ニンジャが出てカードも1枚出て殺す!
ニンジャスレイヤーDIYイベント
「ニンジャスレイヤー222」
2021年参加作品です。
キッズカードゲーム───より正確には「キッズ向けTCAC(トレーディングカードアーケードゲーム)」というジャンルをご存じだろうか。ショッピングモールのゲームコーナーや玩具売り場に設置されてるゲームマシンで、100円入れると物理カードが出てくるアレだ。
ジャンルの始祖にして社会現象レベルのブームを巻き起こした「甲虫王者ムシキング」から、はや18年。2021年2月現在では、カード以外のアイテムが出てきたり(たいてい追加コインを要求されるが)プリンターを内蔵してゲーム結果に応じたカードを払い出せるようになっていたりと、様々な進化を遂げている。お店のゲームマシンで遊ぶことが憚られるこのご時世にあってなお、確固たる存在感を放つ人気ジャンルなのだ。
↑ に挙げたのは現在稼働中のタイトルの一部(他にもまだまだある)。大半がキャラクターIPもので、キッズカードゲームのために新たなIPを立ち上げる意欲的なタイトルも多い。
さてここからが本題です。そんなキッズカードゲームの世界に、膨大なキャラクター数を誇るスゴイIP「ニンジャスレイヤー」が参入するとしたら、果たしてどんな内容になるだろうか。貴方は考えたことがありますか? おれはある。なんなら5年ぐらい前から考えてる。
三国志大戦や艦これアーケードのような高年齢層向けのやつじゃダメなの? と聞かれれば、まあ別にダメではないけれど……なんというか、「新しい世代が既存IPに触れるきっかけ」としてキッズカードゲームが機能するさまに、おれはロマンを感じるのだ。
ドラクエIPはその点かなり戦略的で、キッズ層の認知を得るためにわざわざカードゲーム機を全国展開した事が明言されている。カード販売枚数イチオクマイ突破! みたいなCMをいろんな局のアニメ枠に流して、めちゃくちゃ存在をアピールしていた。
しかし妄想は遅々として進まなかった。たとえば上図は「ムシキング」のじゃんけんバトルをニンジャ世界観に落とし込もうとして作ったものだが、ニンジャといえどイクサ中そんなに何度もアイサツしないことに気がついたので、残念ながらお蔵入りとなった。
そんな中、「ニンジャスレイヤーTRPG」の存在が、おれのニューロンにひとつの方向性を与えてくれた。能力値ぶんのダイスをエイッと振って目標値以上が1個でも出れば成功! というTRPGの判定ルールを、キッズカードゲームのバトルシステムに応用するのだ。独自性も出るし、IPの魅力に加えてTRPGの存在をもキッズにアピールできるかもしれない。これは考えてみる価値があるのでは?
オーケー、ではやっていきます。
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《ニンジャスレイヤー
フロムキッズカードゲームとは?》
ニンジャ達と共に戦うデジタルカードゲームだ!
キミの脳内にあるマシンで遊べるぞ!
筐体上部にはLED内蔵の立方体がついており、プレイ中はキンカク・テンプルをイメージした黄色に発光する(ニンジャスレイヤーのカードをスキャンすると、ギンカクをイメージした白色になる)。コインが入っていない時は1677万色の発光パターンを繰り返すことから「ゲーミングキンカク」の愛称で親しまれている。
トリイ型レバーはお世辞にも操作しやすいとは言えないが、かいはつチームによれば「あえて操作性よりアトモスフィアを優先した」とのこと。
3枚のニンジャカードでバトル!
ニンジャスレイヤーをはじめ、
歴代シリーズのニンジャが勢揃い!
たとえば「スーパードラゴンボールヒーローズ」は最大7枚ものカードが使えて遊びごたえがあるが、そのぶん難易度もユーザーの年齢層も高い。本タイトルのメインターゲットは、「忍者ブレイカー」のオンエアを毎週楽しみにしていて、クリスマスプレゼントにDXマキモジュールをリクエストするぐらいの年齢層である(サツバツマキビシデュエルは自分にはまだ早いと思っている)。3枚は妥当な数字と言えよう。
カードをマシンに置くだけで
かっこいいニンジャが画面に現れる!
キミが好きなのは邪悪なニンジャ?
邪悪ではない方のニンジャ?
キミだけのニンジャチームを結成しよう!
ゲーム内のニンジャは3Dポリゴンでモデリングされている。第1弾PR(プロモーションレア)「ニンジャスレイヤー:フジキド・ケンジ(アニメイシヨン)」は、figmaめいたマッシブなプロポーションに加え、唯一セルシェーディングで描画される仕様(ネオンハイライトも再現されている)が話題を呼び、カードショップで価格が高騰。急遽再収録が決定した。
物理書籍をスキャンして
ニンジャをパワーアップ!
トリロジー物理書籍、無印コミカライズ、
「ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ」、
「ニンジャスレイヤー殺(キルズ)」、
「スズメバチの黄色」のうち
どれか1冊をスキャンできるぞ!
筐体内蔵のカメラで物理書籍のバーコードを読み込む方式。かいはつチームによれば、電子書籍の読み込みについても対応方法を検討中(スマホに表示させた任意のページを画像認識するなど)とのこと。
「マイニンジャ」を作って育てよう!
「ニンジャライセンス」を使うと
キミだけの「マイニンジャ」を作ることができる!
イクサするほど成長して強くなるぞ!
「ニンジャライセンス」は、サーバー上に保存されたマイニンジャのセーブデータとプレイヤーを紐づける物理カードである。マイニンジャが爆発四散すると即キャラロストという過酷なルールは一時物議を醸したが、本タイトル向けにアレンジされた「デスハイク」システムは、むしろ次に作成するマイニンジャの成長をブーストするもので、ほどなくキッズ達はマイニンジャを果敢に爆発四散させるプレイスタイルに開眼したという。
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《カードの見方》
①ニンジャ名
このニンジャの名前だ!
ニンジャネームまたは本名が書かれているぞ!
名前の横に所属組織アイコンが併記されている場合もある。ソウカイヤ、ザイバツ、アマクダリ、ピザタキ等々。
②通常攻撃
通常攻撃の名前と種類だ!
パワー値が高いほど大ダメージ!
攻撃時に振るダイスの数もわかるぞ!
本タイトルでは「マップ」の概念が大胆にオミットされている。『近接攻撃』『遠隔攻撃』のどちらを繰り出すかはカードごとに固定だ(自動的に適切な距離に移動して攻撃すると解釈すればいいだろう)。『近接攻撃』にはカラテパンチアイコン、『遠隔攻撃』にはスリケンアイコンが併記され、グラフィカルに判別可能。
TRPGにおいて1回の通常攻撃で受けるダメージは「1」を基本とするが、本タイトルでは独自設定のパワー値をもとにCPUが神秘的なダメージ計算を行い、少なくとも3ケタ以上のダメージを(若干のランダム性も加味して)算出している。
③パラメータ
【カラテ】【ニューロン】【ワザマエ】
の値がわかるぞ!
開発中のカードでユーザーテストを行った結果、「カードに書いてある数字のケタが多いと興奮する」との意見が多かった。それを反映して、製品版ではTRPGのパラメータをキッズカードゲーム向けに調整したのち、それを100倍+αした値が記されている。使用するダイスの数が100倍になるわけではないので、TRPGプレイヤーは注意が必要だ。
④体力
ニンジャの【体力】がわかるぞ!
パラメータ同様、TRPGでの【体力】×100+αの値が記されている。【体力】0になったニンジャは『気絶状態』に移行し、全員が気絶したチームは敗北確定だ。
なお、本タイトルのダメージ計算方式では【体力】がぴったり0になることが稀なため、疑似的な『即死耐性』ルールが適用されている。体力以上のダメージを受けても即死せず、気絶状態で追加ダメージを受けると「カイシャク演出」を経て爆発四散する仕様だ。マニアックなプレイヤーは「このニンジャがあのニンジャをカイシャクする(される)さまが見たい!」という衝動に駆られ、カードコンプリート後も執拗にプレイを続けるという。
⑤スキル/ジツ/アイテム
⑥発動条件&必要コスト
コストゲージをためて、一定の条件を満たすと発動!
相手にダメージを与えたり
イクサが有利になる様々な効果を発揮するぞ!
「コストゲージ」とは何か? それは、スキルやジツの発動に際して【精神力】や回避ダイスを消費する代わりに用いられる、本タイトル独自の可変パラメータだ(詳細は後述)。必要量のゲージがたまると自動で発動するが、ゲージ消費量は概して少なめに抑えられている。
キッズカードゲームとしての遊び心地を調整するため、本タイトル独自のスキルも多数実装されている。判定ダイスの出目操作系スキル(【5】の出目を1個だけ【6】にする、など)はその代表的なものだ。これにより、ターンが進んでゲージがたまるほど『サツバツ!』や『ナムアミダブツ!』およびヒサツ・ワザが発動しやすくなっている。
⑦ヒサツ・ワザ
⑧発動タイミング&必要出目&必要コスト
コストゲージをためて、攻撃または回避ダイスで
一定数の【6】を出すと発動チャンス!
画面の指示に従い、トリイレバーとボタンで
発動コマンドを入力しよう!
迫力の3Dデモシーンで描かれるヒサツ・ワザだが、その発動に要するコマンドの難易度は極めて低く、ほぼ確実に成功するよう調整されている。このシステムの主眼はコマンド入力スキルを競うことではなく、大量のゲージを消費するヒサツ・ワザ発動の有無を、コマンド入力の形を借りてそれとなくプレイヤーに選択させることにあるのだ(発動を見送ってコストゲージを温存したい場合は、コマンド入力の時間切れを待てばよい)。
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《ゲームの流れ》
100円を入れてゲーム開始!
カードが1枚出てくるぞ!
追加コインでカードを連続購入すると
バトルが有利になるボーナスがもらえる!
カードだけ買うモードもあるぞ!
遊びたいキャンペイグンを選ぼう!
第1弾では「トリロジー第1部:ネオサイタマ炎上」と
「AoMシーズン1」が選べるぞ! 今後も続々追加予定!
スゴロク状のマップからステージを選ぶと、ごく短いダイジェスト会話デモを経てバトルに移行する。進行状況の記録にはニンジャライセンスが必要。
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《バトルシステム》
ニンジャを一人選んで前に出せ!
相手ニンジャも、三人のうち一人が出てくるぞ!
「ガンバライジング」や「ポケモンメザスタ」のように、レーン上のカードを前後に動かすシステムだ。CPU戦では相手のニンジャのほうが先に出てくるので、それを見ながら作戦を立てることができる。
【ニューロン】値の高い方が先攻だ!
値が同じ場合は
ボタン連打で先攻を奪い取ろう!
TRPGにおいて、【ニューロン】同値のキャラクターの行動順は事前一括決定、PC優先が原則である。しかし「キッズカードゲームのターン数は極めて少なく(本タイトルは最大5ターン)、仮に毎ターン判定が発生しても面倒臭さを感じる前にゲームが終了する」「連打のつばぜり合いで先攻を決めるシステムはキッズカードゲームシーンではメジャーであり、かつ直感的に理解しやすい」「将来実装予定のPvP対戦モードにおいて、連打で熱くなるキッズの姿が見たい」などの理由により、かいはつチームはイニシアチブルールのアレンジに踏み切った。
ダイスを振って攻撃だ!
【4】以上の目が出れば攻撃成功!
さらに、【6】の目が複数出れば
『サツバツ!』『ナムアミダブツ!』発生!
ヒサツ・ワザが発動することもあるぞ!
『遠隔攻撃』固定のカードが不利にならないよう、『サツバツ!』『ナムアミダブツ!』は『近接攻撃』『遠隔攻撃』のどちらでも発生する。そのかわり、効果は『痛打』に相当する追加ダメージのみに留められている。
回避チャンス発生! ダイスでよけろ!
相手の攻撃を受ける時、
「回避チャンス」が発生することがある。
ダイスを振って【4】以上の目が出れば回避成功だ!
さらに、相手より多くの成功ダイスが出たら
『カウンター』で反撃できるぞ!
TRPGでは1ターン内に複数回の攻撃を受ける可能性があり、ターン開始時に分配される回避ダイスをいつ、そして何個消費するか(そもそも消費を見送るか)プレイヤーは決断を迫られる。その選択のスリルこそTRPGの醍醐味ではあるが、本タイトルではシステム上1ターンに1回の攻防しか発生しないので、コアルールそのままでは回避ダイスを毎ターン全部使用するのが最適解となってしまう。
回避ダイスの分配がゲーム開始時の1回のみで、各ターンごとに少しずつ消費していくテストバージョンも作られたが、これをユーザーテストにかけたところ「1ターン目に回避ダイスを全て消費してしまうキッズ」と「ゲーム終了まで回避ダイスを1個も消費しないキッズ」が8割を占め、かいはつチームは頭を抱えることになった。
最終的に、ニンジャマスターの代行たるCPUが戦況をAI判定して「回避チャンス」を発生させる仕様に落ち着いたが、チーム内でも意見の分かれるところであり、メジャーアップデート時にルールが見直される可能性もある。
なお、回避チャンスで使用するダイス数は常に最大(【ワザマエ】/【カラテ】/【ニューロン】のうち最も高い値÷100。端数切り捨て)であり、成功率はかなり高い。かつマップの概念が大胆にオミットされているので、『遠隔攻撃』に対しても『カウンター』が発生する(ゆえに『カウンターカラテ』ではなく『カウンター』と記述される)。逆転要素としてかなり強力なので、現環境では相手の回避/カウンター時に何らかの妨害効果を持つカードが多くプレイされているようだ。
成功ダイスの数だけコストゲージ蓄積!
攻撃/回避に成功するたび、成功ダイスの個数分
「コストゲージ」がたまるぞ!
ゲージをためて、ジツ、スキル、
そしてヒサツ・ワザを発動せよ!
リリース前のユーザーテストを繰り返すうち、かいはつチームはあることに気がついた。ダイスによる判定成功時、目標値以上の出目を出したダイスが多いほど、キッズの興奮度が上がる傾向にあったのだ。成功ダイス数が『カウンター』の発生を左右する回避判定時はともかく、それ以外のあらゆるダイスロールでも、キッズの大半が何らかのポジティブな効果を期待していた(成功ダイスが多いほどダメージが増えると信じるキッズすら存在した)。
コアルールを大きく毀損することなく、彼らの無垢な期待に応える道はないものか……かいはつチームはIRC会議を重ねた結果、本タイトルオリジナル要素「コストゲージ」の実装を決定した。それは、かねてより挙がっていた課題「発動コストの概念をシンプルにアレンジし、できれば単一のパラメータにまとめる」を達成するためのソリューションでもあった。
相手ニンジャを全員
気絶または爆発四散させると勝利!
カードを集めて
最強のニンジャチームで挑め!
相手ニンジャを気絶状態にすると、そのニンジャの強さやレアリティに応じたポイントを獲得する(爆発四散させると更にボーナスが入る)。5ターン目が終了してもなお双方に戦闘可能なニンジャが存在する場合は、獲得ポイントの高い方が判定勝ちとなる。PvPモードを意識した仕様だ。
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《かいはつチームのブロゴより》
ドーモ! 我々かいはつチームのもとには、毎日のように全国のニンジャキッズから熱いIRCメッセージが届いてます! みんな応援ありがとう! かいはつ冥利に尽きるというものです!
しかし喜んでばかりもいられません。それらのメッセージの中には、今後のゲーム内容に対するリクエストもたくさんあるからです。「コトダマ空間でのイクサを再現してほしい」「もっと色々なジツやヒサツ・ワザを使いたい」「非ニンジャのキャラはカードにならないの?」「何でもいいからタキとコトブキチャンを出せ」などなど!
そんなみんなの声に、我々はこれからも全力で応えていくつもりです。まず手始めに……おや? この2枚の試作カードは?
「ネンゴロしましょう」
「TAKE THIS!」
アイエエエエ! これはきっとスゴイことになるぞ! 次回の公式情報発表をオタノシミニネ!
待ちきれないキミは、これを機に「ニンジャスレイヤーTRPG」にチャレンジしてみるのもいいかも。ソロアドベンチャーなら一人でも遊べるよ!
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ハァーッ! ハァーッ!(鼻血を拭いながら)
どうやら脳内かいはつチームの思考リソースが枯渇したようだ。今回妄想できたのは、TRPGにおけるニンジャ同士の物理戦をキッズカードゲームの基本構造に落とし込むまで。今後いかにして、非ニンジャ系キャラやハッカーニンジャに活躍の場を提供するかが課題だ。直接バトルフィールドに出ないサポートキャラとして4枚目のカード枠を追加する手もあるが、そうするとアレンジが過剰になりすぎ、TRPGのアトモスフィアが薄れてしまいそうで悩ましい。
非存在ゲームを妄想する行為を通して痛感したのは「第三者にプレイイメージを説明できるレベルまでゲーム内容を考えるのはチョー大変」ということだ。ざっくりアウトラインを記述するだけで脳を使う使う。実際にプレイ可能なルールをあれだけ大量に制作し、日々スゴイ勢いで情報量が増えていく「ニンジャスレイヤーTRPG」の偉大さを身をもって痛感したのだった。更新おつかれさまです。カラダニキヲツケテネ!
(おわりです)
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