神レガと黒単グリセルストームについて
これまでスタンダードの記事を手掛けてきましたが、今回はレガシーになります。研究を続けて来た「黒単グリセルストーム」というデッキについてと、3/21に開催された第16期レガシー神挑戦者決定戦に同デッキで参加しましたのでそれらについて触れたいと思います。
既にご存じの方も多いかと思いますが、同大会にて惜しくも準決勝敗退というものの自身初となる神シリーズでのトップ4という好成績を収めることが出来ました。フィーチャーマッチでの動画等をご覧いただいたことで多くの反響を頂き、またこれまで自身が温めてきた知識を一度文面に起こしておきたいという思いもあり執筆した次第です。
1.黒単グリセルストームとは
リアニメイト系統のバリエーションの一つです。グリセルシュートと呼ばれるアーキタイプの派生形でもあり、その名の通り《グリセルブランド》を早期ターンに着地させて大量ドローから同ターン中に《苦悶の触手》まで繋いで勝ちに行くことが可能な点が強みです。《暗黒の儀式》等を絡めた1ターンキルも珍しくなく、相手のキープ基準が比較的緩いメインでの勝率は高いです。
よく似たアーキタイプとしてTin-finsというものも存在します。
そちらは《引き裂かれし永劫、エムラクール》《コーリスの子》を用いたループ及び一撃必殺を有する青黒タッチ白がベースです。興味がある方はこちらの記事もご覧ください。
またストームプランにおける鍵となり、このデッキ最大の特徴である《意志の大魔術師》。レガシー禁止カードである《ヨーグモスの意志》を内蔵した生物です。余談ですがポーズもそれをモチーフとしており、ヨーグモスのシンボルでもある苦痛の仮面を付けていますね。
今や禁止となった《死の国からの脱出》同様、《暗黒の儀式》だけでなく《水蓮の花びら》《ライオンの瞳のダイアモンド》を再利用してストームとマナを稼ぎます。このカードならではのギミックもありますが、それは後程ご紹介します。
また勝ち筋はストームだけではありません。リアニメイト軸も有するため、《墓所のタイタン》を釣り上げて数回の攻撃で詰め切るプランもあります。速度特化のコンボデッキではありつつこういった多角的な攻め方を有しており、状況によって切り替えられる点も強みの一つです。
メインボードは速度特化ですが、サイド後は少しプランを変更します。
墓地利用のコンボはサイド後に対策札を追加されるため、それをどのように乗り越えるかが肝になります。
折角メインボードで強力な生物を採用しているため、サイド後はそれらを素出し出来るようマナ加速を追加します。他にもヘルムヴォイドや《朽ちゆくレギサウルス》等様々なカードを試しましたが、これが最も納得の行くプランでした。
こちらが神挑戦者決定戦にて使用したリストです。
各カードについてご説明します。
メインボード
・《意志の大魔術師》2枚
マナ加速せずとも手出しが比較的容易なコストであり、固有のストームプランが存在するため1枚は欲しいカード。《納墓》しなくとも《ライオンの瞳のダイアモンド》でディスカードしつつ《浅すぎる墓穴》へ繋ぎたいため、《グリセルブランド》着地後はそれらとセットで引いておきたいため2枚としております。
・《墓所のタイタン》3枚
リアニプランで重宝する1枚。マナ加速からの着地が狙いやすく、《カラカス》に引っかからないという点でサイド後は特に頼りになります。
・《グリセルブランド》4枚
デッキの根幹となる最強の悪魔。手札に直接来たとしても《ライオンの瞳のダイアモンド》《集団的蛮行》、果ては自分を対象に《思考囲い》《暴露》によってディスカードして釣り上げるため、初手に来ても良いように4枚採用。
・《暗黒の儀式》4枚
・《水蓮の花びら》4枚
デッキのスピードを底上げし、ストームカウントや《苦悶の触手》へのマナ加速として重宝します。サイド後は2種大型生物の素出しプランにも貢献します。
・《ライオンの瞳のダイアモンド》4枚
他のリアニメイト系統ではまず採用されないカードですが、このデッキではディスカード手段も兼ねており、《意志の大魔術師》《冥府の教示者》とのシナジーからも重要なカードです。
・《納墓》4枚
主に《グリセルブランド》を墓地へ送り込むのが仕事ですが、《掘葬の儀式》を埋めて《ライオンの瞳のダイアモンド》経由で釣り竿へ変換したり、《苦悶の触手》を落として《意志の大魔術師》で後から再利用することも出来ます。そのため、2枚目以降も有効牌となり得ます。
・《思考囲い》4枚
・《集団的蛮行》2枚
・《暴露》2枚
ハンデス枠は8枚。1マナで範囲が広く、自分に向ける際も最低限のコストで済むため《思考囲い》を最大数採用。
《集団的蛮行》は範囲がやや狭いですが、安全に手札から捨てつつカウンターを落としたり《秘密を掘り下げる者》等を処理することも可能です。また、2点ドレインすることで《グリセルブランド》の起動回数が1回多くなります。
《暴露》は大量ドロー後であればほぼデメリット無しのハンデスとして使えます。ピッチで打てるため1,2ターン目にコンボスタートする際の露払いとしても有用。また、これ自体のマナコストは4マナであるため《虚空の杯》X=0や1を置かれても打てるハンデスとして有用です。
・《浅すぎる墓穴》4枚
・《死体発掘》3枚
・《掘葬の儀式》1枚
釣り竿枠。全て《ライオンの瞳のダイアモンド》と噛み合います。《掘葬の儀式》は沼セットから大型生物を捨て、フラッシュバックすることが可能です。他の2種類は対象を取らない釣り竿のため、キャスト時スタック《ライオンの瞳のダイアモンド》起動で手札の生物をリアニすることが可能です。《浅すぎる墓穴》は《グリセルブランド》を3回起動出来る上に《意志の大魔術師》も即座に起動出来るようになるため最も強力な釣り竿。
《死体発掘》は対象を取らない追加の2マナ釣り竿。速攻付与が無い分、場に残せるため《墓所のタイタン》と相性が良いです。
《死体発掘》や《掘葬の儀式》で《グリセルブランド》を出した場合、残ライフ・手札・相手によっては無理に起動せず絆魂を活かして圧倒的なダメージレースで勝利する場合もあります。
・《冥府の教示者》3枚
元々4枚採用しておりましたが、《ライオンの瞳のダイアモンド》を引けない内にこれの2枚目を引いてしまうということも往々にしてあるため1枚減らしております。但しゲーム中1枚は引きたいため3枚の採用です。
ANT同様、手札の《暗黒の儀式》を増やすために使うこともあります。
・《苦悶の触手》1枚
ストームプランの終着点。先述の通り《意志の大魔術師》を起動出来る状態であれば《納墓》で落として裏から打てるため、1枚あれば十分です。
・土地:《沼》15
《冠雪の沼》と分けるかそちらに寄せた方が良いとは思いますが好みの問題。
《掘葬の儀式》を採用しておりますが、基本的に《ライオンの瞳のダイアモンド》が無いと打てないことと、土地1枚でキープすることも往々にしてあるため《血染めの月》《不毛の大地》《もみ消し》等への耐性も考慮して《Scrubland》や各種フェッチランドは必要ありません。
サイドボード
・《厳かなモノリス》4枚
・《Lake of the Dead》3枚
・《沼》2枚
・《墓所のタイタン》1枚
素出し用パッケージ。基本的にこの内どれかだけ入れることはあまり無いです。
《厳かなモノリス》+《沼》3枚や《Lake of the Dead》+《沼》2枚から《墓所のタイタン》3ターン目着地を優先して狙います。マナ加速が重なれば《グリセルブランド》も3ターン目に8マナ払って着地可能です。《沼》の枚数がメインボードより多めに必要となるシーンが多いため、サイドボードにも追加分として枠を割いております。
・《コジレックの審問》3枚
・《外科的摘出》2枚
追加の妨害枠。《コジレックの審問》は上記素出しプラン時にも一緒にインすることが多く、相手もコンボであればこのカードだけインすることもしばしばあります。
《強迫》でなくこちらを優先している理由として《フェアリーの忌み者》を落とせるかどうかが関わってくることが大きな理由です。《意志の力》は落とせませんが、青いデッキのサイドに潜んでいることが多い《否定の力》なら範囲内です。またデス&タックスのようなそもそも非生物呪文が少ない相手でも有効です。
《外科的摘出》は当然ですが墓地利用の相手にのみインします。同系統のリアニメイトやANTのような速度勝負しなければならないマッチアップでは特に有用です。
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