映画を観た記録136 2024年7月26日 川島雄三『グラマ島の誘惑』
Amazon Prime Videoで川島雄三『グラマ島の誘惑』を観る。
本作品こそ、日本映画ナンバーワンとして私は大推薦する。
よくもここまで大日本帝国軍をコケにでできるものだ。
それでいて、文明風刺が効きすぎている。
『グラマ島の誘惑』ではグラマ島に遭難した女性は、吉原から、軍人への性のご奉仕のために女将に連れてこられてきた慰安婦という設定であり、その中には知的障害者の沖縄生まれの愛ちゃんという子までいる。『グラマ島の誘惑』は1959年公開の映画である。ということは、当時、慰安婦の存在は周知の事実だったのだ。
グラマ島で戦時中、森繁久彌演じる宮家、フランキー堺演じる陸軍大尉、三橋達也ほか女性陣が暮らしていたグラマ島は、戦後、アメリカの水爆実験が行われてしまう、というブラックジョークまである。
戦時中、グラマ島からすでに原爆実験のキノコ雲を見て、女性陣は、あら、いやだ、あれを思い出しているんでしょ、とけらけら笑っていた。ブラックすぎる。
日本映画の最高傑作である。
衣装、美術も見どころ満載である。宮家の森繁久彌は、グラマ島で墜落したB29を見つけて、その物資を得てから、服装が海軍からラテンの貴公子のような服装に変わってしまう、傑作すぎる。森繫久彌に限らず、他の面々の服装も冴えている。明らかにスタジオの映画であるが、グラマ島の凝った美術は見ものである。
さらに、ロケ撮影で森繁久彌演じる宮家を乗せた車から皇居の一部が見える。大胆すぎる。
沖縄の音楽を使うところも良い。
川島雄三、天才映画作家である。
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