映画を観た記録158 2024年8月25日   吉田喜重『水で書かれた物語』

Amazon Prime Videoで吉田喜重『水で書かれた物語』を観る。
一言でいえば、前衛風日本型愛欲ドロドロプチブル濡れ場あり映画である。
濡れ場といってもおっぱいを見せるのではなく、岡田茉莉子を山形勲演じるブルジョワ伝蔵とまさぐっているくらいである。岡田茉莉子演じる松谷静香は、子育てのため、しばらく伝蔵とは寝ていなかったが、ふとしたきっかけで寝てしまう関係になってしまう。伝蔵曰く「君は最高の女だ」だってさ。男の欲望丸出しセリフでぷぷぷっと笑えてしまう。日本を代表する前衛作家でもあり、ヌーヴェルバーグの旗手・吉田喜重に失礼か(笑)
脚本に現代詩人の高良留美子が参加している。しかし、参加することにどんな意義があるのか私にはわからない。それもまた「松竹ヌーヴェルバーグ」なのであろう。本作は日活配給なのであるが。製作は、中日新聞を母体とする中日映画社である。
音楽が前衛音楽家一柳慧であり、その音楽が「前衛風」を醸し出している。
もっとも演出は古臭いのではなく、会話を360度回転撮影していたり、山形勲演じるブルジョワが自動車事故で亡くなった顔をスチールで撮影していたり、画面を白くしたり、「前衛風」に懸命な作品であるとしかいいようがない。
原作が石坂洋次郎である、石坂洋次郎の印象は『青い山脈』の印象しかないが、実はドロドロ作家なのか。
この種の作品は批評家や研究家が何らかの評価を与え位置づけするのでしょう。
その程度です。
本作は1965年製作である。その4年後にピーターが出演する同性愛映画『薔薇の葬列』が松本俊夫で映画化される。本作より、その4年後の作品の方が前衛であることはいうまでもない。


吉田喜重の『水で書かれた物語』は、現代音楽の一柳慧が音楽を担当しているが、使い方は、劇伴だから、現代音楽を使う理由がわからない。

吉田喜重の映画は、そのパターン。いつも、ハイキー、ハイコントラストのモノクロに、その思わせぶりな現代音楽の劇伴。それだけ。商業映画で使いにくい主題でドラマを作っている。思わせぶりな音楽をバックに思わせぶりな役者の演技と構図。それだけ。

普通に作ることができないのか?

こけおどしだね。

吉田喜重は、はい、才能がないですね。

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