映画を観た記録164 2024年9月1日 アントン・フーキア『イコライザー』
Amazon Prime Videoでアントン・フーキア『イコライザー』を観る。
ほとんど漫画の世界。
ソニー・コロンビアとはいえ、デンゼル・ワシントンが演じる主人公が使うラップトップがVAIOでがっくりである。
とはいえ、人殺し映画を美学のように見せる映画はいつから始まったのだろうか。
本作のアイデアは面白い。
要は、ホームセンターにある商品は殺しの道具にできるということだ。よいこの皆さんはまねしないようにだが、できるはずはないか。
本作の主人公は、昼はホームセンターで働いていて、夜は読書を好む男なのだが、元はCIAの敏腕の男で、24時間ダイナーで知り合った娼婦の話を聞き、ロシア・マフィア、そしてロシア・マフィアにつながる新興財閥を叩き潰すまでに進んでいく。
本作のスタイリッシュさは捨てがたい。
虜になってしまう映画である。
『イコライザー』は、黒人のデンゼル・ワシントンが正義の主人公にあたり、悪役はロシア人。デンゼル・ワシントン演じる昼はホームセンターの主人公の仲間はプエルトリコの善良な男。そのママを恐喝する汚職警官は白人。この映画は、カラーズが「正義役」、ロシアマフィアも含めて白人は「悪役」として描かれる。
映画の人種的地殻変動かもしれない。
しかし、ロシアマフィアの下っ端組織が作る偽札工場で働く女性たちがアジア人である。アジア人が実は、もっとも、ダメ人間のように描かれている。デンゼル・ワシントンにより解放されたアジア人女性は偽札を謝礼と言われて、渡されて、お辞儀しながら帰って行く。アジア人、相当、アメリカで低く見られていることがよくわかる。
『イコライザー』は、人種と性のアイデンティティ政治以降の映画であることは間違いない。とりわけ、重要なことは本作は、人種と性のアイデンティティ以降のアメリカ国内の人種的カーストが婉曲に示されていることだ。
1988年公開、デニス・ホッパー監督『カラーズ 天使の消えた街』ではプエルトリコの少年ギャングが描かれていた、その26年後の2014年公開、『イコライザー』では所謂、カラーズの地位は高まり、白人は悪役とされ、逆転したが、いまなお、アジア人は偽札工場で働く勤勉な愚鈍な姿として描かれているのである。