りイボって、医師が思うより悪影響が出てるんじゃないかな、って思いました。
治ってから思ったんですが、お尻ってすごく敏感なんです。人間はごく自然におならか便かを判断しているわけですが、これも肛門が繊細だからだと思います。ものすごい精度です。
で、いぼ痔や切れ痔でそういう繊細な部分が影響をうけるのは当然なんですが、肛門ポリープも、その精度を鈍くしてると思うんです。
ただのイボですけど、基本は肛門の中にできるので、ものを詰めたような状態になって、いろいろ邪魔をしているわけですから。
手術も入院もないほうがいいので、小さければ放置でもいいんですけれど、私としては手術で取り去るのをオススメします。
今まで何だったんだろう、っていうぐらい、お尻と腸の状態がちがいますので。
というわけで、肛門ポリープ切除手術の一部始終でした。
同じような状況に悩む、誰かの助けになれば幸いです。