ハリーポッター

ハリーポッターの本を読んだことがあるか?
世界中にファンがいる超有名作品であるが、あの本だけは読む気にならない。
“あれ辞書ぐらい分厚いじゃん!”
図書館の辞書コーナーに並んでいても気づかれないだろうし、あんな分厚い本が本棚にやってきたらハリーポッター1冊で文庫本4〜5冊分の幅を取るからできるだけ自宅には寄せ付けたくない。
そんな化け物本に小学生ながら挑む者がいた。
同級生の『もじょう』だ。森下丈。略してもじょう。
彼の読書力は壊れていた。小学生ながらハリーポッターを軽々と読むあげていた。周りが「かいけつゾロリ」を読んでいても、もじょうだけはいつも難しそうな分厚い本を読んでいた。当時は「なんであいつあんな本読んでんだ?ハリーポッターならテレビでやるじゃん。外で遊んだ方がおもろいで!」と思っていた。あれから10年ほどの月日が経ち今では「あいつが1番陽キャだったな」と感じている。
陽キャの概要が誤解されがちなのでここで訂正しておく。

誤:陽キャ・・・目立っている者、またはその集団。インドアよりアウトドア。倫理や感情よりもその場のノリ・目先の欲を優先する。異性との遊びを好む。
正:陽キャ・・・人生を楽しく生きる者、またはその仕方を心得ている者。
(もじょうのすごさを伝えたいというよりは、この陽キャの概要を言いたかったのが本音)

成人した今でも小学生のもじょうには敵わないような気がする。まだあの分厚いハリーポッターは読む気になれない。あの本を読み切った時に、やっとあいつの背中が見えるのではと思っている。ただ京大医学部に進学した彼を追い抜かすのは現実不可能なのだ。彼におれが追いつけないのなら申し訳ないが彼にこちら側に来てもらうしかない。こんな計画を立てた。手始めに彼には“下品下衆芸人”のさらば青春の光/森田哲矢の『メンタル童貞ロックンロール』を読ませるのだ。この本は「うんこ・ちんこ・まんこ」で爆笑できるやつだけが楽しめる本だ。もじょうは苦しむだろう。本をわんさと読んだ彼にとって読書は何の抵抗もない娯楽だろうが、これまでの読書の感覚を忘れてしまうほど稚拙で中身の薄い内容に仕上がっている。今まで体験したことのない違和感に医学の力を持っても簡単には脱せないに違いない。それも仕方ない。あれは大人用の“かいけつゾロリ”なのだ。
さあ苦しむがいい!

ps.どうか、このいかれた感性を医学の力でどうにかしてください。もじょう頼むぞ。
いや、森下先生。

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