わかったこと（小林賢太郎）
ラーメンズの例のコントがなぜダメなのか？
考えて想像して、解答らしきものがひとつわかりました。
前の記事の解決編になります。
例のコントの何が悪いのか？
〈大量惨殺ごっこ〉で笑いをとっているものの、当の被害者のユダヤ人を笑い者にしているのではなく、ホロコーストを容認しているのではない。コントの何が悪いのかわからない。
というのが、前の記事。
確かにユダヤ人にこのコントを見せたとして「不愉快な気持ちになる」と想像できるが、「言うほどか？」と思った。
そんな感想を持つのも、
私の人間性に欠落があるからかもしれない。
何か見落としている点があるのかもしれない。
置き換えてみる
Twitterでは、擁護に近いツイートに対して「『〈原爆ごっこ〉や〈フクシマごっこ〉しよう』と言われて傷つかないか？」というような意見がいくつか見られた。
さて、正直に言っちゃおう。
少しモヤモヤするが、不愉快というほどではない。私は。
私がこのように思ったように、日本人が日本人の笑いとして行なうときは大きな問題とならないのではないか。
できるだけ状況を近づけて、ドイツ人のコメディアンが演っているところを想像する。
「バカな奴らだな」と思うが、めくじらを立てるほどではない。
おそらく、まだ条件が足りていない。
その条件を探るためにホロコーストについて考える。
あのホロコーストは何だったのか？
ホロコーストについてちゃんと勉強した記憶はないが、ナチスドイツが行なった行為なのは知っている。ユダヤ人差別。アンネの日記。知ってる。
同じ国内に住むかつての隣人への差別、ナチスの残虐行為。
一方で、〈原爆投下〉は敵国だったアメリカにされた戦争行為（是非は置いとく）だ。
被害者はこちら。
戦闘員ではない市民を殺害するのは当時も今も国際法で許されないのだが「戦争だから」という名分が少しは立つ。
ホロコーストはまったく違う。
あれは同じ国内に住む同胞・隣人に対する行為なのだ。本来なら真っ向から敵対するはずのないものを一方的に虐げた蛮行。
〈原爆ごっこ〉に置き換えるのは違う。
置き換え直したもの
では、日本に起きたことでホロコーストに近い状態のものはないか。
・同じ国内
・近しい人間への非人道的行為
関東大震災直後ならどうか。
「朝鮮人虐殺ごっこ」で笑えるか？
全然笑えない。
ここで私は本当に理解する。
ホロコーストを笑いにしてはいけない理由を。
ホロコーストを絶対に笑いにしてはいけない理由
ヨーロッパでのユダヤ人（だけではなくロマも同じ目にあっているが）に対する長い差別の歴史。生活圏を同じくする隣人への行為。
これが全ての前提になる。
ホロコーストをどんな形にしろ笑いにすることは、被害者のユダヤ人を傷つけるのは当然として、ヨーロッパ人の傷もえぐることになる。
これまで私はユダヤ人のことだけを考えていた。
しかし、もう片方の当事者のことも考えないといけない。
やってはいけない罪を笑いにすることは、被害者はもちろん、反省している加害者も深く傷つけることになる。
ああ、なるほど。
センシティブてこういうことか。
確かに私は本当に理解ができていなかった。
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