Organization health watch

本記事に先立ってお知らせです。定期更新の目処が立たないことから、MLBファン合同NoteのMetsメイン担当は今年限りにさせていただくことにしました(正式な担当変更は後任が決まり次第ですが)。投稿頻度が下がり大変申し訳ありませんでした。最後の記事は、チームの未来に着目してみたいと思います。

本来であれば1人1人の有望株について掘り下げた記事にできればいいのですが、自分にはあまり知識がないため、別のアプローチを取ってみたいと思います(1人1人の解説ならば、例えばこの記事が参考になります)。具体的には、プロスペクトランキングの分析によるファーム組織を概観してみます。データソースはこちら、(2022シーズン中の更新データ;N=1295人)を使用します。

プロスペクトランキング分布

投手
縦軸:プロスペクトランキング Fangraphs (2022シーズン中の更新データ) 上ほど上位
横軸:チーム 左ほど平均が上位
野手
縦軸:プロスペクトランキング Fangraphs (2022シーズン中の更新データ) 上ほど上位
横軸:チーム 左ほど平均が上位

プロスペクトランキングの度数分布を並べて見ると、Metsは平均順位ではだいたい真ん中にいることがわかります。野手の方は上位の選手がかなり多い傾向にあります。上位に集中しているCLEや、中位以下の選手が多いATLの分布も面白いですね。地区優勝チームに上位プロスペクトが集まっているのは恐ろしいですね。ほかは概ね左に再建中のチームが集中している様に見えます(なんとなく再建のプロセスを追える)。

ETA(推定昇格時期)

推定昇格時期で見ると、Metsはすぐに昇格できる選手から割と時間のかかる選手まで、バランスの取れた構成になっていますね。特に野手は2つの山があり、若い選手と昇格が近い選手の両方にピークがあります。対して、Yankeesは若い層が不足しているようです。Bravesの野手は長い目で見る選手が多いですね。これが先のグラフの順位の低さに影響しているのでしょう。

リスク

次に、fangraphsが独自に算出している「リスク」の分布を見てみました。堅実に成長すると見られる選手が低リスクで、不確実性の高い選手が高リスクとなります。

縦軸の値が高いほどリスクが高い
(Highを1,Medを0,Lowを-1としたときのチーム平均リスク値)
オレンジが野手、青が投手

Metsは、投打問わずファームにハイリスクの選手が多くなっています。「リスク」は主観が入ったデータのため、解釈が難しいところではありますが、Cardinalsは低リスクの投手を好む、と言われると「たしかにそんな気がする」と思えるグラフですね(対して野手は高リスク選手が多いのも面白い)。若い選手がとりわけ多いわけではないMetsが「ハイリスク」判定を得ているので、博打的な選手を獲得しがち、だと言えそうです。ファーム組織の入れ替わりには時間がかかるため、オーナーが変わったことでどのような変化が現れてくるのか気になるところですね。

↓は「リスク」の説明。

This column is titled “Risk” because “Variance” is too long to put in a column header, but that’s what it means. The column can say “Low,” “Medium” or “High.” For younger prospects, variance is the distance between what I believe their ceiling and floor to be. So high-variance prospects are boom-or-bust types and lottery tickets, while low-variance prospects have a narrower band of perceived possible outcomes. As players move to the upper levels of the minors, I look to adjust variance down since the physical development that makes younger prospects have higher variance has typically occurred. Older/upper-level prospects with high variance are ones who I think may have volatile year-to-year performance, like a Carlos Gómez or Javier Báez type of player. These are often hitters with some exploitable trait, like a bad approach or a hole in their swing.

https://blogs.fangraphs.com/how-to-use-the-board-a-tutorial/

おわりに

いかがでしょうか?こういう視点でプロスペクトランキングを見るとはあまりない気がします。特にリスクに関するチーム間の際は興味深いですね。

ご挨拶

Note企画で書かせていただいた記事は、個々の試合や選手に着目するというよりは、チーム全体の傾向やリーグ内での相対的ポジションに焦点を当てたものが多かったと思います。好みはあると思いますが、「セイバーメトリクスともまた違う」野球データの楽しみ方を伝える一例になっていれば嬉しいです。皆様、これまでありがとうございました。引き続き、ときどき投稿はする予定です(Mets担当のバックアップ要員?このあたりは決まり次第再掲します)。

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