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いい打者はいいファウルを打つのか
打球速度・角度が打席の結果をなかなかの精度で予測することが明らかになり、そういった情報を元に打球の「最適化」を測る選手も多くなってきました。
ところが、ファウルの打球について検討した事例はあまり見かけません。打席の結果としては残らないので興味を惹きにくいのかもしれません。本記事では簡単に、インプレイの打球の速度・角度とファウルの打球のそれらの関係を見てみたいと思います。明らかな傾向があるのであれば、インプレイ打球が少ない選手について評価を行う際にファウル打球も参考にする、といったことも可能でしょう。
分析には今年の打球のデータを使います。最低200打席に立った選手を対象とします。
ファウル打球のプロファイル
下に示したのは、ファウル打球とインプレイ打球の速度・角度のヒストグラムです(対象とした全選手のものをまとめて図示)。ファウルのほうが打球が遅いことがわかります。また、打球角度はファウルに関しては二峰性をもっているようです。確かに、角度が0度近い打球(痛烈なゴロ)がファウルゾーンに飛ぶのはあまり見ません。
インプレイ打球とファウル打球の関係
続いて本題となるデータです。以下の分析では、速度・角度は選手ごとに平均を取っています。
名前を振った選手は適当です。横軸がファウル打球速度、縦軸がインプレイ打球速度です。こうみると打球速度に関してはゆるやかな正の相関はあるものの、それほど関係は強くはないようです。とくに角度は全くなし。ただ速度に関しては統計的に有意ではありました。とにかくデータが足りないときに、ファウル打球のデータも使うというのが悪い選択ではないという場合もあるかもしれません。
もう少し詳しく見てみたところ、なにやら面白い結果がありました。
左が0ストライクのときのファウルーインプレイ打球速度、右が2ストライクのときのものです。こう見ると、2つのグラフには明らかな違いがあり、0ストライク時にはそれなりの相関関係があることが分かります(それでも全体を眺めてようやく見える、といった質のものですが)。一方で2ストライクでは全く相関がありません。追い込まれてからは際どい球をファウルにするようないわゆる「守りの打撃」が要求されるため、その打者本来の打球の質との相関関係が消えてしまっているのかもしれません。
以上のように「0ストライク時のファウル打球の速度は、インプレイ打球の速度を予測する上で有用な情報である」という可能性が示されました。
まとめ
ファウル打球とインプレイ打球の速度・角度の相関関係を調べました。打球に関してはゆるい正の相関があり、0ストライク時のファウル打球の速度ではその傾向がよりはっきりと見て取れました。もう少し長い期間のデータを使う、くわしく打席の状況を分けてみるなどすることでもっと面白い結果が見えるかもしれません。また、今回深く検討しなかった速度や角度のばらつきの情報も有用な可能性もあります。
注1)記事タイトルに入っているものの「いいファウル」とは何なのかに関して筆者は意見を持っていません。詐欺みたいですいませんでした。
注2)カバーにしたファウルの画像はこのリンクから。